裏技が有効!これがEPoX製「EP-8K7A」だ!!
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2001年5月28日
こちらの記事で既にご存じの方も多いかと思われるが、EPoXから「EP-8K7A」が発売された。この製品は、チップセットにAMD-761(North Bridge)とVIA VT82C686B(South Bridge)を搭載するAthlon/Duron用マザーボードである(姉妹品としてコントローラにHighPointの“HPT370”を搭載しRAID機能をオンボードでサポートする「EP-8K7A+」も同時発売された)。
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AMD-761(North Bridge) |
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VIA VT82C686B(South Bridge) |
オーバークロック研究室のコラム記事では、同じチップセットを載せたFIC製「AD11」のテスト結果を報告しているが、基本動作における計算処理速度は抜群の性能を発揮している。しかしオリジナルのままではオーバークロック装備の仕様に若干の不満を感じたことは、「マザーボードのオーバークロック機能を徹底調査する(その2)」で述べた通りだ。端的に言うと、せっかく持ち合わせたマザーボードのオーバークロック耐性をフルに操作させてもらえなかったわけだが、今回のEP-8K7Aでは、その辺りはどうなっているのか、また、オーバークロックシステムにどの程度、適したマザーボードなのかを含めて徹底調査した。
クーリング・スペース
通常のSocketA用CPUクーラーを使うのではなくオーバーサイズのCPUクーラーを置くとなると、CPUソケットの周辺にどの程度のスペースがあるのか気がかりになる。そこで調べたみたのだが、写真のスケールからだと80mm角のヒートシンクがギリギリと言ったところだ。
ただし、CPUソケットのレバーと平行方向に採寸した写真を見ると、CPUコアの中心から電源回路のケミコンまで35mmとなっている。したがってオーバーサイズのヒートシンクの固定位置によって、このケミコンと干渉することも考えられるので注意が必要だ。
それと、North Bridgeに標準でセットされているチップセットクーラーだが、写真撮影のために取り外してみたところ適量のサーマルコンパウンドが塗布されていて好感がもてた(こういう見えないところにも配慮が行き届いた製品が筆者は好きである)。なお、AD11に実装されているAMD-761のリビジョンが“B2”なのに対してEP-8K7Aのそれは“B3”となっているが、AMDが公開しているガイドにこれらのリビジョンに関するErrata情報は現時点で記載されていなかった。
コア電圧設定に裏技を発見!
実は、この製品を手にした時、「こりゃ、ダメかも知れない」と感じた。それはSocketAマザーボードにしては電源回路の電力制御素子の数量が圧倒的に少なくてキャパが足りないと思ったからである。ところが、何気なくマザーボードを裏返してみると、先に感じた印象をうち消すだけの電力制御素子が並んでいた。「あら、こんなところに・・・」。まぁ、ひと安心。おそらくは、CPUソケット周りのスペースを確保するためにココが選ばれたのだろう。それにハンダづけのあとを観察すると手作業で実装している可能性もあり、手間のかかる製品なのかも知れない。ともあれ筆者の心配が無用であったことがわかったところでもう少し詳しく見てみた。
まず、コア電圧についてはBIOSセットアップからではなくてJP2のジャンパ操作からCPUの標準電圧に対して、0.1Vステップ4段階の設定が可能だ。電源回路は、CPUソケットに装着されたCPUのVIDパラメータ(そのCPUの標準電圧を示すコード)をPWM(SC2422ACS)が読み取って規定の出力電圧を作り出すのは従来通りだ。そして、JP2の7ピン〜10ピンはそれぞれR61〜R64に接続されPWMのFBピン(7ピン)の電圧をコントロールしている。このうち、R61〜R64は、表1に示す抵抗値で、ジャンパキャップの位置に応じてコア電圧が高くなり最高+0.4Vアップとなるのだが、これは、取扱説明書通りの設定方法である。
ここまでの説明で“ピン!”と来た方は、かなりの「つわもの」である。そう、ジャンパキャップを追加すれば、さらに高いコア電圧を得られる回路なのだ。
