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【特別企画・最新パーツ性能チャート(Vol.3)】AMDが大逆転の世界最速CPU「Athlon XP-2600+」を発表!


2002年8月21日

Athon XP-2600+
Athon XP-2600+。外観はすでに発売ずみのThoroughbredコアのAthlon XP-2200+と変わらない。マーキングはAXDがThoroubredコアのAthlon XPを示し、Aはデスクトップ用、2600がモデルナンバー、DがOPGAパッケージ、Kが1.65V動作、Vがダイの動作温度が85度まで、3が内蔵2次キャッシュ256KB、CがFSB 266MHzをそれぞれ示す。Athlon XP-2200+とモデルナンバー以外すべて一致する

 日本AMDは、同社のフラッグシップCPU、Athlon XPシリーズに、新たな最高速モデルとなる「Athlon XP-2600+」「同2400+」を発表した。すでにOEM向けには出荷ずみで、9月以降、大手PCメーカーから搭載製品が登場する予定だ。2600+の動作周波数は2.13GHz、2400+は2GHz。Pentium 4に続き、CPUとして2番目に2GHzの壁を破った。価格は2600+が297ドル、2400+が193ドルとなっている。なお、これに合わせて2200+以下のプロセッサについても一部価格改定が行われる模様だ。
 CPUコアはすでに発売ずみのAthlon XP-2200+同様「Thoroughbred」コアが用いられ、ドレスデンのFab 30で、0.13μm銅プロセスで製造される。消費電力は2600+が62W(Typical)、68.3W(Max)、2400+については現時点では不明である。同社はこのCPUを「World Highest Performance CPU」としており、事実上Pentium 4-2.53GHzを上回る性能であることを示唆している。



ついに周波数を「飛ばし」た!

 従来Athlon XPシリーズは、実クロックを66MHz上げるごとに、モデルナンバーを100ずつ上げてきた。ところが、しかし、今回この路線に一部乱れが生じている。

グラフ1 モデルナンバーとクロックの関係。2400+のところで周波数が大きく 上がっている。1グレード分スキップしたためだ

 つまり、2200+から2400+に上げるところで、従来なら133MHz(2段階)しかアップしなかった実クロックを、今回は200MHz(3段階)上げていることになる。これまでの手順であれば2500+を名乗るべきCPUを、2400+と名乗らせている。今回の2600+は、従来のAthlonの性能向上カーブから見れば2700+に相当する性能だ。
 モデルナンバーは大きい方が高く売りやすいのに、なぜわざわざ100を引いているのか?

 実は、Athlon XPのモデルナンバーは、実際のクロックの向上率より多く増えている。例えばAthlon XP-1333MHz(1500+)とAthlon XP-1666MHz(2000+)では、周波数は25%アップなのにモデルナンバーは30%上がっている。言い換えると、モデルナンバーから想像するより、実際の性能向上は少し低いということだ。
 AMDはモデルナンバーを、あくまで性能の上下を示すための指標で、厳密な性能差を表しているわけではないとしている。実際、製品名の一部であるモデルナンバーを、例えば1586だの1673だのといった数字にはしにくいのもわかる。しかし、現実にはモデルナンバーは、Pentium 4の何MHzと同等の性能であるかを知るための手がかりとして理解されている。そのPentium 4は、1.5GHzから2GHzで実際にクロックが33%上がっている(=性能が33%上がっている)。そのため、1.5GHzと1500+では1500+が大きくリードしていたのに、2GHzと2000+では明らかに差が縮まっている。しかも、Pentium 4はNorthwoodで2次キャッシュを512KBに増やしたうえ、2.26GHz以降ではFSBを533MHzにアップさせ、同じクロックでも旧Pentium 4よりずっと高速になった。おかげで、2.2GHzと2200+では勝負は僅差であり、このうえ66MHzアップにつき100プラスを続けていくと、まもなく「名前は○○+なのに、Pentium 4-○○MHzより明らかに遅い」という事態が発生するのは火を見るより明らかであった。
 筆者は以前PC Explorer誌でこの点を指摘し、解決策としては「クロックを1段階飛ばす」「FSBを333MHzにする」「キャッシュを増やす」の3つがあると述べた。このうち「飛ばし」に関しては、クロックとモデルナンバーの対応に大きながたつきが生じるため、難しいのではないかと予測したのだが、AMDは今回、2200の次を2400と、モデルナンバーを200上げることで、クロックが大きく上がっているのを比較的目立たなくしている。





明らかに2200+とは異なる物理特性

 0.13μmプロセスのサラブレッドコアのAthlonは、データシートを見ると、1700+から2200+までがラインナップされている。そのうち、1700〜1900までは、電源電圧が1.5Vで、1.75VのPalominoコアに比べ消費電力は30%ほど削減されているのだが、2000+以上では電圧が1.6または1.65Vに上がっている。1.65Vで動く2200+においては、消費電力は61.7W(TDP、Typical)となり、PalominoのXP-2100+とほぼ同レベルまで上がってしまっていた。この調子では、Thoroughbredの2300+以降ではさらに電圧アップが必要なのではないか、そうなると、消費電力の多さがさまざまなトラブルをもたらすのではないかと、誰しも不安に思うところだ。

