【アキバ・キーマンインタビュー No.2】フェイスの“司令塔”倉石部長がメディアに初登場!
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2006年3月28日
秋葉原を代表する自作PCパーツ店としておなじみのフェイス秋葉原本店。自作PC業界全体の景気が思わしくない中、人気店として着実な実績をあげている。
そんな同店もTWOTOPとの合併、パソコン工房を全国展開するアロシステムへの吸収、そして昨年MCJと提携してPCジャパングループとなるなど、M&Aの渦中にあってその動向が注目されている。
そのフェイスオープン以来のスタッフで、店舗運営、商品の仕入れ、広告・マーケティングなどを一手に手がけているのが、秋葉原歴13年になる倉石敬介氏。フェイス成功の秘密や、今後の展望を語ってもらった。
大学生のバイトからそのままフェイスに入りました
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――店舗で取材をしていて突っ込んだ話になると、必ず「倉石さんに聞いてください」と店員さんに言われるんですよ。これは1度、倉石さんに話を聞かないといけないと、いつも思っていました。
倉石 私なんか本来、取材を受けるような立場でもないんです。写真出るのも初めてです(苦笑)。
――そもそもこの業界に入ったきっかけは?
倉石 大学時代のアルバイトです。実は留年をしていまして。授業が少なく暇になったので、「フロム・エー」を見ていたんです。そうしたら、ちょうどTWOTOPの求人が出ていて。
――いつ頃ですか?
倉石 1993年です。当時はPCが1台40万円とか50万円とかしていて、ちょうど30万円を切るPentium Proが出てきて、すごくインパクトが強かった。その頃はTWOTOPのオリジナルPC「VIP」を売っていましたね。
――その後は?
倉石 TWOTOPで5年くらい働いた後、当時副社長の久安さんが独立をして(※TWOTOPから独立してフェイスを設立)、そのときにアルバイトのままフェイスに移りました。最終的には大学を辞めて、というか追い出されるような形でしたね(笑)。
――卒業せずに?
倉石 そうです。それから社員としてフェイスにいます。
――でも、東大なんですよね?
倉石 一応、そうなんです(苦笑)。
――では久安さん(フェイス創業者・前社長)とは、バイト時代からの知り合いなんですか?
倉石 そうですね。すごく実質的、プラクティカルな考えをする方です。たとえば「社長、こんな案内が来ていますけど、この商品やりますか?」と相談をすると、「売れればやっていいよ」って、ひと言それだけ(笑)。あたり前ですけど、そこまで実質的な考え方をするんですよ。ですから、組織そのものもすごくシンプルでした。
――わかりやすいですね。
倉石 そうです。おおざっぱな反面、在庫についてはものすごくシビア。(社長は)PCも使えないし、データベースにも頼らないけれど、200ページの在庫表を印刷してきて自分で見て、何に使う、どこで安売りするとか、全部やっていました。最近は逆にシステムに頼り過ぎちゃっていて、かえって見えなくなっている部分もありますね。
――そうすると以前のフェイスさんでは、社長さんが全部判断していたんですか?
倉石 最初の1、2年はそういうやり方をずっとやっていました。徐々にシステマチックに変えていきましたけど。フェイスは'98年11月にオープンしたんですが、オープンから1ヵ月でPC本体だけで1000台代以上売れたんです。ショップブランドPCで、しかも無名のショップが広告を載せるだけでこんなに売れるのかと、当時は本当にびっくりしました。翌年2月にはフェイスのインターネットショップもオープンし、そこからぐんと売り上げが伸びていきました。でも、ここ数年は残念ながら横ばいです。
――業界的にもここ数年はだいぶ厳しい状態ですよね。
倉石 そうです。でも実は、商品点数は以前より多く売れています。薄利多売と単価の下落に苦しんでいます。たとえば、アロシステムグループで、HDDは1ヵ月に7万から8万台消費しています。それでもHDDでは、全然儲からないんです。
――1台数十円しか利益がないとか?
