【特別企画】東芝製HDDレコーダ『RD-XS40』開発者インタビュー&ユーザーインプレッション
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2003年6月15日
昨年、東芝からDVD-RAM搭載HDDレコーダ『RD-XS30』が発売になり、更に上位機種『RD-XS40』『RD-X3』も登場している。実売価格については『【秋葉原・新宿】HDDレコーダ実売価格調査』を参照していただきたいが、今回は、先日レビューコーナーでも紹介した『RD-XS40』について、開発者にインタビューを行った。また、前機種『RD-X30』は筆者のまわりでも購入した者が随分おり、その代表としてライターの那須氏に使用感をうかがった。
――『RD-XS40』はHDDを120MB搭載してますね。HDDは流体軸受けですか?
【伊藤】そうです。第2世代目の流体軸受になりますね。数値的にもかなり静かな方だと思います。今回の製品は容量120GBですが、『RD-X3』では160GBにアップしてます。HDDのメーカーはSeagateです。このHDD、実は7200回転なんですけど、当初は7200回転ものスペックがあって騒音は大丈夫か?という不安はあったんです。しかし、サンプルいただいて検証してみたところ、かなり静かでしたね。(駆動中のRD-XS40を見ながら)今若干音がしてますけど、これはファンの音です。HDDの音は電源を入れたときだけ気になるアクセス音がしますけど…。ファンに関しては特注品を作ればいくらでも静かにできるんですが(笑)、それだとコストがかかってしまいます。以前のモデルだと筐体の高さが110mmあったので、ファンも大きなものを採用して回転数を落とすという手法も考えられたんですけど、現在は回転数を上げなければならないんです。
――ファンは温度可変ですか?
【伊藤】通常、私どものセット保証温度は5度から35度になってるんですけど、このうような製品の場合、ユーザーの環境によってはAVラックのなかに閉じ込めておくケースが考えられますよね。したがって40度くらいまでをマックスと考えてまして、それを考慮した設計になってます。ファンは70mm角のもので、35度近くになると速度が切り変わるようになってます。
――光ディスクの音は?
【伊藤】そんなに高速回転してないんで気にならないと思います。
――振動を抑えるためにHDDにゴムなどをつけるケースも考えられますが
【伊藤】ゴムなどを採用すると経時変化で性能が変わってくるんです。HDDのヘッドが自己共振していしまうので、そのような処理はやってないですね
――基板に関しては?
【伊藤】基板のコストが結構高いんですよ。多層基板をなるべく使わないようにしてまして、デジタル基板だけ4層、あとは2層か1層。画像処理に関する部分は2層になってますね。
――苦労された点というのはどこになりますか?
【伊藤】『RD-XS40』は120GBのHDDを積んでますけど、最近発表された各社さんのHDDレコーダを見てると容量勝負みたいなところがありますよね。ところが新製品のHDDというものには、開発スケジュールの問題がついてまわります。こちらに採用しているのも新世代のHDDで、メーカーの開発スケジュールと私どもの量産スケジュールがマッチしてなかったんですよ。単に容量の大きなHDDに入れ替えるだけなら問題ないんですけど、HDDを制御するソフトが独自仕様になってまして、それをHDDメーカーさんにモディファイしてもらうという作業が発生します。HDDメーカーさんもまずPC用に製品を開発して、それから私どものようなモディファイされたものを出してくる。私どもはSeagateさんとかなり緊密に開発を行ってますんで、今回はアメリカのコロラド乗り込んで行って作業を行いました。その日程がタイトでした。
――モディファイというのは具体的にいうと?
