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【最新パーツ性能チェック Vol.36】Athlon 64との違いは名前だけなのか? Opteronのオーバークロック耐性をチェックする


2005年12月14日

 AMDは9月からSocket 939のOpteronを販売している。Opteronといえば2003年6月の登場以来、ずっとSocket 940だった。しかし低価格サーバの普及に対応するためか、Socket 939で安価なアンバッファードDIMMを使えるOpteronの登場となったようだ。Athlon 64には存在しない周波数・キャッシュの組み合わせの製品もあり、ラインナップ的にも興味深いが、同時に物理的な特性――もっと言えば、クロックアップ耐性も気になる。今回は同仕様のAthlon 64と比較してみた。

限りなくそっくりのSocket 939版OpteronとAthlon 64

 OpteronとAthlon 64の違いは大きく分けて4つある。いや、あった。まず、Opteronはマルチプロセッサシステムにおいて、他のCPUとダイレクトにデータ交換を行なうために、Hyper Transport(HT)チャネルを3つ持っているのに対し、Athlon 64ではチップセット接続用のHT1つしか持っていないこと。次に、Opteronは大容量メモリに対応するため、レジスタードDIMMモジュールが必須であるのに対し、Athlon 64は一般的な(アンバッファードの)DIMMが使えるということ。それから、Athlon 64シリーズは939ピンのSocketを用いるが(昔は754ピンのものもあったが、現在はTurion/Sempronしか使っていない)、Opteronは940ピンのSocketを用いることだ。
 ただ、シングルCPUでしか使えない“Opteron 100”シリーズについて言えば、通信する相手CPUがない以上、HTが3つあると言っても事実上使い道はない。つまり、“Opteron 100”シリーズとAthlon 64との違いは、使えるメモリとSocketが違うだけ。クロックとキャッシュ容量が一致すれば、性能的には同じになると予想されていた。
 そこへ登場したのが、“Socket 939版のOpteron”なるものだ。しかも、メモリはアンバッファードが使えるという。これで実態としては限りなくAthlon 64と同じOpteronになった。
 もっとも、ラインナップと、そもそも名称が違うため、一見両者の関係はわかりにくい。そこで表にまとめてみた。



周波数別の各モデルラインナップ
周波数OpteronAthlon 64
2.4GHz デュアルコア180X2 4800+
2.2GHz デュアルコア175X2 4400+
2.0GHz デュアルコア170-
1.8GHz デュアルコア165-
2.8GHz154FX-57
2.6GHz152FX-55
2.4GHz1504000+
2.2GHz1483700+
2.0GHz146-
1.8GHz144-


 見ての通り、キャッシュ1MBの製品のラインナップは、OpteronがAthlon 64よりはるかに充実している。2.6/2.8GHz品はAthlon 64にはないが、FXが同等スペックになる。しかし、1.8/2GHzの品は、シングル、デュアルとも対応する製品が登場していない。
 巷では1.8GHzの144がクロックアップ用にねらい目と言われているが、今回は同等製品での比較を行なうため、Opteron 148とAthlon 64 3700+を対決させてみることにした。



Opteron 148とAthlon 64 3700+のコアは同じもの?

 今回はDFIのnForce 4 SLIマザー「LANParty UT nF4 SLI-D」に装着してテストした。Athlon 64 3700+はまったく問題なかったが、Opteron 148は最初の状態(BIOSは一番初期のものだった)ではWindowsが正常に起動せず、最新BIOSに更新したら動くようになった。BIOSのサポート状況によっては動かないマザーもあるかもしれない。
 動かしていて気になった点としては、Athlon 64 3700+では有効に機能する“Cool'n'Quiet”が、Opteron 148ではAMD純正のOpteron用ドライバでは動いてくれないことだ。ただ、電圧とクロックの変更機能自体はもっていて、「CrystalCPUID」を使えば同等(以上)の省電力化を行なうことができる。これはBIOSの問題なのかCPUの問題なのかはわからない。

Opteron 148のスペック。Opteron 148は130nmプロセス時代から製造されているが、Socket 939のものはAMDのQuick Referenceを見る限り、すべてこのE4リビジョンの90nmタイプのようだ。SSE3に対応している。
Athlon 64 3700+のスペック。3700+にはSocket 754で2.4GHzタイプもあるが、Socket 939のものはすべて2.2GHzのキャッシュ1MBタイプで、90nmプロセス、E4リビジョン。SSE3に対応する。

 上の画面は両CPUの「CPU-Z」による諸元の出力結果。見ての通り、ほどんと同じだが、数ヵ所違うところがある。まずコアのRevisionが、Athlon 64 3700+は“SH-E4”とあるのに対し、Opteron 148は“E4”となっている。ただ、Athlon 64における“xH”は、コアの種別(キャッシュ容量、デュアルコアかどうか)を示すもので、“SH“はキャッシュ1MBのシングルコアの場合につけられる。Opteron 148は、キャッシュは1MBしかないので、このような識別符号が付いていないだけと思われる。実際AMDサイトのCPUクイックリファレンスを見ると、Revisionはどちらも“E4”となっている。
 “Family”、“Model”、“Ext.Model”も共通だが、電圧だけは、Athlon 64 3700+が1.312Vに対し、Opteron 148は1.36Vになっている。「CPU-Z」ではBIOSでの設定よりは低い数値が出ることが多く、調べたところ、実際の設定はOpteronは1.4V、3700+は1.35Vだった。“Quick Reference”では両CPUとも電圧は“1.35〜1.4V”となっているため、どちらも範囲内ではあるが、動作電圧が違うのは、OpteronとAthlon 64というマーケットの違いに由来するものなのか、ダイのロットの違いなのかは不明だ。



