【オーバークロック研究室】オーバークロックに適したCPUクーラーはどれか?(パート2)
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2001年10月10日
本年5月に「オーバークロックに適したCPUクーラーはどれか?」というタイトルで当時注目のCPUクーラー3点についてレポートした。しかしその後も新製品の発表はとどまるところを知らず、各社より奇抜なアイデア商品が続々登場している。そのなかで今回は、やや高額な部類に属するAthlon(SocketA)用CPUクーラーにスポットをあててそのパフォーマンスをレポートする。
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最近話題のSocketA向けCPUクーラーを集めた。写真左からアルファ製「PAL8045U」、Swiftech製「MC462-A」、ティーエスヒートロニクス製「SCR325-2F」だ |
今回テストした製品は、アルファ製「PAL8045U」、Swiftech製「MC462-A」、ティーエスヒートロニクス製「SCR325-2F」の3製品で、発売時点のレポートはそれぞれのリンク先ページを参照してほしい。
では、これら3製品について簡単に概略を述べておこう。まず、実売価格としてはMC462-Aが最も高価でSCR325-2F、PAL8045Uと続くのだが、冷却性能を考えないで単純に価格だけを比較するならPAL8045Uが購入しやすい価格設定と言えよう。
3種類の製品に共通して注意しなけらばいけないのは物理的なサイズだ。と言うのもCPUクーラーのサイズがCPUソケットよりはるかに大きく、マザーボードによってはソケットの周辺に実装されたコンデンサやジャンパピン等に干渉して取り付け不可能となるおそれがあるからだ。手持ちのマザーボードをよく調べた上で選択購入しなければ宝の持ち腐れになってしまう。
しかし、各製品とも全てのマザーボードをサポートするとは言えないものの、一部に細かい配慮も見られる。一例をあげると写真のようにヒートシンクのベース部分に絶妙とも思える切削加工を施して干渉しそうなパーツをかわすといった具合だ。それから、ヒートシンクの材質としては、銅とアルミのバイブリッドであるのはもちろん、SCR325-2Fのユニークさは見逃せないだろう(詳細は後述)。MC462-AとPAL8045Uにおいては銅プレートをベースにアルミのピンをところ狭しと立てて放熱フィンとした構造、フィンを六角柱として表面積を稼ぐアルミ製のヒートシンクをベースにCPUコアとの接合面へ銅プレートを埋め込んだお得意のスタイルという若干の違いがある。
一方、冷却ファンに注目すればMC462-AとPAL8045Uは共に80mm角のシングルファンであるが、その厚みや回転数が違っていたりファンの風向はMC462-Aが「吹きつけ」である対してPAL8045Uが「吸出し」タイプとなっている。また60mm角薄型ファンを採用したSCR325-2Fは二者と異なるツインファン仕様だ。
最後にCPUクーラーの固定方法だが、従来CPUソケットのラグ(ツメ)にアタッチメント金具を引っかけてヒートシンクを固定する方法が一般的であった。SCR325-2Fも同じタイプであるが、その引っかける機構にアイデアが盛り込まれている。ところがMC462-AとPAL8045Uはこのラグを使用しない。CPUソケットの周囲に加工された穴を利用してそこに独自の足がかりを組み付けてヒートシンクを固定するスタイルを採用している。したがってCPUソケットの四方にその穴が加工されていないと装着不可となる。
■3製品のスペックシート
| メーカー名 |
アルファ |
Swiftech |
ティーエスヒートロニクス |
| 製品名 |
PAL8045U |
MC462-A |
SCR325-2F(禅) |
| 実売価格 |
約6000円 |
約1万5000円 |
約1万2000円 |
| 最大外形サイズ |
80×80×75mm |
80×80×70mm |
84×84×78mm |
| ヒートシンクサイズ |
80×80×45mm |
75×75×38mm |
64×32×60mm |
| ヒートシンク材質 |
銅とアルミ |
銅とアルミ |
銅とアルミ |
| ファンサイズ |
80×80×25mm |
80×80×32mm |
60×60×15mm(ツイン) |
| 付属品 |
熱伝導グリス、セットアップパーツ |
セットアップパーツ |
セットアップパーツ |
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■3製品の違いを調べる
●ティーエスヒートロニクス製「SCR325-2F」