倉石 そうです。赤字になってしまうケースも多々あります。そこを大量に仕入れるなど、スケールメリットを生かして交渉していくのが今の命題なんです。しかし現実は厳しく、たとえば我々が月に3万台買って、じゃあ今度アロシステムと一緒になったから6万台になりました、さらにいろんなショップさんの分も集めて10万台まとめて買うからと交渉する。それでも大して安くならないんですよ。それよりもどっかの流通で余っちゃったから処分だとか、特価のものがポッと安い価格で出てきてしまう。そうすると、その価格に(秋葉原の)店頭価格が引っ張られてしまうんです。今のパーツ業界はスポット品ばかりです。
店舗のフェイスと、流通の両方を持っているのはリスクヘッジ
――他店が流通の段階で安いものを手に入れてしまうと、そこに価格が引っ張られてしまうということですか?
倉石 そうです。ですから、願うことならうちは全部の通過点になりたい。そんな発想から流通と、店舗のフェイスと両方を持つようになりました。リスクヘッジなんです。メーカーさんで1000台余っている商品がある。うちの規模じゃ1000台は大きいだろうっていう時にいろんなお客さんに声かけて、半分でもやれればうちでやりましょう、そういうやり方をしてきました。HDDもずっとそういう形で回してきました。
――これまでは、そういうやり方がすごく効果的でしたよね?
倉石 まあ、そうですね。
――でも、全部の通過点というのは、すごく大胆な発想ですね?
倉石 でもそのくらいやろうと今でも考えていますよ。そうすればチャネルの統制ができるだろうと。もちろん、価格を統制するのはまずいですけれど。
――今、秋葉原の市場では、安い価格で統制が取られているようなところがありますよね? みんな最安店に価格を合わせるような。本当は流通の部分を握って、もうちょっと市場をコントロールしたいと思っている?
倉石 流通がたくさんあって、業界の効率を悪くしているというのはあります。たとえば、HGSTさんのHDDがあって、正規代理店があります(手帳に図を書いて説明する)。そしてその下に子がいて、孫がいて。さらに同じ代理店から別の孫へと流れ、商品の出どころが同じ別の孫同士から、アロシステムに対してオファーがくるんです(メーカーの代理店から直接製品購入のオファーがある場合と、いくつかの流通を経てオファーが来る場合があるとを説明)。これは価格競争が起きないわけがない。こういう流通がたくさんあるのは本当に無駄で、ここを整備していかないと、業界はますます厳しくなってしまいます。もちろん、ユーザーさんに高く売ろうというつもりはないんです。効率のいい流通システムにより、せめて商売として成り立つ程度に健全化したい。
自分にとって一番怖いのは会社にとって影響力を持てなくなること
――アロシステムに吸収される形になって、フェイスの社長さんと一緒に何人かが辞められ、倉石さんは残る形になりましたね。
倉石 私もアロシステムとのM&Aの件ではかなり悩みました。ただ、直接今の社長(アロシステム・大野社長)と会うようになりまして、もちろん、企業風土とかやり方など違いはいっぱいありますが、ものすごい情熱と正義感とパワーを感じ、そこについて行こうと思うようになりましたね。
――フェイス創業者の久安社長が辞め、倉石さんも辞めるとは考えなかったんですか?
倉石 さぁどうでしょう(苦笑)。でも。自分にとって一番怖いのは、会社にとって影響力を持てなくなること。そういうポジションになったら意味ないと思っていますから。
――今は影響力が持てる形でやれている?
倉石 そうですね。ただ今はフェイスだけの頃より10倍くらい人がいて、規模も大きく、不透明な部分も出てくる。正直、戸惑う部分もあります。今は勉強中です。う〜ん、本当は僕、大企業って好きじゃないかもしれません(笑)。
――え、もう大企業じゃないですか(笑)!?
倉石 今はね。800人とかいて大企業になっちゃいましたね。だけどそんな中でも、会社だった頃の柔軟性は維持したいと思います。
――大きい組織ながら、小さい店の良さを持つというイメージですかね?