【伊藤】AVモードといいいますか…PCと違ってリアルタイムでデータを記録するために処理時間を短くするような制御動作をしています。PCの場合ですと、リトライして記録に失敗したらまたリトライ、それを何回もやる。AVモードではそれに制限を加えてます。ある所要時間内で書き込めない場合、次のセクタに移動するんです。実はAV仕様のHDDというのを昔からHDDメーカーさんは作ってるんですね。PCのHDDの場合、仮に読み取りエラーが起きた場合、何度もリトライして1〜2秒かかっても精度良く読めれば基本的にそれで問題はありません。AV機器の場合はリアルタイムで録画したり再生したりした場合、リトライを長い間やっているとその間データが落ちてしまう。AV機器ではデータが落ちるということは基本的に許されないですから、そのためにリトライよりは、仮にエラーが避けられないようであればリトライをあきらめて次の作業にいくと。その辺の思想が違うんですよ。でも、120GBもあると、テスト段階で録画したり再生したりを何度もしなきゃならないんですよね。その時間がバカにならない(笑)。だから1〜2日、夜中ずっと駆動させっぱなしにしてエラーがないかとかログがとれる状態でテストしたりしてました。
――ちなみにHDDのプラッタ数は
【伊藤】2プラッタです
――現在、ATAPI2系統使ってるという話ですが
【伊藤】リトライ処理が発生した時、その間ATAPIが占有されてしまうんですよね。で、例えばこの機種はHDDに録画しながらDVDから再生っていうことができますから、もう一方のところで事故が起きてしまうと録画されているものが一瞬止まってしまう、そいう事態を防ぐためですね。また、何らかの形で一方のATAPIが占有されても、もう一方がちゃんと動いているという…。
――今後、Serial ATAのHDDが採用されたりということはないですか?
【伊藤】それは市場がどうなるかによりますね。その時に標準となっていてコストパフォーマンスに優れたものを使うというスタンスですから
――他に苦労点はありますか?
【伊藤】今回、“ネットdeナビ”でイーサネット関連が追加されたんで、LANコントローラのチップを新しく採用しました。LANに関しては実験したことなかったので、PCの設計部隊に助けてもらいました。実装状態でチップメーカーさんとテストを行ったんですけど、通信距離の規格みたいなものがあって、実際に長いケーブルをもってきて評価したり…。どういう点に留意してチップを選べば良いかなども助けてもらったんですけど、そもそもPCIバスのLANコントローラっていうのはたくさんあるんですが、組み込み用に使えるものはあまりないんです。止めちゃっているところが多いんですね(笑)。だから探すの結構たいへんでしたね。
――ところで標準的な録画モードは何Mbpsなんですか?
【海野】SPモードで映像がビットレート4.6Mbps、音声が192kbps。絵と音を足して4.8Mbpsになります。
――実際、4Mbpsで観るに耐えられるものでしょうか?
【海野】そうですね、番組によって大きく違いますね。例えばドラマなんかは問題ないと思いますし、ビットレートがちょっと低くてもいいんですけれども、サッカーとか動きの激しいものや、比較的不得意なJポップの番組なんかは一番高いレートにしたほうがいい。ただし、これもお客さんにもよるし、テレビの大きさとかでもかなり違います。30インチくらいだと目立つかもしれないですね(笑)。だからお客さんに説明するのは難しいんですよ。よく質問されるのはVHSと比べてどっちがきれいなんですか?って質問。その気持ちはよくわかるし、当然の質問なんですね。ただ、場合によりけりになってきます。
――実際に購入しているユーザーの使い方は?
【伊藤】様々ですね。買ってしばらくHDD全部使ってないっていう人が結構いるんですよ。録ったら消してということをずっとやってて…。ただ、そのうちいっぱいになっちゃうんで、DVDにコピーしたいんだけど、どうすればいいの?って聞いてくるお客さんが結構いたり
――購入されているのはどういう方なんでしょう?
【伊藤】PCでキャプチャを行っていた人というよりも、ビデオを何台も持っていたというお客さんが多いですね。やはりVHSのポケットは大きいですよ。
【海野】実際に使ってもらうと、家ではそんないハードに詳しくない奥さんが使っちゃって自分が録画するスペースがないとかいうことが起きてくるんですけど、その便利さを最初にアピールするのが難しかったんです。今は買った方がさらに口コミで「すごくいいよって」伝えてくれてる状態ですね。ですから最初はマニアです。
【伊藤】質問も最初はマニアックなものが多かったんですが、普通の質問に変わってきましたからね。
【海野】そうですね、普通の質問が増えてきましたね
――ソフト面で使い安さのポイントは?
