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【オーバークロック研究室】PowerLeap製「PL-370/T」を使ってTualatinコアCPUをオーバークロックする


2002年4月7日

 FC-PGA/PPGAまでのマザーでTualatin版CPUを使用可能にする「PL-370/T」が発売されてからしばらたく経った。これは、Tualatinコア版CPUをサポートしないSocket370マザーボードのユーザーがCPUのアップグレードを考えた場合に「マザーボードごと買い替える」以外の選択肢が1つ増えたことになる。早速、オーバークロック研究室でもPL-370/Tをテストしてみた。

●Tualatinコア版CPU用ゲタの第2弾

PowerLeap製「PL-370/T」のパッケージ
PowerLeap製「PL-370/T」のパッケージ

 今年はじめ、440BXを搭載するマザーボードにSlot1マザーボード用Socket370変換ゲタ「PL-iP3/T」を使って、Tualatin版CPUを動作させた。その課程でオーバークロック動作については、コア電圧電源回路の問題から多少の改造を要したものの、ベンチマークテストの結果では概ね良好なパフォーマンスを得られた(詳しくはこちらの記事を参照)。現在では、PowerLeap社からPL-iP3/Tの後続としてTualatinコア版CPUをサポートしないソケット370マザーボード用に「PL-370/T」が発売されている。これは、こちらのレポートにもあるようにマザーボード上のCPUソケットに装着してTualatinコア版CPUを動作させてしまう変換ゲタだ。またPL-iP3/Tとの決定的な違いは形状を除きコア電圧電源回路を搭載していないことで、コア電圧は必然的にマザーボード上の電源回路から供給されることになる。つまりマザーボードにコア電圧設定機能が備わっているならそれを操作するだけでオーバークロック動作を望んだ場合にも有利になるだろう。今回は、オーバークロック動作を主目的にPL-370/Tの使い勝手や前述のコア電圧操作の具合などに注目して調べてみた。



●i815EPマザーボードとPL-370/Tのコンビネーション。

キット内容
ひと一通り必要なパーツは同梱されたキット内容だ

 パッケージを開けてPL-370/Tのキット内容を確認してみる。PL-370/T本体に加えてサーマルコンパウンド、専用のCPUクーラー、ユーティリティディスク、取り扱い説明書(英文)が同梱されており特に不満はないキット内容だ。PL-370/T本体の組み付けは、取り扱い説明書の写真を参考にすれば特に英文を読まなくても理解できた。一応、簡単に説明すると、

(1)マザーボードのCPUソケットにPL-370/Tを装着(ピン形状を確認して実装方向に注意)してロック。
(2)PL-370/Tのソケット面にTualatinコア版CPUを装着。このときも実装方向に注意。
(3)CPUのヒートスプレッダーにサーマルコンパウンドを塗布。
(4)キットに付属するPL-370/T専用のCPUクーラーを装着しリテンション金具をCPUソケットのラグ(ツメ)に引っかけて全体を押さえ込む。

という手順で装着完了となる。



EPoX製「EP-3SPA3」

 一方、今回のテストに使用するマザーボードは、i815EPを搭載するEPoX製EP-3SPA3を選んだ。EP-3SPA3は、オーバークロック機能が充実したマザーボードではあるがTualatinコア版CPUをサポートしていない。ちなみにロンテック(PowerLeap代理店)のウェブサイトで動作機種リストを確かめてみたが、本稿執筆時点でEP-3SPA3はリストに記載されておらず今回のテストは動作検証も兼ねた報告となる。



EP-3SPA3にPL-370/TとPentiumIII-S-1.13GHzを装着してみる
EP-3SPA3にPL-370/TとPentiumIII-S-1.13GHzを装着してみる


 それでは、EP-3SPA3にPL-370/TとPentiumIII-S-1.13GHzを装着し動作状況を確かめてみよう。なお、あらかじめEP-3SPA3はCoppermineコア版CPUで動作させ、最新のBIOSにアップデートしておいた。動作テストではシステムの電源を投入すると即刻POSTを開始し、あっけなくBIOS画面が表示。特に問題はないようだ。すぐにBIOS-SETUPを呼び出してPC Health Statusをチェック。この時、気になったのは「コア電圧が規定電圧より低い」こと、「CPU温度を監視できていない」の2点である。とりあえず、この状態でWindows Meがインストールできるか試してみたところトラブルもなく順調に完了。さらにベンチマークテストもスタートさせて一通りの動作確認を済ませた。