倉石 そうです。たとえば大阪のあるお店さんさんですと、お店に立たれている方が直接仕入れ先に電話して、「〜ちょうだい、いくらいくらで」って言っています。それは小さなお店の強みですね。お客さんと直接話す人が、業界のトレンドとニーズを一番把握していますから。また、在庫が余るようなことがあったら、仕入れの方が直接レジの前に置いたり、並べ替えてみたりするとかね。仕入れから販売まで、より少ない人数でできるに越したことはない。大きな組織になっても、これにどれだけ近づけるかがカギです。アロシステムが持つボリュームによる交渉力と、小さなショップの機動力のいい所取りができればいいのですが。
あれ日本で初めて付けたのは、私なんですよ
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――倉石さんが店舗にいたときは、それに近い形だったんですか?
倉石 いや、一部ですね。TWOTOPにいた頃、海外の購買を見ていました。当時TWOTOPがフリーウェイという会社で、ASUSTeKTeKの代理店をやっていて、交渉を店舗でやっていました。今のじゃんがらラーメンの隣りにTWOTOPがあった頃です。私も店頭に立って、そのときはASUSTeKTeKに対する思い入れも強いですし、かなり売りましたよ。そうそう、実はマザーボードに日本語マニュアルって付いてますよね? あれ日本で初めて付けたのは、私なんですよ。
――え〜、そうなんですか!!
倉石 自分で作って付けたんです。当時は日本語マニュアルが付いていたマザーボードなんてなくて、「POPにオリジナル日本語マニュアル付き!」と書くだけで売れました。また、ASUSTeKは特に技術色が強いメーカーでしたので、とくに技術情報を知ることに専念しました。そうすると、お客さんの質問にも答えられますし、メーカーさんと話した情報がそのままPOPにも書けるんですよ。BIOSやボードリビジョンのアップデートで、こういう機能が付いたとか、その度にPOPに書いてベタベタ貼っていったんです。とにかく付加価値をアピールしようと、思いついたことはすぐにPOPに書き、気づくと上から下までPOPがものすごく長くなって。それがまた楽しかったです。
――そうだったんですか。
倉石 ちょうど当時の旬はパイプラインバーストSRAM搭載のマザーボードでした。「P55T2P4」というマザーがあって、すごく売れたんです。店の真ん中の床の上にぐるーっと積んで、「日本語マニュアル付き!」、それと先ほどのながーいPOPを書くと、昼間並べたのが夜になるとほとんどなくなっていました。いちばん売れる土曜日は全マザーボードで300枚とか、400枚とか売れて。それがもう気持ちよくて、気持ちよくて(笑)。
――フェイスさんはPOPの製品情報が、他店と比べても特に充実していますよね。
倉石 その辺は今の店長のセンスです。とてもがんばってくれています。店長には、「とにかくお客さんの滞留時間を長くするような店作りをしなさい」とだけ言っていました。POPに手書きのコメントをつけることもそうです。今はインターネットでも、量販店さんでもPCパーツが買えますから、PCパーツショップとしてマニアの方も納得するように、そういう技術情報をお客さんに提供することを常に訴求していきたいと思っています。今は技術よりもネタっぽいものが多いですが……。
――お客さんの滞留時間を長くする一番いい方法って何かあるんですか?
倉石 いや、わからないです。それがあれば教えていただきたい(笑)。
――店舗は今も見ていらっしゃるんですか?
倉石 週に1、2回のぞくくらいでほとんど任せています。とにかく汚い店にしろと言ってます。実際本当に汚いんですけど(笑)。でも、本当に言いたいのは埃があって汚いとかではなく、ごちゃごちゃっとね。ドンキホーテさんとか、あきばお〜さんみたいなイメージですよね。
――あきばお〜は意外ですね。猥雑感というか、なんかいろいろあるなあという感じがいいんですか?
