DC版「CRAZY TAXI 2」のプロデューサー菅野顕二氏を直撃! 極秘情報も大公開!!
|
2001年6月1日
昨年1月の発売以来、日本と海外を合わせて100万本以上のセールスを記録した、ドリームキャスト用ドライビングアクションゲーム「CRAZY TAXI」、通称「クレタク」。“タクシーのドライバーとなってお客さんを目的地まで時間内に届ける”という単純なルールながら、その爽快なアクションと練り込まれたゲーム性で人気となった「クレタク」だが、その第2弾「CRAZY TAXI 2」がついに本日発売された。あの「クレタク」が“2”になってどう進化したのか? アメリカのE3で、Xboxへの参入を発表して帰国したばかりのプロデューサー兼ディレクター菅野顕二氏にお話をうかがった(インタビュー内敬称略)。
「西の次は?」……やはり東のニューヨークかな、と
──最初に、“2”になって追加されたゲームの新要素についてお聞きしたいのですが。
【菅野】まず、団体客というのが新要素ですね。前作ではひとりしかお客さんを乗せられなかったんですが、今度は最大4人までの団体客がいます。スコアがたくさんもらえるんですが、それぞれ目的地が別々だったりするので、マップを把握していると有利になりますね。それと、送り届けるまでの時間も気持ち短い設定になってまして、少し厳しいお客さんかな、と。ちょっとリスクがあって、その代わりに見返りも大きいという存在を入れて、新しい攻略法をユーザーさんに考えて欲しいな、ということです。それともうひとつ、“CRAZY HOP”という、タクシーがジャンプする新しい走行性能を加えました。ボタンひとつのアクションになってますんで、ダッシュとかドリフトとかのテクニックと組み合わせて使えば「なんだ、ただ飛ぶだけじゃん」というだけではない、技の広がりを見せると思いますんで試してみてください。
 |

登場するタクシーはローライダー仕様。CRAZY HOPを使えば、好きなところでジャンプできる |
──その他に、ユーザーからの反応を取り入れた、というような部分はありますか?
【菅野】「CRAZY DRIVING」という、80秒間コースを好きなように走るモードがあるんですが、そのプレイをビジュアルメモリに保存し、リプレイすることができるんです。「自分のプレイを見たい」というユーザーさんの声を反映させてもらった部分ですね。
――確かに、ウェブ上の「クレタク」ファンサイトを見ていてもリプレイ機能の要求が高かったですね。
【菅野】本当だったら、ノーマルのモードでやったところをリプレイしたいというのがユーザーさんの本音だと思うんですけど、それをやるとメモリがどれだけあっても足りない(笑)。でも「出来ないからやらない」ではなくて、別のアプローチでユーザーさんの期待に応えようと思いまして、このような形になりました。各ユーザーさんが「俺なりの走り」みたいのをビジュアルメモリに収めて、お互いに見せ合うのも面白いのじゃないかと。そういった遊び方もしてもらうと、作った甲斐ががあります。
──今回、一番手間のかかったところはどこですか?
【菅野】コースを作るところですかね。かなりデカイんですよ(笑)デカイというか、今回のは“密”なんですよね。
──コースが密になった、というのは具体的にどういうことでしょうか?
【菅野】CRAZY HOPで飛ぶことが可能になりましたよね。それでコースを段構造にして、いま走っている道から別の道へコースがショートカットできるようにしたんです。でもそうなると前作では作っていなかった建物の屋上部分も作らなくてはいけないという…。つまり、タクシーが道から道へ飛んでいく空間の、上下左右を作らなければならない。たとえばビルとビルの間に道がない場合、前作はそのビルを回り込みましたよね。だから作る側としては、回り込む道と、ビルは道に面した部分だけ作っておけばよかった。でも今回はビルとビルの間を飛んでいくわけですから、そのビルの側面もしっかり作り込まなくてはいけない。そして、もしその上に高架や屋根があれば、そこに当たったらどうなるかを指定する必要があるということなんです。飛んで、屋根に当たったら跳ね返りますよ(笑)。
そんなところを多々作り込んでいくとですね、“ちりも積もれば”でデーター量が多くなるんです。これが「コースが密になった」ということですね。
――「2」ではゲームの舞台が、前作のアメリカ西海岸から、東海岸のニューヨークに移っていますよね。
【菅野】続編ということで、ただ単にコースを変えただけにはしたくなかったので。映画で言えば「エイリアン」も良かったけど「エイリアン2」も良かったね、みたいな形にしたいと(笑)。アイキャッチ的な意味もあるんですが、アメリカ西海岸とは明らかに違う雰囲気を打ち出したいと思って。やっぱりこの「クレタク」はアメリカンテイストなんで、西の次はどこ? と言ったらやはり東のニューヨークかな、というのは万人が考えることなんじゃなんですかね。
――ロケハンには行かれたんですか?