コア電圧の低さとCPU温度表示
PC Health Statusをチェックしてみるとコア電圧の低さとCPU温度表示が気になった

 ここで、先のチェックで気になった2点について調べてみる。まず、コア電圧が低い原因は、PL-iP3/Tの記事でも解説したが、Tualatinコア版からVIDピンの出力仕様が変更されたことで、従来のコア電圧電源回路ではTualatinコア版CPU本来のVIDコードが読めない。あるいは、現在テスト中のCPUが正しいVIDコードを出力できる環境にないか、CPUそのものにトラブルを抱えているかのいずれかだろう。ただ、PL-370/Tは本文冒頭でも述べた通り、独自のコア電源回路を搭載しておらず、マザーボード上のコア電源回路を利用する仕様となっている。したがってこの問題はコア電圧操作機能を持つマザーボードであれば補正できるわけだ。ちなみに今回のEP-3SPA3にはコア電圧操作機能が搭載されている関係で、本来の規定コア電圧(1.45V)を含めて最高1.65Vまで出力可能だが、この手が使えないマザーボードで規定コア電圧が得られない場合だと、必要に応じてVIDコードの操作など何らかの工夫(改造など)が必須となる。



本来の規定コア電圧を認識すればEP-3SPA3の仕様から最高1.80Vまで昇圧可能なのだが現状では最高1.65Vまでである

 次にCPU温度が監視できない問題は、PL-370/T内部でTHERMDNピンとTHERMDPピン、さらにはTHERMTRIPピンの結線が分断されているからだ。これらのピンは、CPU内部に埋め込まれたサーマルダイオードの信号線で、マザーボード上のモニター回路と接続されて利用可能になる。しかし、残念ながら何らかの理由で結線されていない。仕方なくテストでは、別途デジタル温度計を用意してCPUの温度を監視することにした。



CPU温度を監視するために温度センサーをCPUのピンサイド面に配置した

 具体的にはCPUのピンサイド面にゴマ粒サイズの温度センサーをテープ(クッション付き)で固定。センサーの信号線は、CPUのピン間を通して温度計に接続した。この時、PL-370/Tに実装したCPUを取り外す必要性が発生したわけだが、ソケットにくい込んだCPUは容易に外れない。先端の厚みが異なるマイナスドライバーを3本用意するなど、取り外しに意外と苦労した。CPUとPL-370/Tは、慎重な作業の末にどうにか分離する事ができたがコツはマイナスドライバーで四方から少しづつ隙間を作るように心がけることで決して一気にこじってはいけない。それでもCPUにキズをつけてしまうのでCPUを頻繁に脱着するなら何らかの対策が必要だ。





●PL-370/T専用CPUクーラーの性能

 さて、初期動作確認の段階で気になった「コア電圧」と「CPU温度」の問題は、CPUに温度計を組み付けることとマザーボードのコア電圧操作機能を使用することでひとまずクリアできたとしよう。ここでもう一度、PL-370/Tを組み付けてシステムを動作させてみる。

 最初のテスト課題は、PL-370/T専用CPUクーラーの冷却性能である。これは、通常使用なら問題はないと思われるが、やはりオーバークロック動作を前提に考えた場合に知っておくべき性能の1つだろう。テスト内容は、コア電圧を操作しない状態(1.31V)と規定コア電圧(1.45V)に調節した2通りの条件で、過去に実施したCPUクーラーの性能比較と同様にSuperπを走らせながら定めた時間毎にCPU温度を記録した。その結果は、グラフ(図表1)に示した通り規定動作ならさほど問題にならないと言うより、むしろ「CPUクーラーの見た感じから想像できる性能よりよく冷えている」と言うのが筆者の感想だ。ただ、オーバークロック動作をさせるとなると必然的にCPUの発熱はハネ上がってくる。コア電圧を高くするならなおのことで、発熱の処理を解決する手段を用意しておくべきだろう。単純に考えると、より高性能なCPUクーラーを装着すればよいわけだが、好みのCPUクーラーを装着しようとしても一般の装着方法ではCPUソケットとヒートシンク間はPL-370/Tの分だけ厚みが増す関係から「リテンション金具が届かない」という事態になる。キットに付属するPL-370/T専用のCPUクーラー以外で冷やすとなるとこれまたひと工夫が必要だ。