倉石 そうですね。雑多な雰囲気というか。
――お店の建物が古いので建て替えるって噂を聞いたんですけど……。
倉石 それはないです。でも、もうボロボロですよね(苦笑)。最近、耐震構造の件があって、うちでも耐震検査をしたほうがいいんじゃないかって話をしたんですよ。そうしたらスタッフがみんなそろって、耐震検査をしなくてもわかるって、倒壊するって(笑)。そんなこともあって、ビルの改造はすぐにできないんですけれども、近いうちに店内の改装を考えています。2階のPCパーツの一部を1階に降ろして展示しようと考えています。
――店舗でいうと、アキバではどこがライバルですか?
倉石 アキバの店舗のライバルはWebですね。ヨドバシさんがアキバにできた頃に、とある取材でヨドバシさんの影響について聞かれたんですけれど、もちろん直接バッティングするPCパーツもありますけれど、「アキバのお店にとって脅威なのはインターネット通販です」と。どこにいても購入できてしまうし、秋葉原に行くの面倒くさいからWebで注文しちゃおうって思われるお客様も多いと思います。だから、もっともっと店舗でニッチなものを見せたり、発表前の商品をフライング発売したりしないとね。あ、今はペナルティーが厳しくてフライングはできないんですけどね(笑)。でも、そういうことをやっていけば、ショップはおもしろくなり、お客様も秋葉原に来る理由ができると思います。
今目を付けているのがPentium4の631
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――仕入れの部分で言うと、最近ASRockのデュアルのマザー「939Dual-SATA2」が密かなヒットでしたね。
倉石 そうなんですか? 逆にそういう情報があまり入って来なくなって。とか言いながら、組織が大きくなったのを言い訳にしてるところがあって、だめですね。ASRockは直接台湾から引いて、ちょこちょこやってます。
――フェイスさんならではのヒット商品とかも今まで多いと思うんですけれども、そういうのも倉石さんが入れていたんですか?
倉石 そうですね。ただ物を買っている立場にいるから、いろんなオファーが来るだけです。別に僕だからというのではなくて。メーカーさんの売り込みが多いだけで、私がたまたま、そこにいただけです。
――ヒット商品になるかは、どこで判断するんですか?
倉石 わかりません(笑)。わからないから、まずはリスクヘッジですよね。売れるかわからないものはまずWebで。そこで売れれば、「じゃあお店でも」というだけの話です。
――いっぽうで、LGのDVDドライブなんかはすごく大量に扱ってますよね?
倉石 そうですね。グループですごく扱う数が多いので、多少は安く買わせていただいていると思います。でも、安ければだれでも売れるだろう、というふうには言われたくないですね。もちろん価格はお客様に対する一番のサービスかもしれませんが、常にフェイスだからこの商品が売れたと、仕入れ先から思われるお店にはしたいと思っています。
――今、売れるものが何かは、なかなかわからないですからね。
倉石 そうです。ただ最近、Athlonがすごく強いです。やっぱりアキバユーザーの心をくすぐるような要素がいっぱいある。Opteronの144とか146があんなにヒットしたのは、オーバークロックができるからだったりとか、SLIでもAthlonのほうが対応が進んでいますし、パフォーマンスもものすごくいい。
――Opteronの144と146は物があまりないみたいですね?
倉石 今も来てないです。挙げ句の果てに値上がってしまいました。あれはAMDが値付けを間違えたとしか言いようがない(笑)。WorkStation用CPUが、こんなバカスカ売れるはずがない。ただ、値上げしてもなかなか物が入って来ないんです。一時期、Yahooオークションとか見ると、うちの店頭売価よりも高い値段で出ていましたね。ああいう商品はもっともっと欲しいです(笑)。
――なるほど。いろんなところに影響が広がるんですね。
倉石 そうです。Intelさんも「なんでOpteronがこんな売れているんだ!」って危機感を感じて、Xeonの売り込みを一生懸命しに来ました。けれど、そうじゃないんですって。対Xeonで売れたわけじゃない(笑)。別の要因だったわけです。
――そうなんですよね。
倉石 そういった意味で、今目を付けているのがPentium4の「631」、Cerdermill。あのへんはクロック耐性が高いみたいですね。そういうのは最近のIntelさんにはなかったですから。こういうのが出てくるとだいぶ売れるんじゃないですかね。つい先ほどもお店で動かしていたようです。「5GHzで動いちゃった」とか、ネットにも結構書き込みがあるし。Intelさんは立場上できない、我々ショップも公には言えません。が、展示で見せるくらいならいいかなと。秋葉原に来ていただけるユーザーさんは、その辺をわかっていらっしゃいますし、失敗して動かなかったからと言ってクレームを言われるような方々ではないですからね。
――メディアが取り上げる分にも問題ないですしね。
倉石 「わかんないけど、オーバークロックできちゃう!」とか、そういう記事をメディアでもどんどんやっていって欲しいですね。裏技的な物は出していってほしい。
――そういえば、水冷キットを一番最初に展示したのもフェイスさんじゃないですか?