 幸い、2400+と2600+は、電圧は1.65Vのままであった。ただ、消費電力は周波数に比例するので、2200+のときのコアがそのまま使われるとすると、2600+の場合の消費電力は73.1Wとなる。これはPalomino版Athlon XP-2200+の64.3Wを14%も上回る、きわめて「熱い」プロセッサになる。ところが、今回登場した2600+の消費電力は62Wしかない。2200+と比べ、クロックは18%上がっているのに、消費電力はほぼ同じだ。
 電圧が変わっていないので、この事実は、CPUコアのキャパシタンス(静電容量)が18%ほど減っているということになる。つまり、初代サラブレッドに比べ、はるかに高速かつ省電力なコアになっているわけだ。プロセスの微細化がもたらすキャパシタンスの減少効果が、今回の2400/2600+のコアでようやくはっきり見えてきたと言える。  ちなみに今回、ダイサイズが84mm2、トランジスタ数が3760万個と公表された。従来のアナウンスではダイサイズは80mm2、トランジスタ数は3720万個とされていたので、ここからも、AMDの0.13μmプロセス上で日々改善がなされていることが伺われる。

Pentium 4-2.53GHzを楽々上回る世界最速CPU

 ではお待ちかね、実性能の計測に移る。ライバルは当然、Pentium 4の最高機種、2.53GHzだ。2600+という数字からは、2.53GHzにそれなりの差をつけてリードしなければならないがどうだろうか。
 Athlon XP-2600+の環境がEpox K83A+(KT333)によるPC2700ベースであるため、Pentium 4側はAOpen AX4B PROマザーボードを用い、i845GにBIOS設定でPC2700を装着して比較した。HDD(Barracuda ATA3-40GB)、ビデオカード(GeForce3 Ti200)、使用メモリ(Winbond製PC2700-CL2.5)は共通である。

 2000+〜2200+のゾーンでPentium 4と僅差の勝負になっていたSysmark 2001では、今回再びはっきりしたリードを得た。このほか、PCMark 2002によるCPU性能、SiSnadraにおけるマルチメディア処理も、ちょうど2600+という数字がふさわしい、適度なリードを保っている。Direct Xベースの3D描画の3DMark 2001と、Windows Media EncoderによるオーディオのWMA形式への圧縮、SiSandraにおけるCPU、Superπの各テストでは、2533対2600という数字以上の大きな差をつけている。一方で、SiSandra/PCMark両テストでのメモリ性能では、Pentium 4が1.5倍ほど高性能になっているほか、OpenGLベースの描画を行うQuake3 Arenaも11%のリードを許している。SiSandraのCPU/FPUは、x87ベースではAthlonの大勝だが、SSE2ベースではPentium 4が10%のリードとなる。

 SiSandraやPCMarkのCPU速度、あるいはSuperπやエンコード系の処理でAthlonがリードしていることから、CPU単体のパフォーマンスは2600という名前以上のものを感じさせる。ただ、メモリ性能では明らかにPentium 4が優位であり、アプリケーションレベルでは、メモリへの依存度によって差が多少縮まっていると言える。
 CPUの性能は、アプリケーションの動作速度で見るべきであることを考えると、今回のベンチマーク群でのAthlonの「負け」は実質、Quake3とSiSandraのFPUの2つである一方、大きな差をつけて勝っているものは多い。そう見ると、AMDのいう「世界最速CPU」という言葉は妥当なものと言っていいだろう。さらに、2600+の価格が297ドルであることも見逃せない。日本円にして3万6000円ほどだろうか。Pentium 4-2.53GHzはこのところ安くなっているとはいえ、まだ市場では5万円近辺である。Athlonのハイエンドへの本格復活で、Intelファンにとっても、Pentium 4の高速モデルの低価格化が期待できるのはうれしいことではないだろうか。




グラフ2 Sysmark 2001 Office Productivity(棒は長い方が高速)

グラフ3 Sysmark 2001 Internet Contents Creation(棒は長い方が高速)

グラフ4 3DMark 2001(棒は長い方が高速)

グラフ5 TMPGEncによるMPEG圧縮テスト(棒は長い方が高速)

グラフ6 PCMark 2002(棒は長い方が高速)

グラフ7 SiSandra(棒は長い方が高速)

グラフ8 Superπによる演算性能テスト(棒は長い方が高速)

グラフ9 Windows Media Audioによるオーディオ圧縮テスト(棒は長い方が高 速)

グラフ10 QuakeIII Arena DemoによるOpen GL描画テスト(棒は長い方が高速)
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