前述のレポートでも紹介されている通り、この製品における最大の特徴は一般的なCPUクーラーのヒートシンクに相当する部分だ。ヒートレーンラジエータと呼ばれる放熱器を採用しているが、これは扁平アルミパイプを四角く渦巻き状に加工し、向かい合ったパイプ間に放熱効果を高める目的でグリッドを配したもの。一見、その名の通り小さなラジエータだが、パイプ内には作動液(HFC134a:環境破壊係数の低い代替フロン)が注入封印されていると言われ手の込んだ構造となっている。なお、CPUの熱はヒートレーンラジエータの一辺に固定された受熱板(材質は銅)を介して伝導され、作動液の蒸発・凝縮作用によって熱交換をおこなう仕組みだ。ちなみにヒートレーンラジエータは後述するケースに仕掛けられた板バネでCPUコアに押しつけられて密着するようになっている。また、ヒートレーンラジエータの両サイドに60mm角のファンをツインで装着し、一方向に送風する冷却仕様だ。これらのコンポーネントや(CPUソケットのラグに引っかけて本体を固定する)クリップなどはプラスチック製のケースにユーザーが組み付けて完成させる仕様だが、簡単なプラモデルを組み立てる感覚で楽しめる面もありユニークな製品といえるだろう。ただ、付属の取扱説明書に忠実な組み立て方をしないと本来の性能が発揮できないばかりか無用なトラブルを抱える懸念もあるので、「組み付け方向」や「長短」と言ったキーワードに注意が必要である。
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マザーボード装着風景 |
●Swiftech製「MC462-A」
このCPUクーラーを採用してマザーボードへ取り付ける際に注意する点をあげておこう。言うまでもないことだが、CPUソケットの周囲にヒートシンク固定用の穴が用意されたマザーボードでクーリングスペースに余裕がないと話にならない。しかもその穴を基準にしてCPUクーラーの固定位置を合わせた時に、マザーボード上のパーツと干渉しないことが第一条件となる。次にその穴にはMC462-A付属のスタンドオフ(スペーサー)を取り付けるのだが、穴のサイズが大きい場合は段付きナイロンワッシャ(付属品)を使用するようになっている。逆にそのワッシャが適合しない場合は、使用しないでスタンドオフを直接取り付けるのだが、穴の周囲を走っている信号ラインと干渉するようであれば別途絶縁ワッシャを併用して断線・短絡を防止しなければならない。できる限り薄い絶縁ワッシャを使用するほうがベターである。なぜならば、CPUコアとヒートシンクの密着圧力に影響を与えるからでワッシャが厚いほどプレッシャーが低下するからだ。
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マザーボード装着風景 |
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スタンドオフがマザーボードの信号ラインを完全に踏んづけてしまう |
●アルファ製「PAL8045U」
写真
概略で述べた通り、細かい部分でMC462-Aと若干の違いはあるが、取り付け方法やサイズ的にはMC462-Aとほぼ同じと言っていいだろう。当然、マザーボードに対する諸条件も同じだが、ナイロンワッシャに関しては穴のサイズに応じて段付きとフラットタイプの2種類が同梱されており、いずれにしても元から使用するように取り扱い説明書で指示されている。おそらくワッシャの厚み分は計算の上でヒートシンクの密着圧力を決定しているものと推察できる。ナイロンワッシャがマザーボード上のチップパーツに干渉する場合はワッシャー側を必要に応じてカットすると良いだろう。なお、上述の2製品も含めて動作初期段階で必ずCPU温度をチェックする方が無難だ。いきなりオーバークロック動作での起動は避けてBIOSセットアップに備わっているモニターからCPU温度を点検し、異常な数値を示さないことを確認した上でOSの起動に移るように心がけよう。
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マザーボード装着風景 |
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ナイロンワッシャがチップパーツに干渉する場合はワッシャーをカットして装着する |
■CPU温度の測定方法とテスト機器
それでは、各製品の冷却性能を実際に調べてみよう。具体的には、写真のようにCPUの裏面温度を直接測定できるように温度センサーを配置して時間の経過とともに記録した(5月に実施した測定方法と同じ要領である)。また、ファンの回転数と静寂性についても測定した。テストに際して使用した機器の詳細は表にまとめたので参照して欲しい。結果は、次のページに示したが、MC462-Aの威力は特筆できる数値を叩き出している。その一方でPAL8045Uのコストパフォーマンスは決して悪くない印象を持った。逆にSCR325-2Fの冷却理論は評価できるものの2製品の圧倒的質量に対して一歩譲った結果となっている。さて、最後に各製品をテストしている最中実際に体験あるいは感じた事柄をあげておこう。
