【オーバークロック研究室】Athlon XP 1700+をオーバークロッキング(前半)
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2003年3月21日
久々にAthlon XPマシンを組み立ててテストする機会を得た。最新のBartonコアを搭載したAthlon XPプロセッサーの登場や、以前から注目していたAthlon XP 1700+の価格が手ごろになったこと、そしてもう1つは、NVIDIAから新型のチップセットが登場したことなどを背景に、コストパフォーマンスに優れたマシンが仕立てられないだろうかと企画してみた。果たして思惑通りのパフォーマンスが得られただろうか?
●Thoroughbredコア版Athlon XP
Athlon XP 1700+については、昨年11月中頃にPalominoコアからThoroughbredコアに変更され、今年の1月頃から「オーバークロック耐性が優れている」とちまたで噂になっている。その「耐性が優れている」と言われるAthlon XP 1700+のOPN(Ordering Part Numbers)を調べてみると、どうやら昨年11月ごろのThoroughbredコアからマイナーチェンジを受けているようだ。当時、出荷されていたAthlon XP 1700+のOPNだと「L」レンジコア(1.50V)が搭載されていたが、最近では0.1V高い「U」レンジコア(1.60V)に変更されているのだ。ちなみに今回入手したAthlon XP 1700+のOPNは“AXDA1700DUT3C”で、図1に照らし合わせてみるとFSB:266MHz、L2:256KB、コア電圧:1.6V、温度上限:90℃であることが確認できた。写真でも分かるとおり、L1ブリッジが全てクローズのままである。つまり、CPU内部クロックの倍率設定は、マザーボード側から操作可能と言うことになる。また、このCPUのデフォルト時における起動倍率は11倍であるが、これはL3ブリッジのパラメータで決定されていることが知られている。
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【図1】Athlon XP Model8 OPN(Ordering Part Numbers)定義 |
●テストマシンとテスト目標
今回のテストマシンを紹介しておこう。まず、【表1】にも示した通り、マザーボードはAbit製「NF7-S」を採用した。NF7-Sは“nForce2”を搭載している。DDR400や128bitメモリバスをサポートするなど基本性能がハイスペックというだけでなく【表2】に書き出した通り、オーバークロック機能も充実している。実用的な面では、Serial ATA(RAID)、IEEE1394(400Mbps)、USB2.0等の高速インターフェースがオンボードで搭載され、10/100Mbps LANや6チャンネルAC97コーデック音源回路を持つ豪華版だ。ただ、チップセットにビデオ機能を持たない仕様となっており別途ビデオカードを用意する必要性がある。しかし、逆に言うと「好みのカードが使える」と解釈できることから、むしろ歓迎する向きもある。ちなみにNF7-Sは、AGP8X or 4Xのスロットを1つ備えている(今回はAGP4X版ABIT Siluro GF4 Ti 4400を装着した)。
次にメモリだが、PC2700(DDR333)CL2.5スペックで512MBのモジュールを2本用意した。ただし、ノンブランドのいわゆるバルク品。メモリとチップセットの関係は、こちらでも詳しく解説されているとおり、128bit幅でメモリアクセスを実現するためにモジュールは2本必要とする(1本でも動作するが、64bit幅に半減する)。ただ、本領を発揮させるとなるとFSB設定クロック200MHzでメモリクロックレシオを同期させなければならないだろう。今回のテストでは、あわよくばこのあたりのパフォーマンスに迫ってみたいと考えている。
もう一点、CPUと一緒に準備したのが写真のCPUクーラーで、ともかく「廉価」である(実勢価格で3,000円前後)。この価格帯でアルミと銅を使ったヒートシンクを採用している製品は珍しい。しかし、銅プレートの固定方法は、ある意味(コスト的)で「なるほど」と納得がいく。なお、ファンの回転数は2,750rpm、動作音は24.2dBで、Thoroughbred版Athlon XP 2800+やTualatin版Pentium III 1.6GHzに対応しているという。
【表1】テストマシンのパーツリスト
| マザーボード |
Abit NF7-S |
| BIOSリビジョン |
Ver.1.3(2003-01/07) |
| CPU |
Thoroughbredコア版Athlon XP 17000+(133MHz×11) |
| CPUクーラー |
Cooler Master CP5-7JD1B-OL |
| メモリ |
PC2700(DDR333)CL2.5/512MB×2 |
| ビデオ |
