【最新パーツ性能チェック(Vol.27)】ついに出た1ギガファンレス!“Efficeon”マザーの実力を探る
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2004年9月30日
小型・静音・省電力マシンといえば、“Eden”か“Pentium M”というのが相場だが、PC用CPUの世界に本気で省電力というキーワードを持ち込んだのが、Transmeta社の“Crusoe”であることには異論はないだろう。その元祖低消費電力CPUメーカーの現在のフラッグシップ、“Efficeon”を搭載したマザーボードを、台湾のiBASE社が販売開始するという。さっそくその使い勝手とパフォーマンスに迫ってみた。
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1ギガでファンレスを実現
省電力・静音PCを作ろうとする場合、省電力というキーワードからは、CPUの選択肢はPentium MかC3(Eden)が候補となる。一方、静音のためにはCPUファンを排除したい。だがPentium Mはもちろんのこと、ファンレスのEdenオンボードが売りのVIAのEPIAマザーボードも、現状で実際にファンレスなのは600MHzまで。800MHz以上の製品にはファンが付いている(特殊なヒートシンクやケースとセットで1GHzファンレスを実現している製品はあるが)。
一般に、ファンレス動作が可能な限界はTDPで7Wまでと言われている。Pentium Mも超低電圧版(ULV)ならBanias、Dothanともに7W以下なのでファンレスで作れそうだが、残念ながらCPU単体は流通していない。Edenも、VIAは1GHzファンレスの「ESP10000」を発表しているが、搭載するマザー(EPIA MSシリーズ)はまだ発売されていない。
台湾のiBASE社が販売する「MB860」は、この「夢の1GHzファンレスCPU」を搭載する、初めてのマザーボードになりそうだ。CPUはTransmetaのEfficeon。256bit VLIWエンジンを備え、同消費電力のPentium Mと張り合う性能を持つとTransmetaは主張する。そのような性能がファンレスで実現できるなら確かに魅力的だ。
2種類のIDEケーブルが付属
MB860は17(W)×17(D)cmのmini-ITXフォームファクタ。ATX、MicroATX、および数は少ないがmini-ITXのケースに装着できる。もちろんバックパネルも付属する。
CPUのEfficeonは1GHz。EfficeonはAGP 4xのインターフェイスを内蔵しているのを利用し、オンボードでRADEON 7500相当のMobility RADEON M9と接続されている。パッケージ内に16MBのメモリを組み込んでいるため、メインメモリへのアクセスがCPUと競合することがない。サウスブリッジはハイパートランスポートでALiのM1593が接続され、シリアル、パラレル、USB 2.0×2、LAN(100BASE-TX)などを提供している。
メモリは通常のDIMMではなく、ノート用のSO-DIMM(DDR333まで)スロットが1つとなっている。デスクトップ用に比べるとメモリの価格が倍近くするのはちょっと残念。電源は普通の20ピンATX、4ピンの追加電源は不要だ。
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MB680。大きなヒートシンクはCPU、小さいヒートシンクはRADEON。1GHz CPUでファンレスマザーなのはおそらくこれが初めてだろう。左上、ビデオチップの隣のコネクタはTMDS方式の液晶パネル接続用インターフェース。中央のBIOS ROMの左にある2つのコネクタはLVDS 20ピン方式の液晶インターフェース。PCIスロットの左上はUSB(ブラケットは付属しない)。 |
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オンボードのEfficeon 1GHz CPU。CPU本体に加え、DDRメモリインターフェイス、AGP 4x、8bitハイパートランスポートバスと、事実上のノースブリッジの機能も備えることもあり、ダイサイズは119mm2と大きい(Banias/Dothanの約1.5倍)。 |
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面白いのはIDE(パラレルATA)で、2つのポートのうちプライマリ側は標準サイズの40ピンコネクタだが、セカンダリ側は2.5インチHDD用の小型の44ピン端子になっている。マザーには両方のケーブルが1本ずつ付いてくる。3.5インチドライブに比べれば2.5インチは割高だが、小さなスペースでメインの3.5インチドライブと光ドライブ以外にあと2台増設できるのはありがたい。
CPUの上にあるFDDコネクタのような端子は、実は専用のブラケットで3つのCOMポートを引き出すためのものだ。背面にも1つCOMポートがあるから、計4ポートになる。FDDのポートは左上の、細い黒いコネクタだが、ケーブルは付属しないため、事実上利用できないと思ったほうが良さそうだ。
拡張スロットはPCIが1つ。AGPがないのはちょっと残念な気もするが、CPUパワーを考えれば、これに高速ビデオカードを装着しても、最新のヘビーな3Dゲームをプレイという選択肢はないだろう。スロット用のスペースは1つしか取れそうもないので、となれば、ギガビットイーサやテレビチューナー&キャプチャなど、さまざまなカードを装着できるPCIのほうが確かに役に立ちそうだ。
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オンボードのビデオチップ「Mobility RADEON M9」。RADEON 7500と16MBのメモリがワンパッケージになっている。CPUと直接AGP接続される。ローカルメモリを持つためメインメモリをCPUと取り合わない。 |
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サウスブリッジに、最近ではあまり見かけなくなったALi製を採用しているのは、接続がハイパートランスポートのためだろう(VIAやSiSには該当製品がない)。 |
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EfficeonとはどのようなCPUか
さて、気になるのはパフォーマンス。現在Efficeon搭載マシンはシャープのノートPCだけで、決してポピュラーとは言えない。Transmeta製CPUというと、以前各社から販売されたCrusoe搭載サブノートのほうが有名だろう。ご存じのようにTransmetaのCPUは、CrusoeにしろEfficeonにしろ、CPUそのものはx86と互換性がなく、そのままではWindows XPはじめPC用のソフトは動作しない。そこで、CMSという、x86コードをネイティブコードにリアルタイムに変換するソフトを走らせている。この変換のタイムラグが、実使用においてかなりのもたつきとなることは、実際に搭載機に触れて感じた方も少なくないはずだ。