●市販のCPUクーラーを使いたい

 EP-3SPA3でPL-370/Tキットを使い、ごく普通にCPUのアップグレードを実施するなら致命的な問題はないものの、オーバークロック動作を考えた場合に好みのCPUクーラーを使用するならひと工夫が必要である。そこで筆者が無い知恵をしぼった結果、以下の方法で市販のCPUクーラーを使用できるメドが立った。ただし、そのためのコストはある程度無視している。つまりPL-370/TキットやCPUの予算とパーツ代の総額を考えると、他の代替えシステムの費用に接近するかも知れない。したがってこの方法の有効性は各自の都合に左右されるだろう。以下にPL-370/Tを使用する上で市販のCPUクーラーを装着する方法を述べる。

(1)電子パーツショップでソケット370タイプのCPUソケットを購入。
(2)CPUの代わりにPL-370/TへCPUソケットを装着。
(3)PL-370/Tのジャンパポストは折り曲げて干渉を回避。
(4)CPUソケットとPL-370/Tの電源ソケットが干渉する部分をルーターで切削。
(5)マザーボードへPL-370/Tを装着しロック。
(6)CPUソケットを確実にPL-370/Tへ勘合させる。
(7)PL-370/Tに装着したCPUソケットのロックを解除してCPUを実装。
(8)CPUにサーマルコンパウンドを塗布して好みのCPUクーラーを装着。
(9)マザーボード上のCPUソケットとCPUクーラーをワイヤーで固定。


C370タイプCPUソケットを単品で入手する。価格は\1,100前後(高いか安いかは各自の欲求度次第)

PL-370/Tの電源ソケットが干渉する部分をルーターで切削

PL-370/TへCPUの代わりに加工したCPUソケットを実装する。これで容易にCPUの脱着が可能となるだけでなく市販のCPUクーラーが使える

 端的に言えばPL-370/TとCPUの間にCPUソケットを追加するわけだが、(1)のCPUソケットはPCパーツショップではなく電子パーツショップで扱っている可能性が高い。大阪日本橋だと共立電子で入手可能だ(あるいは改造作業に精通しているツワモノならSlot1変換ゲタから部品取りという手もある)。CPUソケットが入手できたら(2)のように一度、PL-370/Tに装着してみる。このときPL-370/T上のジャンパポスト(3)が干渉するので直角に折り曲げておく(ジャンパキャップは元の位置に装着のこと)。加えてPL-370/Tの電源ソケットも干渉するのでその部分をCPUソケットにマークして(4)の通りにCPUソケットをルーターで削る(高温に加熱したカットナイフの刃先で切り取る手もある)。再度、PL-370/Tとの勘合具合を確かめた後、(5)のように先にPL-370/Tだけをマザーボードに装着する。これはロックレバー同士の干渉を避けるためだ。そして(6)で加工したCPUソケット(4)をPL-370/Tに実装すればCPU本体をキズつけることもなく従来通りのCPU脱着と市販のCPUクーラーを装着可能にするラグ(ツメ)が揃う訳である。後は、(7)(8)の通常通りにCPUとCPUクーラーを組み付ける。ただし、タワーケースに組み込んだ場合などCPUクーラーの垂直加重方向がマザーボードに向いていない場合は、CPUソケットごとPL-370/Tから外れてしまうケースも考えられる。そこで(9)は、その対策の一例としてマザーボード上のCPUソケットのラグ(ツメ)とファン固定スクリュー間をワイヤーで固定する事にした。ちなみに今回、装着したCPUクーラーは、カニエ製「Hedgehog-238M」だ。CPUソケットを追加した場合の動作確認をかねて念のためにPL-370/T専用CPUクーラーの冷却性能と比較してみたところグラフに示した結果となり期待通りの余裕が得られた。


今回は銅製ヒートシンクを採用したカニエ製Hedgehog-238Mをチョイスした。タワーケースを立てた時、重みでPL-370/TからCPUソケットごと外れないようにワイヤーで固定している