【菅野】ウチのチームは一度もロケハンに行ったことはないんですよ。
――写真などのイメージ資料だけで作られたわけですか?! あの街の作り込みからすると意外な感じですね。
【菅野】世界の果てとかならロケハンに行かなきゃいけないですけど(笑)、アメリカですからなんとかなるもんですよ。
 |

今回登場する新キャラクター。左からHot-D、Slash、Cinnamon、Iceman |
「バカっぽく、かつクール」な感じのゲームにしたかった
――「クレタク」は、いわゆる車を使った多くのゲームと違って、普段そういうジャンルを遊ばない人にも取っつきやすく、それでいてプレイしていると深みがあるというということで、評判も高いですよね。間口は広く、かつ奥が深く、ゲームバランスが非常に良いという印象なんですが、それはゲームを開発する上で狙ったところなんでしょうか?
【菅野】一応考えていましたよ、間口を広くするというところは。たとえば、車に当たったときにその車がハデに吹っ飛んで、自分の車もダメージを受けて一瞬にスピードがグンッと落ちる。でも、すぐに復活して走り出せるとか、そういう点はかなり現実の世界とは離れた部分で作ってあげないと、初めてやったお客さんはストレスがたまるだろうと。
でも、ゲームですからクリアするためのハードルを与えなくてはいけない。目的地が遠い客はサークルが小さくて拾いずらく、うまく車を止めないと時間のロスをしてしまう、というようなところですね。そういう点で、初めてやる人にとって入り口のところで「プレイのストレスはないけど、ゲーム的なダメージを与える」ということを考えてます。でも、それがうまくいったかどうかは、開発中は分かりませんよね、発売になってユーザーさんに評価してもらわないと。だから、出てからの反応が良かったことは、スタッフ一同喜んでますよ。逆に、前作については悪い評判というのを目にしたことがないんですよ。ダマされてるんじゃないかと、いまだに(笑)。
――みんなでグルになってるんじゃないかと(笑)。
【菅野】そうそう(笑)。こいつらグルじゃないかと(笑)。ホントなの? と疑いを持つぐらい……まあ、喜ばしいことなんですけどね。ちょっと今までにない反応でしたね、あれは。
――海外での反応はどうですか? E3にも行かれましたけど、そのときの反響なども含めて。
【菅野】セガのブースがクローズだったんで、一般のユーザーさんの反応は見られなかったんですけどね。ただし、E3全体を見渡しても似たようなテイストの類似するゲームはないんですよ。アドベンチャーとかスポーツといろいろジャンルはありますが、自分で言うのもなんですけど「クレタク」のような独特のテイストを持ったゲームは他にないんだな、ということに気づきました。それが「クレタク」は面白いと評価を受ける理由なのかな、と。人気があるんだなと実感したのは、セガオブアメリカ(編注:セガの米国法人)が黄色い車とキャラのコスプレした人を用意して写真を撮るサービスをしてたんですけど、結構並んで撮ってもらってる人が多くて。結構認知されてるんだ、と思いました。
――「クレタク」には、ちょっと、いわゆる洋モノゲーム風のテイストがあると思うんですけど、あのテイストというのはどこから出てきたんでしょうか?