●SCR325-2F
テスト終了に伴いCPUクーラーを取り外そうとした時、ワンタッチでCPUソケットのラグから取り外せなかった。これは、チョットしたコツ(取扱説明書で記載された反対側のクリップから外す)で対処できる場合もあるが、製品の出荷時期によってはラグにバリが残っていてスムーズに外せないこともあるらしい。バリはプラスチックパーツにツキモノだが、該当製品をお持ちの場合はメーカーのページを参照するといいだろう。
●MC462-A
正直なところCPUクーラー装着に2度失敗した。最初は、スタンドオフを組み付ける際、ナイロンワッシャの厚みに配慮が足りなくて1.5mm厚のワッシャを使用した。結果はご想像通りCPUコアに対するプレッシャーが低下しCPU温度が鰻登り。コアの許容温度限界付近まで到達した(直ちにシャットダウンしたお陰でCPUを破壊せずに済んだが)。2度目の失敗は、「じゃ、スプリングにもう少しプレッシャーを加えよう」とよからぬアイデアが浮かんで即実行。付属品で段付きのナイロンワッシャが余っているので、それをヒートシンク取付スクリューに加えてスプリングのテンションを高めようと言う企みだ。理屈の上では好転するはずであった。しかしそのスクリューを締め込む際に通常より余計に強く押さえ込む必要があり、CPUコアをガリガリと痛めてしまった。結局、薄い絶縁ワッシャを用意して事なきを得たが、このヒートシンクをCPUコアと密着させる仕組みは意外とクリチカルな性質を持った部分であると痛感した。
●PAL8045U
先のMC462-Aで学習したお陰もあってヒートシンクは無難に装着を完了した。ところがファンを取り付ける段階で少々戸惑った。それは、固定スクリューのプラス穴に真上からアプローチするとなるとドライバーのシャフトは直径4mm以内でなければならない。これは、ファンのフレーム越しにドライバーを通して締め込み作業を行おうとした場合であるが、手元の道具箱に頃合いのドライバーがなくて結局ノギス片手にホームセンターまで出かけて調達することになった。まぁ、一般的なドライバーで斜めからアプローチする手段も考えられたが、締め付け加減が曖昧になりがちなのであまり感心とは言えないだろう。
■テスト環境一覧
| マザーボード製品名 |
EPoX EP-8K7A |
| CPU |
Athlon-1.2GHz(266) |
| コア電圧 |
1.80V |
| CPU倍率 |
9倍 |
| FSB設定クロック |
150MHz |
| CPUクロック |
1.35GHz |
| DDR電圧 |
2.6V |
| メモリースペック |
PC2100 CL=2.5 128MB (Crucial Technology製) |
| OS |
Windows Me |
| ビデオ |
ELSA GLADIAC ULTRA(GeForce2Ultra DDR64MB) |
| HDD |
Seagate Barracuda ATA IV 60GB |
| ベンチマークテスト |
Superπ(1677万桁) |
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■冷却性能結果
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冷却性能グラフ |
■ファンの回転数と騒音数値
| メーカー名 |
アルファ |
Swiftech |
ティーエスヒートロニクス |
| 製品名 |
PAL8045U |
MC462-A |
SCR325-2F(禅) |
| ファン回転数(実測値) |
3970rpm |
4714rpm |
5120rpm |
| 静寂性(実測値) |
61dB |
65dB |
68dB |
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◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、各電圧を高く設定する場合においても同様のリスクがあり、それらの結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。
【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。PC改造に関する著書を執筆。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。ハンドル名は「KAZ’」。大阪府在住1957年生まれ。
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