ただ、Efficeonでは内部コアの命令の同時実行数が2倍になっているほか、初めて実行するコードに対してのレスポンスを上げるための、特別な実行ユニットを用意するなどして、大幅な性能向上を図った。同社によれば、同じTDP 7WのULV Pentium M-900MHzとEfficeon-1.1GHzでは、ベンチマークの結果はEfficeonのほうがやや優勢であるという。したがって、Efficeon-1GHzならPentium M-800MHzくらいの性能になるはずだ。
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Sandraで見たEfficeonのスペック。CPUIDはF24。ファミリーナンバーがPentium 4やAthlon 64同様、F(15)になっている(Crusoeは5だった)。1次キャッシュは命令が128KB、データが64KBとサイズが異なるのが面白い。2次キャッシュはBaniasと同じ1MB。 |
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512MBのPC2700 SO-DIMMを装着した場合、Windowsに見える容量は480MBになる。消えた32MBは、x86コードを変換するCMSプログラムと、CMSによって変換されたコードを保存するトランスレータキャッシュとして使われている。 |
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Pentium M-800MHz程度の性能は確かにありそう
実際にパフォーマンスを計測した結果をグラフ1〜7に挙げる。残念ながら、比較対象データがPentium M-1.4GHz(Banias。マザーボードはCommell LV-671)および同1.7GHzしかなかったので、2つの結果を基に直線近似によって800MHz時の推定値として比較していく。ただ、一般に性能の伸びはクロックが上がるにつれて下がる傾向があるので、実際の800MHz品の性能は、ここで示したものより若干は上になると思われる。
また、グラフィックについては、LV-671ではオンボードのi855GME(Intel Extreme Graphics 2)を用いたため、RADEON 7500が載っている今回のMB860に比べるとかなり不利になるが、実際の利用するにあたっては通常はオンボードグラフィックを使うと思われるので、CPUの比較というよりはマザーボードの比較という観点で見ていただければと思う。
なお、Efficeonマシンでは、CMSが常駐するため、Windowsが利用可能なメモリーが若干減る。Efficeon搭載ノートのMebiusでは24MBがCMSに割り当てられていたが、MB860では32MBが割り当てられるようだ(メモリ512MB搭載時)。そのため、Windowsのメモリとしては480MB搭載となる。
日常作業の総合指標となる「PCMark 04」の結果は、Efficeon-1GHzがほぼPentium M-800MHzの推定値と並んだ。Cinebenchもシェーディングではほぼ同スコアだ。いっぽう、SSEに最適化されていると思われるCinebenchのレンダリングやWindows Media VideoではPentium Mが800MHzでも大きくリードしそう。また、CPUとしての演算能力を問われるSuperπでもPentium Mが大きなリードとなった。
SSE系が弱いのかとも思ったが、Sandraで見る限りは、MMX、SSE系の性能テストであるマルチメディア(MM)の値はEfficeon優位だ。実際Efficeonは、SSEやMMX用に専用の実行ユニットを3つも備えている。どちらかというと、インテルプロセッサ向けにチューンされているためにもうひとつ相性が悪いということなのかもしれない。
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グラフ1 PCMark 04 |
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グラフ2 Superπ(短い方が高速) |
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グラフ3 Cinebench |
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グラフ4 Windows Media Video 9(短い方が高速) |
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一方3Dについては、RADEON 7500の力でスコアを伸ばした。3DMark 2001はCPUパワーの反映率が非常に少ないこともあり、Pentium M-1.4、800MHzおよびEfficeon-1GHzが横一線。Unreal Tournamentでは、比較的CPUパワーが影響するBotMatchではほぼタイだが、ビデオチップ性能の比重が大きいFlybyではPentium M陣営を大きく引き離した。それに、855GMEでは動かないFinalFantasyのベンチも通る(もっともスコアはver.2の低解像度で833と実用水準とは言えないが)。3Dゲームマシンとしてこうした1GHzクラスのマザーを使う人はいないだろうが、軽めのタイトルをちょっと楽しむのには、Pentium Mのオンボードグラフィックより頼りになる。
日本での販売については、同社サイトhttp://www.ibase.com.twに日本代理店募集中と書かれているように、まだ不明な部分が多い。サイズこそmini-ITXだが、COMポートが4つあるなど、基本的にはこれは工業用で、各種独自サイズのPentium Mマザー同様、一般向けの入手は困難も予想されるが、小型静音ローパワーの市場は確実に広がっている。価格次第ではファンレスマーケットに大きな存在感を示しそうだ。
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グラフ5 3DMark 2001 |
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グラフ6 Unreal Tournament 2003 |
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グラフ7 Sandra Professional 2004 SP2 |
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(アスキープラス編集部 野口岳郎)
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