例えば、JP2の2-7と5-10にキャップすれば、PWMのFBピンには、R61とR64の合成抵抗値が接続されることになり結果的に+0.1Vと+0.4Vのオーダーなので規定電圧の+0.5Vとなる(実験済)。極端な例だと4つのジャンパ全てにキャップをすると計算上+1.0Vアップとなり(標準1.75VのAthlonだと2.75Vになる)非常に危険なコア電圧を設定できてしまう可能性があるのだ(これはさすがに実験していない)。と暴露しておくが、この裏技を含めてコア電圧を標準値より高く設定すると大切なCPUを壊す恐れがあるので十分な覚悟と自己責任において操作してほしい。
【表1】JP2とコア電圧設定表
| ジャンパピン番号 |
抵抗番号 |
抵抗値(Ω) |
コア電圧 |
| 2-7 |
R61 |
100K |
+0.1V |
| 3-8 |
R62 |
48.6K |
+0.2V |
| 4-9 |
R63 |
32.5K |
+0.3V |
| 5-10 |
R64 |
24.0K |
+0.4V |
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もう一つの裏技
気の早い読者なら、すでにEP-8K7Aを買いに走るか、インターネットで通信販売の手続きを始めた頃かも知れないが、もう一つの裏技について述べておこう。
先の話しでカンの良い方ならもう確かめているだろうが、EP-8K7Aの電圧設定は、コア電圧だけでなくDDRメモリに対しても0.1Vステップ4段階でセット可能だ。しかも、コア電圧設定と同じようにJP3のジャンパポストにキャップするスタイルは、全く一緒である。そう、ここも理屈上はキャップを増やせば足し算でDDR電圧が高くなる回路なのだ。ところが筆者が実験してみたところJP3の2ピン〜10ピン全てにキャップをしてみたがDDR電圧は、3.0V以上に高くならなかった。この目的のためには、おそらくDDR電圧を生成する元の電源電圧(I/O電圧)を高くする必要があるのだろう。もしも、チャレンジするなら写真に示したR363とR353のパラメータを変更すれば良さそうだ(ただし、筆者が試した訳ではないので参考程度にしてほしい)が、このI/O電圧はDDR電圧だけでなく他の回路(クロックジェネレータ回路等々)でも使用しているので十分な注意が必要だ。なお、このDDR電圧にATX電源ユニットの3.3Vラインは関与していないので、ATX電源ユニットを改造し高い電圧を供給したとしても無意味だと思われる(関与させる予定だった形跡は見て取れるが、回路は分断されている)。
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裏技でDDR電圧が3.0Vになった |
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I/O電圧を制御している“US3034” |
CPU倍率とFSB設定クロックの操作範囲
さて、裏技の話しはひとまず置いておくとして、電圧以外のオーバークロック装備について確かめておこう。
CPUの倍率はDIPスイッチで5倍〜12.5倍までをカバーしており、L1クローズのCPUなら手間なく倍率を自在に操作できるので、オーバークロックセッティングには重宝するだろう。一方、CPUの種別(FSB200MHzかFSB266MHz)は、マザーボード上のJCLK1ジャンパでキャップ操作をしなければならない。が、FSB設定クロックはBIOSセットアップから1MHzステップ最高166MHzまでセット可能であり、AD11の持つFSB設定機能より細かくて広範囲である。また、キーボードから好みの数値を打ち込める機能もあって便利だ。
ただ、EP-8K7Aのクロックジェネレータ回路にはPLL-ICに“ICS94225AF”が採用されているのだが、同じPLL-ICを搭載するASUS A7M266のFSB設定クロックは、最高180MHzであることから、出せる周波数は166MHzで打ち止めではなくまだ余裕があるハズだ(執筆時点でこのデバイスのデーターシートがICSのライブラリーに未登録なので詳細がつかめない。だが、おそらくBIOSのプログラミングで拡張が可能かと思われるので将来のリビジョンアップに期待しておこう)。
FSB133MHzでのベンチマーク
それでは、「マザーボードのオーバークロック機能を徹底調査する(その1)」の“マザーボードの処理速度を調べてみる ”と同じ主旨でEP-8K7Aのパフォーマンスを調査し、同じチップセットを搭載したAD11の性能と比較してみた。