【海野】録るナビ、編集ナビ、見るナビという3大ナビがあるんです。例えば、録るナビにはDVD-RAMへの録画を考慮したAB面録画というのが用意されています。DVD-RAMは両面のディスクなんですけど、残念ながら面を自動的に切り替える機能を本機は搭載していないです。そこで、例えば両面使えば4時間くらい録画できる場合、そのままディスクに書き込むと途中で切れてます。そこで最初に片面分だけDVDに録画して、残りはとりあえずHDDに録画しておくという機能です。そしてRAMディスクをイジェクトしてひっくりかえしてHDDからRAMにコピーすると。しかも、例えば音楽番組だったらどこで切れるかわからなくて…途中で切れたら困るじゃないですか。だから10分だけオーバールックして録画するとか、そういうところはかなり凝ってますね
【海野】あと画質もですね、基本的には先ほどのSPとLPと2種類があって、SPは4.6Mbps、LPはその半分で2.2Mbps。大抵はこれを使っていただくんですけど、もうひとつジャストっていう機能を用意してます。予め、何時から何時まで録画したいという録画時間がわかっている場合が多いので、その時間を設定しておけば丁度ディスク1枚分に入るレートを計算して録画してくれるというモードです。あとは、マニュアル設定では一番下に1.4Mbpsという極端に長時間録りたいという場合を考慮した設定が用意されていまして、これだと6時間分くらい入るんです。マニュアル設定の場合、ビットレートは2.0Mbpsから一番上が9.2まで0.2Mbps刻みで30何種類あります。
また、我々が考えた特徴的なものにクイックというボタンがあります。これはウィンドウズのマウスの右ボタンみたいなもの。音声と映像の設定を行っている時に、そのときに使える項目が表示される。もうひとつはネットでナビっていうのがあってパソコンからの予約もできるんです。
――単純な質問なんですが、CMカットという機能はあるんでしょうか?
【海野】それは特に用意してないですね。ただ、無音部分があると目印を入れるという機能は入れてあります。それを設定しておくと自動的にチャプターを作ってくれます。
――ほかに特徴的な機能はありますか?
【海野】レート変換ダビングというのが挙げられます。例えばSPモードで5時間分HDDに録画してしまうと、もうDVDには入らなくなってしまいます。5時間ではなくて2時間10分でもいいんですけど、ちょっとだけ入らないという場合にちゃんとコピーできるレートでエンコードしなおして、HDD内にデジタルコピーを行うというものです。さらに容量節約モードというのがあります。さきほどJポップの話がでましたけど、動きの激しいところは高いビットレートで、そうでないところは低いビットレートで録画するというものですね。
まあ、今回は全部苦労しましたけど(笑)。再生しながら録画する、おっかけ再生…同時に2つのことを行う処理が結構入ってるんですよ。パソコンの場合は「録画中はほかのソフトは動かさないでください」みたいなところがあるじゃないですか?でも、我々は同時に2のことを行えるところをウリにしているので、それをきちんと処理できるようにするのが難しかったですね。
ここからは、実際に製品を使っているユーザーの感想を聞いてみよう。今回は代表として、ライターの那須涼介氏にご登場いただいた。
●プロフィール・那須涼介(なす りょうすけ)
主に「PC Explorer」誌で原稿を執筆しているPC系何でもライター。ただし、最近では自宅でPCを触る時間は極端に減り、RDで溜め込んだ映像を視聴することに専念。ついには、TVを横に2台並べ、ゲームをしながらTVを見る、ニュース番組をチェックしながら、RDに録画した番組を見る、などの高度なテクニックを習得するに至った。
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ユーザーズインプレッション
――那須さんは『RD-XS30』を実際に自宅で使ってるんですよね
はい、昨年の10月に通信販売で購入しました。その後、『RD-XS40』がでたんですけど、大きな違いは“ネットdeナビ”がついているかいないかですね。
――当時はいくらくらいだったんですか?