倉石 そうですね。だいぶ前ですね。本当はもっともっとそういうことをやらないといけないと思っています。今、ガス冷のごっついデモ機をやろうと思っています。去年1回試したんですけど、結露して動かなかったんです。そういうことをやらないと、パーツ屋行かなくたってWebで買えるし、「アキバ行かなくったっていい」ってなっちゃいますからね。
今年の僕が考えるPCのキーワードは「PCは金儲けの道具」です。
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――他にもアイディアがあるとか?
倉石 そうですね。ちょっと中途半端になってますけど、バルクのCPUとうちでおすすめのファンを付けてリテールで販売するとか。リテールのCPUがとにかく儲からないので、そういった工夫をしたい。Intelのボックスプロセッサーに入っているファンがうるさいようなので、じゃあいいファンを付ければ買いたい人がいるんじゃないかと。秋葉原にCPUを買いに来た時に、価格の差ではなく、フェイスにはいいファンが付いたCPUがあるから「そこへ行こう」という形にしたい。でも、そう簡単にはいかなかったですね(苦笑)。どうしても値段差が出てしまうので、リテール品を買って2000円のファンを買う人もいたり、さらに安いリテール品を探したりとか。まだまだ企画を練らなくてはいけないんですね。
――フェイスさんでCPUといえば、昔変なCPUを扱っていたこともありましたね。Celeronの「黄金戦士」とか。
倉石 ありましたね。でも、あれは事故みたいなものですよ。試しにおいてみたら、誰かが気づいてくれた(笑)。やはりそういう情報をお客様からいただけるのが重要で、それを買っていただける場所と値段を提供するのが、ショップの役目ではないかなと。
――いろいろと試していると、そういう中からおもしろいものが生まれる。
倉石 そうです。やっぱりマニアの方々は我々が知っている以上に、すごく情報が早いですから。びっくりしますよ。そういうユーザーさんに助けられてきました。それと同時に、大手メーカーさんがやられているような、提案型のPCもやっていきたい。今だと「トレーダーズPC」をやっています。
――トレーダーズPCですか?
倉石 今年の僕が考えるPCのキーワードが「PCは金儲けの道具」なんです。ネットトレーディングだったり、オークションであったり、アフィリエイトであったり。そういう道具としてお客様がPCを考えていただければと。幸い株で大儲けした人たちもいっぱい生まれていますしね。
――「お金儲けのPC」ってどんなマシンなんですか?
倉石 モニターをデュアルにしたり、クワッドにしたり。「Xキーズ」という特殊なキーボードをつけて、特定銘柄の株価情報をショートカットに登録して、瞬時に呼び出せるようにする。さらに、私の知り合いで、「新規公開株初値予想情報サイト」(リンク)を運営している人がいてですね、ドクターIPOっていうんですけれども、そこと提携できないかという話をしています。3ヵ月間そこのメールとアカウントが無料でうちのPCについてくる。そうするとお客様はもっと儲かるチャンスが大きくなるので、当社のPCを買っていただけるんではないかと。あとはPCゲームがもっと普及して欲しいですね。ゲームがおもしろければ、いいグラフィックボードを買う方がいっぱいいますから。
継続的に赤字で物を売るという行為そのものもが違法
――でも、日常の業務はやっぱり価格の交渉とかにとられますよね?