Abit Siluro GF4 Ti 4400(GeForce4 Ti4400) |
| ビデオドライバー |
Ver.6.13.10.4109 |
| 解像度 |
1024×768ドット/32bitカラー |
| DirectX |
ver.8.1a |
| HDD |
Seagate Barracuda ATA IV 60GB |
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【表2】Abit製マザーボード「NF7-S」のオーバークロック機能一覧
| FSB設定クロック |
100、102〜123、125、127〜148、150、152〜174、176〜198、200、203、204、206〜208、210、212、217、219、220、225、230、231、233、237MHz(〜間は1MHzステップ) |
| CPUレシオ |
5〜14、15、16、16.5、17、18、19、20、21、22(〜間は0.5倍ステップ) |
| メモリクロック設定(FSB設定:メモリクロック) |
3:3、3:4、3:5、3:6、4:3、4:4、4:5、4:6、5:3、5:4、5:5、5:6、6:3、6:4、6:6 |
| AGPクロック設定 |
66〜99MHz(1MHzステップ) |
| CPUコア電圧 |
1.100〜1.850V(0.025Vステップ) |
| メモリ電圧 |
2.4〜2.7V(0.1Vステップ) |
| AGP電圧 |
1.5〜1.8V(0.1Vステップ) |
| CHIP SET電圧 |
1.4〜1.7V(0.1Vステップ) |
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●Thoroughbredコア版Athlon XP 1700+のコア電圧対動作クロック
うわさされるThoroughbredコア版Athlon XP 1700+のオーバークロック耐性を調べてみた。調査方法は、次の手順に従って実施している。
(1)CPUに対するコア電圧は、BIOSセットアップから規定値をセット。メモリタイミングは、例えば「CAS Latency time:2.5、Row Precharge delay:3、RAS to CAS delay:3、Row Active delay:7」などのように無難な数値を選ぶ。そしてメモリクロックもBIOSセットアップから倍率を操作して使用するモジュールの規定スペックを超えないように緩和させてテストを開始する。
(2)動作判定は、Windows XPを起動してベンチマークテスト代わりにSuperπを走らせる。
(3)無難に104万桁の計算を終了できたなら順次FSB設定クロックを高くして再度(2)を実行する。
(4)もしも、起動困難やSuperπがエラーを告げたなら、計算が終了できた直近の動作クロックをその時のコア電圧値における動作限界とする。
(5)次に、(4)のコア電圧から0.05V高い値をセットして(2)のテストを繰り返す。
(6)最後は、コア電圧の設定限界となる1.85Vでどこまで動作するのか調べた。
それぞれのコア電圧設定時における動作限界クロックは、グラフに示した通りだ。なかでもコア電圧1.85Vでは、実クロックにして2.2GHzもの周波数で動作した。これは、Athlon XP 2600+の実クロック2.13GHzを超える値であり、ちまたのうわさ通り、このCPUの素質の良さと耐性の高さを象徴している。ただし、個体差もあって、市販品全てが同じとは限らないし、実用的な動作クロックは、経験則から言っても若干下回るだろう。
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【図2】Thoroughbredコア版Athlon XP 1700+のオーバークロック耐性 |
さて、今回はここまで。次回は、メモリクロックとCPU内部倍率を操作しながら、ベストなパフォーマンスを探っていくことにする。
※後半はこちら
◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、各電圧を高く設定する場合においても同様のリスクがあり、それらの結果によるいかなる損害についても、筆者およびAkiba2GO!編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびAkiba2GO!編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。
【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。1998年出版の「パソコン改造スーパーテクニック」を初めPC改造に関する著書を複数執筆。現在は当ページのオーバークロック研究室コラム記事を執筆中。ハンドル名は「KAZ’」。1957年生まれ大阪府在住。
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