【図1】

PL-370/T専用CPUクーラーとHedgehog-238Mの冷却性能比較
 

●さらなるオーバークロック動作をめざして

 ところで過去のオーバークロックテスト結果を振り返ってみると、手元のPentiumIII-S-1.13GHzで動作させた最高クロックは約1.33GHzであるが、単純に計算すると18%弱のアップでしかない。この数値を他のシステムと比較するとボリュームは低い部類に属してしまう。例えば過日テストしたPentium 4-2.0AGHzでさえ23%アップを得ているのだ。そこで今回は、PentiumIII-S-1.13GHzのさらなるパフォーマンスアップを考えてみた。目標としては規定動作クロックの25%アップ。つまり1.4GHzオーバーで動作させてみようと言うわけだ。

 ただし、この目標を達成するためには少なくとも2つのハードルをクリアしなければならない。それは、FSB設定クロックの問題とコア電圧の問題である。まず、1.4GHzオーバーの動作を目論むとなれば、CPU倍率を操作できない以上FSB設定クロックを高くするしか選択肢がない。逆算すれば少なくとも166MHzのFSB設定クロックを送り込む必要がある。となると必然的に166MHzで動作するメモリが必要になってくる。ただ、マザーボードがFSB設定クロック166MHzで動作するのか?という疑問については、現時点で動作するものと仮定し、テスト中にトラブルを抱えたならばその時に考えることにする。

 次に過去のデータからコア電圧1.575Vで1.44GHzの起動実績があるもののベンチマークテストが動作するほどの安定性は得られていない。おそらくコア電圧を更に高くすれば安定動作を得られる可能性はあるだろう。しかしEP-3SPA3のコア電圧操作機能を操ったとしても、現状では最高1.65Vまででありもう少し高い値まで設定できる余裕が欲しいところだ。調子にのって欲張るとCPUを破損してしまうかも知れない。そんなリスクを覚悟しておく必要もある。早い話が「オーバークロック耐性の優れたメモリ」と「覚悟」があればいいと言うわけだ。

●「オーバークロック耐性の優れたメモリ」を探せ

アイ・オー・データ機器製「R-S133-256M」
アイ・オー・データ機器製「R-S133-256M」パッケージ外観
R-S133-256Mの外観
R-S133-256Mの外観
メモリチップは166MHzスペックのHyundai製HY57V28820AT-6を搭載
メモリチップは166MHzスペックのHyundai製HY57V28820AT-6を搭載

 これまで、オーバークロック研究室の実験で使用するメモリの選定については、できる限りメジャーな製品を選んでテストしてきた。率直に言うとノーブランド品の中にもオーバークロック耐性に優れたメモリは存在するが、入手性やバラツキなどの観点からレポートの中で紹介することはある意味敬遠している。そんな条件下で、つまり「確実に入手可能で高性能なメモリを探せ」となると非常に難しい。ところがメジャーなベンダーの中にも「オーバークロック耐性の優れたメモリ」と噂される製品が発売されている。そのなかで今回は、アイ・オー・データ機器が扱っている「R-S133-256M」に注目した。このR-S133-256Mはベンダーが保証する動作クロックは133MHzではあるが、メモリチップにHyundai製の166MHz品を実装しており、メモリチップの基本スペックが高いSDRAMなのである。しかもメモリ容量は1DIMMあたり256MBなので、実用面においてもメモリ容量の要求量が肥大化する昨今のシステムに対して有利なハズだ。しかし、困ったことにR-S133-256Mは2002年2月20日現在で生産終了となり、同社の製品ラインナップから外れている。※当然のことだが、メモリ耐性についても、すべての環境に当てはまるとは限らないことをことわっておくので、あくまで自己責任でチャレンジしていただきたい。





●更にコア電圧を高く出力させる方法

 それでは2つめの課題としてコア電圧について検討する。今回のテストで使用しているマザーボード(EP-3SPA3)に備わっているコア電圧設定範囲はCPUの規定コア電圧+0.35Vまでである。つまり、PentiumIII-S 1.13GHzの規定コア電圧は1.45Vなので+0.35Vの1.80Vまでが本来の守備範囲となるハズだ。ところがEP-3SPA3が出力しているデフォルトのコア電圧は約1.30Vとなっており、コア電圧設定機能を活用しても最高1.65Vまでとなる。この条件では過去にテストした最高コア電圧に比較して0.075V増でしかなく、今回の目論みには少々もの足りない。