性能の差は誤差範囲だが、クロックアップはAthlon 64 3700+が強い

 さて、CPUの性能に違いがないかどうか、いくつかのベンチマークテストを走らせてみたが、グラフ1〜4のように、差はほとんどない。僅かにAthlon 64 3700+が上のケースが多いが、これは誤差範囲だろう。コアのリビジョンがいっしょだとすれば、当然の結果かもしれない。

3D、レンダリング、エンコード、いずれも差は誤差範囲にとどまった。プロセス、コアのリビジョンまでいっしょでは当然予想される結果ではある。

 クロックアップについては、HyperTransportの倍率を3倍に下げて計測した(これによりFSB 333MHzまではHTの速度が基準をオーバーしない)。メモリはG.SKILLのPC4400(DDR 550相当。FSB 275MHzまで対応)のメモリ「F1-4400DSU2-1GBFC」を使用。CPUのクロック倍率を下げ、FSBを275MHzに上げても、メモリは自動設定のままで問題なく動作した。つまり、275MHzまではHTとメモリがボトルネックにならない状態で、FSBがどこまで上がるかをチェックしている。また、FSBの調整は、BIOSではなく、「ClockGen」のnForce 4用(http://www.cpuid.com/cg.php?cgid=NVNF4)を使用している。nForce4系マザーボードならどれでもWindows上でクロックが調整できる便利なソフトだ。ファンはAMDのリテールクーラーで、電圧などは特に明記しない限りどれも標準の設定である。
 Opteron 148については、標準電圧で「Superπ」が完走したのはFSB 230MHz、クロックにして2.53GHz(330MHzアップ)、比率で+15%まで。ただ、CGレンダリングの「CineBench 2003」はFSB 236.1MHz、クロックは2.597GHz(+397MHzアップ、比率で+18%)まで動作した。電圧を1.45Vに上げたところ、「Superπ」は2.605GHz、「CineBench」は2.672GHzまで上がった。なんとかAthlon 64 FX-55を抜いた形だ。「Windows Media Encoder」は2.695GHzでも動いたが、「3DMark 2001」は「Superπ」と同じ2.597GHzまで。実用限界はこのあたりのようだ。
 一方のAthlon 64 3700+はどうか。こちらは優秀で、標準電圧のままでも「Superπ」が2.788GHzまで動作、「CineBench」は2.797GHzまで動いた。電圧を上げればAthlon 64 FX-57(2.8GHz)超えもありうるだろう。


クロックアップの結果。Opteron 148は+0.05Vで2.6GHz弱。そう悪い結果でもないが、Athlon 64 3700+が優秀だっただけにやや見劣りする

 今回テストした2製品では、デフォルトの電圧がOpteron 148よりAthlon 64 3700+のほうが低かったが、これは一般的には、Athlon 64 3700+のほうがダイのクロック耐性が高いことを意味する。耐性が高ければ、より低い電圧でも安定動作するし、同じ電圧を与えればより高いクロックで動ける。どうやら今回はAthlon 64のほうがまずまず“当たり”のロットだったようだ。
 Opteronはサーバ用なので、ひょっとすると高耐性のダイを優先的に回しているのではないか、という憶測もしたくなるが、今回の結果からすると肯定できないようだ。ただ、Athlon 64にはない、「低いクロックでキャッシュが1MB」のOpteron 144/146といった製品は、仮に2.5GHzくらいで動いてくれるなら、「少ない投資で高い性能」を得られることになる。同じクロックで動くなら、キャッシュの少ないAthlon 64のローエンド品より最終性能が上げられる。やはり狙い目はこのへんだが、現在店頭から消えつつあるのが残念なところである。

Athlon 64-3700+
Socket 939のシングルコアCPUとしては一番新顔のAthlon 64 3700+。1MBキャッシュ品が潤沢に製造できるようになってきたことを伺わせる
Opteron 148
Opteron 148。Socket 939ならどれもE4コアでSSE3対応なので、うっかり旧コアをつかむ心配はないようだ
DFIのオーバークロッカー御用達nForce 4 SLIマザーボード「LANParty UT nF4 SLI-D」。通常2.85Vが限界のメモリ電圧を4Vにまで上げられるため、超高速FSBでのテストに有利だ
512MBMのモジュールを2本組で販売されているG.SKILL製のPC4400-1GBメモリ「F1-4400DSU2-1GBFC」。FSB 275MHzでの動作も問題なくクリア。今回は、CPU側がFSB 258MHz程度までしか上げられなかったので楽勝だった
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