【菅野】一番最初にスタッフと話したのは「バカっぽく、かつクール」な感じにしたいと。最初に西海岸を舞台にしたのも、そういったイメージにしたいというのもあって。タクシーをオープンカーにしたのも、キャラクター同士の絡みを見せるためなんですよ。いわゆるレースゲームって、人間の存在が見えなくて冷たいイメージを感じるじゃないですか。それが、やっぱり人間が出てくると柔らかいイメージを受ける。そう言う意味でオープンカーにした、とか。
あと、たとえば遅く届けたときは乗客が怒って車を蹴りますよね。あれは、ルールが分からなくてもプレイしている人が「あ、ダメだったんだな」ということを見た目でちゃんと伝えてあげようということなんですよ。それもプレイがダメだったことで、ユーザーが頭に来てネガティブな思考が生まれないようなものにしていきたいと。全てをその方向性で作っていきました。それで、その方向を見つめていったら、ああいったテイストのゲームになったというわけです。
――レースゲームやドライビングゲームは、タイムアタックに代表されるように、プレイしている人たちがどんどんストイックな方向に行ってしまう傾向があって、それ以外の人が取っつきにくくなる、ということがあると思うんです。その点「クレタク」はそういった感じがなくていいなあ、と思うのですが。
【菅野】リピートしてやってほしいという強烈な想いがあまりなかったんですよ。逆に、パッとやってパッと止めて、でいいという。最初はアーケード用の企画だったので、ユーザーの人たちがゲーセンに来て「クレタク」プレイして、終わって「あースッキリした。じゃあ違うとこ遊びに行こうか」という感じになればいいなと。そして、そんな人たちが何人も入れ替わり立ち替わり入ってくるという。連コインするんじゃなくてね。
……なんと言うか、お客さんのプレイスタイル、「カッコイイ」プレイスタイルになってくれるといいなっていう想いがあったんです。ずーっとやり込んでいると、疲れるじゃないですか(笑)。そういうゲームももちろんいいんですけど、そればかりじゃなくて、もっと軽いノリでできるものを目指したかったんですよ。だから家庭用でも、家に帰ってきてクレタクでもやろうかってプレイして「あースッキリした」って風呂入って寝る、みたいな。ほんとに空いてる時間にちょっと楽しんでもらえたら十分、というカタチを取りたかったんです。ただ、ヒットメーカー全体がそうなんですけど、「ゲーム自体はしっかり作ろう」という意志がすごく強い会社なんですよ。だからゲーム的には、しっかり作り込んでます。
――プレイスタイルからゲームを考えるという発想はちょっとビックリしました。ゲームというと、どうしても「繰り返し遊んでほしい」とか「ゲームに入り込んでほしい」という姿勢がメーカーさんには多いですが、そうではないものを、と?
【菅野】僕個人は、やり込むというのは肩が凝って嫌なんですよ。ゲームはゲームで、フランクに楽しむ。他にも楽しいことってたくさんあるじゃないですか。ゲームを楽しむ時間でも、何時間もかけるんじゃなくて……。もちろん、何時間もかけるゲームが悪いと言ってるんじゃないんですよ、自分もやりますし。ただ、フランクに楽しめるゲームもあっていいんじゃないか、と。
乳母車は、すごく面白いですよ。メッチャ走りにくいですし(笑)
――E3でXbox参入のアナウンスがありましたが、どこまで内容が決まっているんでしょうか?
【菅野】そうですね。あまり決まってないことをしゃべるのは嫌いなんで……。「クレタク2」も、かなり開発が進んだあとになって発表してるし。ある程度、ユーザーの皆さんが見ても楽しめる形にまで開発が進んで、それから内容を語る方がいいんじゃないですかね。こんな風になるよ、て言っておきながら、出てみたらユーザーさんが「?」と思うようなのはちょっと……。嘘の情報とか嫌いなんで。それよりも、とにかく今は休みを取ってゆっくりしたい、って言う気持ちが強い(笑)。「クレタク2」はかなりクレイジーなスケジュールだったんで、とにかく休ませて欲しい、というのが本音ですね(笑)。休んでるウチにいいこと思いつくんじゃないですか(笑)。
――前回は隠し要素でリヤカー(自転車)が出てきましたが、今回はそんなお楽しみの要素はありますか?
【菅野】前作のキャラが使えるようになります、4人全員。つまり最終的に全部で8人から選べるようになるわけですね。どのように可能になるかは、実際プレイしてからのお楽しみと言うことで。やってみるといろいろ出てきますよ。あとリヤカーと乳母車が使えるようになります。乳母車は、すごく面白いですよ。メッチャ走りにくいですし(笑)。「走りにくいぞ!」と言われても、見た目でデザインしたんで保証はいたしません(笑)。
――本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
Original Game (C)SEGA (C)Hitmaker/SEGA,2001
【取材協力】
(小嶋・澤村/スタジオ百哩)
|