8万2000円くらい。その時点ですぐに手に入れることができて安いのは通販しかなかった。
――購入ポイントは?
ネットで見たりして研究したんですけど、どう考えてもRDが良さそうだった。
――具体的には?
たくさん録画して保存するのに便利なのがRDだったんですよ。『RD-XS30』はプレイリストっていう仮想のファイルを作って、ダビングを行う。
番組のCMカットする時は番組ファイルを直接加工してCMを削除した方がわかりやすいんですが、東芝はそんなことしてもし失敗したら、一生取り返しがつかないという発想ですよね。例えば音楽番組のタモリが喋ってるところだけ削除して、ハロプロ分だけを保存したいと。そのときにうっかりハロプロ部分を削除してしまったら、その日、もう眠れない人もいるじゃないですか(笑)。あとは、東芝だと複数の番組タイトルから取り出せる。例えば、音楽番組で先週分、先々週分、今週分のなかからハロプロ分だけを取り出してプレイリストにできるんです。
他にビットレートを細かく選ぶことができる点が気に入りました。特に便利なのが、CSのアニメ専用って言われている設定なんですけど、3Mbps(4Mbps)以下だと普通のやつは360×480ドットになるんですけど、RDは3Mbps〜3.8Mbpsのときに480×480ドットになる。そのかわりDVD-Rには焼けないんですけど…。それで3.2Mbpsで録画してアニメがちょうどDVD-RAM1枚に7話入る。そういう細かいところの気が利いている。
――実際に使ってから、これはいいと気がついた点は?
ソフトの使い勝手がいいんじゃないですかね。編集が簡単だったり…。
――クイックメニューは便利ですか?
便利ですよ。普通はメイン機能から順番に枝分かれして、階層的に一個一個メニューを再度戻らなきゃいけないんですけど。東芝のはどこの階層にいっても、クイックメニューっていうボタン、つまり右クリックメニューみたいなものがあって、そこでできる機能が即座に出てくるんで、やりたいことがすぐにできる。
――例えばそれはどういうときに便利なんですか?
例えば“見るナビ”っていうのはサムネイルで1画面に6つのタイトルがでてくるんですけど、そこでクイックメニューを出すと、チャプター作成、タイトル入力、ダビングとか一気にガーっとでてくる。その録画番組に対してできることがでてくるんですね。とにかく何かしたいことがあればクイックは便利。
あとは、やっぱりDVD-RAMが便利なんじゃないですかね。RAMは完全にHDDのバックアップメディアになってるんですよ。HDDでも、ハロプロ編集したいと思っててても容量がなくなったりした時は、とりあえずRAMにコピーしとけばいい。HDDにもどすときも無劣化でHDDに戻せるし…。
――同時に2つのことが可能というけれど、制限は?
録画しながらDVDとかHDDを見たりはできるんですけど、コピーはできないですね。
あとRDの思想の徹底しているところは、“録画予約最優先主義み”たいのがあって、ほかの作業してても録画予約の5分前になると中断されてしまう。だって、編集の作業なんていつでもできるけど、予約録画しようと思ってる番組は一生に1回しか流れないかもしれないですよね。
――録画予約がはじまってもDVDは見れるわけでしょ
見るのは問題ないんですけど、たとえば編集とかRAMへのコピーとかやってる途中でも、録画予約の時間がきたら録画をはじめちゃうんですよ。ビデオデッキ時代にタイマーボタンってあったじゃないですか?あのタイマーボタンもないんですよ。
――へー何で?
録画予約の時間がきたら、何がなんでも録画をはじめる。だってそうじゃないですか?うっかり編集にはまってて録画予約の時間忘れてたら泣くでしょ。警告はあるかもしれないけど、警告の瞬間トイレに行ってるかもしれないし。
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