倉石 そうですね。でも、我々もよくなくいですね。安く買っても安く売ってしまう、1万円で買ったら1万100円で売るし、5000円で買ったら5100円で売ってしまう。業界が全部そうなっていて、それをなんとかしないといけない。みんなわかってはいるんですけれども、やっぱり足並みがそろわない。じゃあ今からやりましょうというわけにもいかない。その日に何を100円値切るかよりも、もっともっと前向きな話があると思います。
――難しい問題ですね。
倉石 そうです。この間、某価格比較サイトさんが広告のご提案にいらしたときに、ちょっと説教じみちゃったんですけれども、「広告の話はいいけれども、今御社のクライアントさん、私どもを含めてものすごい価格で売っている認識がありますか?」っていう話をさせていただいたんです。独禁法の一つの項で不当廉売っていうのがあって、継続的に赤字で物を売るという行為そのものもが違法なんです。価格比較サイトさんに価格を上げろと言うことは無理ですけれども、せめて規約に載せて赤字販売を抑制して欲しいと。「赤字で継続的に販売することは違法行為です」と。そういうことをやって市場がもっと健全になれば、広告もいくらでも出せまし、ユーザーの方々にももっともっといいサービスができます。とか言いながら、実際のユーザーの立場になって比較サイトを利用すると、とても便利で困っちゃうのですが……。
――安い以外の価値観も欲しいですよね。
倉石 そうなんです。だからHDDも8万台売って、なんでこんな儲からないんだっていう話です。やっぱり今考えるのはHDD8万台売ったらその半分にでも、何かをつけて500円高く売れる物はないかなと。例えばキャッシュソフトとか、高速化するツールやディスクの診断ツールだとかディスク1枚付ける、スポンジみたいな物をつけて振動を抑えて静音仕様にするとか。そうやって、もうちょっと健全に商売をさせていただきたいなと。
PCショップで働くなら、やっぱりフェイスを選びますね
――アキバ自体ももだいぶ変わってきていますよね?
倉石 そうですね。すごくきれいになって、おしゃれな喫茶店も駅前にできて。ただ、昨年テレビとかで“アキバ系”って言葉がすごく流行ったじゃないですか。「電車男」とかもあって。最初僕、“アキバ系”って言葉がすごく嫌いで。マニアックという印象が強くて、そういう言葉を使って欲しくないって。それが最近そうじゃなかったと思うようになりましたね。どんどんきれいに変わってきて。でも、アキバはどんなにおしゃれになろうとも、青山や六本木にはかないませんよね。アキバはやっぱりマニアックな部分が人を惹きつけて、魅力的なんだなって。“アキバ系”は“アキバ系”でいいじゃないかと思うようになりましたね。だからむしろ、今はもっとマニアックであって欲しい。開発が進んでいる中で、そういう部分が残ってほしいですね。
――最後に、倉石さんがフェイスさん以外にどこでも好きな店舗に店員として入れるとしたら、どこか入りたお店はありますか?
倉石 いやあ、どうでしょう、わかんないですね(笑)。客観的に見れないですから。ただ、PCショップで働くなら、やっぱりフェイスを選びますね。それが本当に正直な気持ちです。
――倉石さんのフェイスに対する思い入れみたいなものを、今日はとても感じました。
倉石 そうですね。まだ全然やりきれていないですけれども。こうすればいいのにっていうアイディアは、まだいっぱいあります。フェイスには愛着もありますし組織が大きくなっても、フェイスの機動力は維持していきたいと考えています。
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倉石敬介(くらいし・けいすけ) アロシステム(株)執行役員、フェイス事業部・部長。東大在学中にTWOTOPでアルバイトを始め、98年フェイスオープン時に移籍し、就職。その後、TWOTOPと合併してユニットコム、アロシステムと会社の形は変わるが、一貫してフェイスのスタッフとして現在に至る。広告・マーケティング、商品の仕入れ、店舗運営などを手がける |
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【取材協力】
(大森徹哉)
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