それと、AMDが開発したベンチマークテスト“N-Bench”が一般に公開されて自由に試せるようになったことから、今回のテストに追加してみたので参考にしてほしい。なお、結果をみるとAD11と比較して辛く言えばEP-8K7Aのスコアーが若干下回るが、その差は小さくほぼ互角のパフォーマンスを示していると言っても良いだろう。
Superπ(104万桁)
3D mark 2000 Rev.1.1
3D mark 2001
SYSmark2001
N-Bench(133.3MHz×9)
テスト環境と設定内容一覧
EP-8K7Aのオーバークロックテスト
最後のテストとしてEP-8K7Aがどこまでオーバークロックに耐えることができるのか調べてみた。なお、使用したメモリは以前の記事で使用した5枚でアクセスタイミングも同じ設定としたが、5枚のうちで抜き出ていたのがVIA製PC2100(CL=2)とCrucial Technology製PC2100 (CL=2.5)だった。これは、前々回にAD11でメモリーの耐性テストを実施した時に、高成績を示したもの。ただ、AD11に比較してEP-8K7Aは、メモリーの好き嫌いが少しあるように思われた。つまり、マザーボード耐性テストでAD11と5枚のメモリが全て150MHzのFSB設定クロックで動作したが、EP-8K7AとSamsungチップを載せた2枚のモジュールだと同じ150MHzでWindowsのスタンバイまで到達しなかったのである。さて、EP-8K7Aは、最終的にCrucial Technology PC2100 CL=2.5 のDDRメモリーにDDR電圧3.0V(例の裏技を使った)でFSB設定クロック166MHzに到達し以下のベンチマークスコアを叩き出した。
3D mark 2000
3D mark 2001
Superπ(104万桁)
N-Bench(166MHz×9)
【EP-8K7Aオーバークロックテスト設定内容】
EP-8K7Aオーバークロックテスト設定内容
| コア電圧 |
1.85V |
| DDR電圧 |
3.0V |
| CPU倍率 |
9.0倍 |
| SDRAM PH Limit |
8 |
| SDRAM Idle Limit |
8 |
| SDRAM Trc Timing |
8 |
| SDRAM Trp Timing |
3 |
| SDRAM Tras Timing |
7 |
| SDRAM CAS Latency |
2 |
| SDRAM Trcd Timing |
3 |
| Super Bypass Mode |
Enabled |
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このテスト結果から、メモリに依存して動作するしないがあるかも知れないが、166MHzまでFSB設定クロックがセットできるEP-8K7Aは150MHzで規制されるAD11に比べてオーバークロックシステムに向いていると言える。しかもそのために高度な改造テクニックを駆使する必要性もなく手軽に高いFSB設定クロックを出せるのだから今のところ文句のつけようがない。ただ、欲を言うなら、Windows上でFSB設定クロックが操作できるアプリケーションが欲しいと思った。それと今後のことを想定すると高性能なメモリーが出現した場合にさらに高いFSB設定クロックを試してみたくなるオーバークロッカーも多いはず。メーカーには、その辺りをフォローするBIOSとアプリケーションをリリースしていただけるよう最後に熱くリクエストしておこう。
◎注意
メーカーが定めた周波数以上の動作は、CPUやメモリを含めてその他の関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。また、ベータ版BIOSの使用を含めてBIOSの更新に失敗した場合など、その結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。オーバークロック設定・改造・BIOSの書き替え等は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。
【筆者プロフィール】鈴池 和久氏。ASCII DOS/V ISSUEではレスキュー日記でマザーボードの修復記事などを執筆。他PC改造に関する著書もある。マザーボードの回路解析やハンダごてを使ってオーバークロック改造を施すのが得意。オーバークロック歴は1995年登場のTritonチップセットの頃から。ハンドル名は「KAZ’」。大阪府在住1957年生まれ。
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