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【最新パーツ性能チェック Vol.35】シングルコアの最高峰も渡さない!? 動作周波数2.8GHzの「Athlon 64 FX-57」の威力は?


2005年6月28日

 クロックを下げないままデュアルコア化に成功し、マルチスレッドアプリで驚異的な高性能を見せる“Athlon 64 X2”が市場に登場し始めた。ただ、シングルスレッドアプリについては、3.8GHzという高クロックのPentium 4 670/570や FSBが1066MHzのPentium 4 XE-3.73GHzは、依然強力なライバルだ。AMDは「シングルスレッドが主流のゲーム向けには、シングルコアの“Athlon 64 FX”を今後も強化していく」と発表しているが、その公約通り、AMDはクロックをさらに1段高めた「Athlon 64 FX-57」(以下、FX-57)を6月27日に発表した。

fx57
90nmプロセスのFXである「Athlon 64 FX-57」。型番末尾のBNが“San Diego”コアを示している

“San Diego”コアに移行して“SSE3”もサポート

 “Athlon 64 FX”の新製品は、それまで販売されていた最高速の製品と同じ価格でリリースされ、従来品はフェードアウトするのが常であった。しかし今回のFX-57は、1000個ロット時の単価が11万3410円となる一方、従来品の「Athlon 64 FX-55」(以下 FX-55)は9万970円で併売されることになった。FX-55の価格は、発売時(昨年10月19日)に比べると日本円では約1万円安くなっているが、ドル価格は827ドルのままなので、FX-55は値下げせずに販売継続しつつ200ドル以上高いFX-57を追加投入した形となる。
 FX-57は予想どおり、FX-55の周波数をさらに200MHzアップして2.8GHzでの動作となった。L2キャッシュ1MB、Hyper Transportリンクは1GHz動作、Socket 939といった基本スペックはFX-55から変わっていない。ただし、製造プロセスはFX-55の130nmから90nmに移行し、“SSE3”のサポートが追加された。Athlon 64シリーズですでに製品化されている第2世代の90nmプロセスの“San Diego”コアが使われていることになる。  もっとも“San Diego”コアのFXはこれが初めてではない。AMDのデータシートによればFX-55には130nmの“Claw Hammer”コアによる製品のほかに、90nmの“San Diego”コアのものもリストアップされており、米国では入手可能という。130nm版では104WだったTDPが、90nm版では89Wに引き下げられてもいる。そのかいあってか、FX-57のTDPは130nm版のFX-55と同じ104Wとなっている。

「Athlon 64 FX-57」の仕様
「Athlon 64 FX-57」の仕様を「CPU-Z」で見たところ。“拡張モデルナンバー”(Ext. Model)が“27”であるのが“San Diego”コアであることを示している。“SSE3”も確かにサポートされている


エンコードは依然デュアルコアの天下
しかし3D系では首位をがっちりキープ!

 さっそく各ベンチマークソフトを使ってテストした結果を見ていきたい。グラフ1〜3は「3DMark」 3種を対決したものである。CPU性能の差がよく出る「3DMark 2001 SE」では、Athlon 64-4000+ではPentium 4 XE-3.73GHz に並ばれてしまったが、FX-57はきっちり100差を付けて引き離している。CPUにあまり依存しない「3DMark 03」「3DMark 05」のメインスコアでは伸びはごく僅かで、Pentium 4陣営との勝ち負けも誤差範囲だ。しかし、「3DMark 03」のCPUスコアはAthlon 64 4000+と比べると86アップし、並びかけていたPentium 4 670やPentium 4 XE 3.73GHzを引き離している。ただ、「3DMark 05」のCPUスコアはマルチスレッド化されているため、FX-57は大きく性能を伸ばしはしたが、デュアルコアのPentium D 840に届かなかったほか、“Hyper Threading”(以下、HT)搭載のPentium 4 XE 840にも惜敗した。一方、「Unreal Tournament 2003」や「Final Fantasy」では、首位をさらに大きく独走する形だ。

 

「3DMark 2001」の結果

「3DMark 03」の結果

「3DMark 05」の結果

 マルチスレッド化されている「Cinebench」や「PCMark 04」、およびエンコードソフトでは性能が伸びはしたものの、HT搭載のPentium 4やデュアルコアCPUたちが優位に立つ。それでも「Cinebench」では、Pentium 4 670やPentium 4 XE 3.73GHzに並ぶ健闘を見せたが、デュアルコアには歯が立たない。そのほかの3つは、デュアルコアのみならず、シングルコアだがHT搭載のハイエンドPentium 4にも及ばなかった。ただ、「TMPGEnc 3」では“SSE3”搭載が効いて、Athlon 64-4000+と比べると性能は25%向上している。
 最後のグラフ2つは、π計算を行なう「Superπ」と高性能可逆圧縮ソフト「DGCA」によるエンコード時間だが、ここではクロック向上がダイレクトに反映され、ともに首位奪還に成功している。
 なおテスト条件は前回のVol.34のものと同じで、FX-57についてはAthlon 64 X2 4800+と同じ環境を用いている。

「Unreal Tournament 2003」の結果
「Final Fantasy XI ver.2」の結果
「Cinebench 2003」の結果
「PCMark 04」の結果
「Windows Media Encoder」の結果(短い方が高速)
「TMPGEnc 3」の結果(短い方が高速)
「Superπ」の結果(短い方が高速)
「DGCAβ9の結果(短い方が高速)」

FXブランドの正念場

 全体を通して言えば、マルチスレッド化されたアプリではやはりデュアルコアという結果になった。また、HT搭載のPentium 4には及ばないものの、3Dやシングルスレッドの演算性能を問われるテストでは強いテストはさらに独走し、これまでPentium 4 670やPentium 4 XE 3.73GHzに追いつかれつつあった分野は、しっかり引き離しを行なったといえる。シングルスレッドの作業については最速のCPUと言っていいだろう。これにより、AMDはマルチスレッド最速のAthlon 64 X2に加え、シングルスレッド最速の座も確保したことになる。AMDの「最速」へのこだわりを感じさせられる製品展開と言える。

 ただ、FX-53がソケット939に移行して以来、Athlon64 FXは「なにをやらせてもAthlon 64シリーズ中で最速」のモデルとなっていた。もっと言えば、Athlon64 FX-55は、「事実上Athlon 64 4200+のようなもの」(ここでいう4200+とはデュアルコア版を指すのではなく、4000+のさらに上位という意味合い)だった。しかし、X2が登場したことで、FXの優位はシングルスレッドの作業に限定された。アピールできるマーケットが大きく狭まっても、なお今後ブランド力、価格を維持できるかどうかが注目されよう。




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