 コア電圧電源回路がもう少し高い最高コア電圧を出力できるようにするための手段を考えた場合、やはりVIDコードを操作してデフォルトのコア電圧を高める方法が良さそうだ。そこで比較的簡単な改造手段として次の通りに考えた。まず、マザーボード上のCPUソケットから配線されているVIDラインの電圧を調べてみると、案の定、VID(25mV、3:0)は01111となっている。このうちVID25mVは、マザーボード上で強制的にGNDへ接続されているため、CPUのVIDパラメータとは関係なく無条件で“0”なのだ(あくまでもEP-3SPA3はCoppermineまでのCPUをサポートするマザーボードなのでVID25mVピンに関する定義はないがコア電圧電源回路の制御素子UNISEM製US3004にVID4の信号として“0”をインプットする必要性があるため強制的に“0”としているのであろう)。この結果をこちらの表に照らし合わせてみるとVID(25mV,3:0)01111はコア電圧出力=1.300Vが導き出され、ある意味理屈どおりの出力電圧である。もしも、このVIDパラメータを操作できるとすればどうだろう。例えば、このPentiumIII-S-1.13GHzの規定コア電圧1.450Vを求めるなら、VID0とVID1を“0”にすればいいわけだ。

 では、次に具体的なパラメータ操作を考えてみると「VIDパラメータを“0”にする」ということは、目的のVIDラインのどこかでGNDへ接続することを意味する。ただし、直結するのではなく、抵抗を介して接続した方が無難だ(抵抗値は1Kオーム前後)。場所はマザーボード上のCPUソケットから延長されるVIDラインでも良いが、「可能な限りマザーボードとPL-370/Tに手を加えないで」という観点から、筆者の場合はCPUとPL-370/Tの間に追加したCPUソケットに着目した。説明するまでもなくここには全てのVIDピンを含めてGNDと直結関係にあるVSSピンが揃っており改造する上で都合が良い。基本的にはこちらで採用した手法と同じ事を再現しようと考えた。ただ、上述の理想例にしたがうとなるとVID0ピン、VID1ピンからそれぞれ抵抗を介してVSSピンに接続しなければならない。だが、ピン・レイアウトや難易度の関係もあって、今回は、VID1ピンとVSSピン間だけに1kオームの抵抗をハンダづけする。成功すればVID(25mV,3:0)は、01101と操作されコア電圧電源回路は1.40Vを出力するだろう。その条件でコア電圧を操作すれば+0.35Vの1.75Vまで昇圧可能となる予定だ。実際の作業は写真に示した通り、CPUソケットのピンサイドに1Kオームのチップ抵抗をハンダづけした。ピンレイアウトはAM36ピン(VID1)とAM34ピン(VSS)でピンの根元に抵抗をブリッジするだけでよい。完成したCPUソケットを元通りに組み込んでPC Health Statusをチェックしてみると規定コア電圧は目論み通り1.40Vを出力しており、電圧操作範囲は1.75Vまで昇圧可能となった。

【図2】


CPUソケットのピン側から見た図。AM36ピンとAM34ピン間に1Kオームのチップ抵抗でブリッジする

チップ抵抗は必ずCPUソケット本体に密着させて固定する

目論み通り規定コア電圧を1.40Vと認識し最高1.75Vまで操作可能になった


●コア電圧を高くしてCPUの限界を探る

 メモリとコア電圧操作の準備が整ったところで、いよいよオーバークロックテストを開始しよう。先ずは設定するコア電圧に対してCPUの動作クロック限界を調べてみる。調査した方法は、これまでのテストと同じように特定のコア電圧をセットしておきベンチマークテスト代わりにSuperπを走らせて104万桁の計算を終了できたなら順次FSB設定クロックを高くしていく。もしも、起動困難やSuperπがエラーを告げたなら、計算が終了できた直近の動作クロックを限界値とする。そしてコア電圧を0.05V高くセットし再度Superπで円周率を計算をさせ最終的に操作可能なコア電圧値まで繰り返した。その結果はグラフに示した通りだが、このテストではメモリエラーとの誤認を避けるためメモリのアクセスタイミングを最も遅くしておくことが重要なポイントだ。なお、このテスト結果から操作可能な最高コア電圧1.75Vでは1.5GHzで動作したものの1.70V時の限界クロックと比較すると、0.1GHzの向上でしかなく効率が良いとは言えない。したがってこのCPUはコア電圧1.70Vを上限とし1.49GHz(FSB設定クロック175MHz付近)が使用限界と見定めた。ただし、これはCPUだけに限った数値でありアクセスタイミングを詰めた条件下のメモリなど他の要素が先に限界を迎えた時には到達できない場合もある。


コア電圧対CPU動作クロック表

●メモリタイミングを詰めて最速を目指す。

 それでは最後にこのシステムのベストパフォーマンスを求めてみよう。先ほどのコア電圧対CPU動作テストとは逆にコア電圧は一定(1.70V)とし、メモリのアクセスタイミングを詰めてみる。

 EP-3SPA3で操作できる要素はCAS Latency、RAS to CAS Delay、RAS Precharge Time、Cycle Time Tras/Trcの4項目だ。それぞれの項目を2-2-2-5/7としたセッティングが最も厳しくてフルスピードを要求することになる。このメモリセッティングで試したオーバークロックテストでは、最高164MHzのFSB設定クロックで各ベンチマークテストが動作し目標の1.4GHzにあと数MHzと迫った。そして上記4項目のうちCycle Time Tras/Trcを7/9と緩めたセッティングでは169MHzのFSB設定クロックで予定のベンチマークテストが全て完走した。なお、他の項目も緩めてテストしてみたがCPUの使用限界までFSB設定クロックが高くできるわけでもなく、ベンチマークスコアが落ちるだけであった。

 また、メモリ電圧は設定可能な最高値(3.65V)として全てのテストに臨んだ。ちなみにベンチマークの結果はグラフを見ていただくとして、今回のテストで得たベストパフォーマンスはSuperπの計算スピードだけを比較すると、過日テストしたPentium4-2.0AGHzシステムの2.2GHzオーバークロック時に匹敵するタイムをたたき出している。当然、当初の目標とした1.4GHzオーバーをクリアしており、単純計算ではあるが27%のパフォーマンスアップを得たと言っていいだろう。また、今回のテストを通じて、PL-370/Tはチョットした工夫でオーバークロックシステム(特にTualatinコア版CPUをサポートしないマザーボード)に強力な助っ人になりうるアイテムであったこと、そして256MBであるにも関わらずR-S133-256Mのオーバークロック耐性がすこぶる優れていたことが印象的で成功の一因となった。



●ベンチマーク結果

【図4】

テストマシンのシステム構成とセッティング表(※FSB設定クロック157MHzは過去のテストとの比較用データ)
CPU PentiumIII-S 1.13GHz
ヒートシンク カニエ製「Hedgehog-238M」
メモリ アイ・オー・データ機器製R-S133-256M
ビデオ ELSA GLADIAC ULTRA(GeForce2Ultra DDR64MB)
ドライバー Ver.4.13.01.2311
HDD Seagate Barracuda ATA IV 60GB
OS Windows Me
DirectX Ver.8.1
FSB設定クロック 133MHz 157MHz 164MHz 169MHz
CPUクロック 1133MHz 1335MHz 1394MHz 1437MHz
CAS Latency 2 3 2 2
RAS to CAS Delay 2 2 2 2
RAS Precharge Time 2 2 2 2
Cycle Time Tras/Trc 5/7 5/7 5/7 7/9

Superπ

3D mark 2000 Rev1.1

3D mark 2001

◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、各電圧を高く設定する場合においても同様のリスクがあり、それらの結果によるいかなる損害についても、筆者およびAkiba2GO!編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびAkiba2GO!編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。

【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。1998年出版の「パソコン改造スーパーテクニック」を初めPC改造に関する著書を複数執筆。現在は当ページのオーバークロック研究室コラム記事を執筆中。ハンドル名は「KAZ’」。1957年生まれ大阪府在住。




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