【最新パーツ性能チェック(Vol.25)】次世代デスクトップのダークホース・Dothanのパフォーマンスを探る!
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2004年6月26日
インテルが90ナノメートルプロセスで2次キャッシュ2MBを内蔵する注目の新CPU、コードネーム“Dothan”を5月半ばに発表して以来、その高い性能と低消費電力を生かしてデスクトップPCを作る試みが活発化している。対応マザーボードやベアボーンが続々リリースされる一方、旧Pentium Mコア“Banias”時代には、秋葉原全体でもパッケージを扱うショップは2、3店だったのに、Dothanは、モノによっては10店以上ものショップが在庫を持っている。
Dothanはどれほど高速なのか。使い勝手はどうか。デスクトップPC用CPUとしてもやっていけるのか。
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モバイルP4-3.45GHz相当!?
発表によれば、Dothan(新Pentium M)1.7GHzの性能は同クロックのBanias(旧Pentium M)よりMobile Markで約10%高速で、モバイルPentium 4-2.6GHz比では実に25%アップになるという。クロック換算なら実にモバイルPentium 4-3.25GHzとなる。Dothanは最高2GHz版まであり、こちらに至っては33%高速だというから、クロックにするとP4-3.45GHzということになる。
クロックだけから見れば、昨日発表されたPentium 4-560(3.6GHz)に次ぐ高性能ということになるが、「モバイルPentium 4」の3.45GHzは、そのままデスクトップのPentium 4と並べるわけにはいかない。なぜなら、
1. デスクトップのPentium 4はFSBが800MHzだが、モバイルPentium 4は400MHz
2. デスクトップのPentium 4は、デュアルチャネルPC3200が基本だが、モバイルPentium 4はシングルチャネルPC2700が基本
3. デスクトップPentium 4にはHT(ハイパースレッディング)があるが、モバイルPentium 4にはない
というふうに、性能面でデスクトップ製品に差をつけられる要因が多数あるからだ。
そこで、本稿ではまずPentium Mプラットフォームの現実、BaniasとDothanの性能差について触れ、後半ではデスクトップ機との性能対決を行う。
PART1
バニアスマシンに差し替えしてみた!
Pentium MはμPGA479Mというソケットに装着する。ソケット自体はデスクトップのμPGA478とそっくりだが、デスクトップではふさがっているA2ピン(端っこから2番目)にも穴が空いているため479となっているものだ。
一方、CPU本体のほうは、大きく異なる。デスクトップのPentium 4にはあるヒートスプレッダーがなく、コアがむき出しになっているので、本体は軽く、繊細な印象を受ける。ソケットにはレバーはなく、CPUの取り付けは、CPUをソケットに差した上で、手前にあるつまみをマイナスねじで回すことでロックされるようになっている。
今回は、ASUSTeKのS5200NEでCPU換装に挑戦してみた。Pentium 4(Banias)1.4GHzを搭載して販売されている、白い筐体がおしゃれなノートだ。本体背面の蓋をあけ、ヒートパイプとヒートシンクのモジュールを取り外すと、普通にCPUソケットが現れるので、ロックをゆるめてBanias-1.4GHzを外し、Dothan 1.7GHzに差し替えた。電源ONすると、何の問題もなくDothanベースでマシンが起動した。
用途によって特に大きな効果あり
今回はたまたまBanias-1.7GHzも手元にあったので、オリジナル(Banias-1.4GHz)とDothan-1.7GHzの3CPUで、パフォーマンスがどう変わるかを比べてみた。グラフ1〜11が各種テストの結果だ。
まず、メモリ性能は、チップセットが変わらないので基本的に変化なし。CPUコアのパフォーマンスを見るSandraでは、Banias-1.7GHzはクロック分上がっているが、同クロックのBaniasとDothanでは整数演算がわずかに上がった程度。Dothanの最大の性能向上ポイントはキャッシュが2MBになったことで、コアの改善点としては割り算の高速化や、ループディテクションなど、比較的マイナーなポイントしかないようなので、、ほぼコア性能に比例するSandraで差が出ないのは致し方ない。
驚愕の結果が出るのがSuperπだ。BaniasとDothanで、実に23パーセントも速くなっている。頻繁に読み書きするデータのサイズが大きく、Baniasの1MBのキャッシュに入りきらない場合、さらにもう1MBキャッシュできるDothanが強いが、Superπはそれが最も直接的に出た形のようだ。
グラフ4〜6は3D性能のテスト。興味深いことに、どのテストにおいてもBanias-1.4GHz→1.7GHzの速度向上に比べ、Banias-1.7GHz→Dothan-1.7GHzのほうが性能が向上している点だ。ゲーマーにはDothanは特に要注目と言えよう。ただ、3D性能を云々するなら、内蔵グラフィックという選択肢はない。それについては、後半の「デスクトップと対決!」編もごらんいただきたい。
一方、グラフ7のCinebenchでは、Renderingではほとんど性能が上がらないがShadingではかなりの向上を見せている。RenderingはPentium 4が強く、ShadingはAthlonが強い、という傾向からすると、Renderingはエンコード的な要素が強く、Shadingは3D描画的な傾向があると言える。グラフ9-11のエンコード系のテストでDothanの性能向上があまり大きくないことと合わせると、メモリーのレイテンシーが出ないようにしっかりプリフェッチして、クロックあたり性能が高まるようにチューンされたプログラムでは、Dothanのキャッシュの意味が生きてこないのだろう。
以上、テストによっては性能があまり上がらないというものはあるものの、少なくともBaniasより性能が落ちているものは一つもない。これは、デスクトップのPrescottが、2次キャッシュを1MBに増量したにもかかわらず、テストによってはNorthwoodに大きく水をあけられることもあるのとは対照的だ。Prescottが遅くなるのは、(おそらく将来のクロック向上に備えて)1次、2次キャッシュのレイテンシを大きくした(1次キャッシュで2倍、2次キャッシュでも1.5倍)のが原因だが、Dothanのレイテンシは1次キャッシュについてはBaniasと変わらず3クロック、2次キャッシュについても9.5クロックが10クロックになった程度だ。つまり、純粋にキャッシュ倍増のメリットを享受できるコアになっているわけだ。したがって、価格差が少なければ、同クロックならDothanを選んで間違いはないと言える。
PART2:
デスクトップと対決!
さて、後半では、最近増えてきたPentium Mマザーボードを使ってデスクトップPCを作った場合に、どのような性能になるかを検証していく。
Pentium Mについては、Radisysのマザーボード「LS855」を、またデスクトップ環境の代表としては865GマザーとPentium 4-2.8CGHzを用意した。865の内蔵グラフィックスは855GMと同じIntel Extreme Graphics 2なので、ほぼ同じ土俵での比較になる。また、外部ビデオカード利用時(グラフの下3項目)の比較としては、PCIの“RADEON 7500”カードを用いた。
グラフ12を見るとわかるように、Dothan 1.7GHzのパフォーマンスは、Superπにおいては突出しているほか、13の3DMark 2001や、掲載していないがFinal Fantasy、Unreal Tournamentといった3D系テストでもPentium 4-2.8CGHzと互角以上の勝負となっている。一方で、15のWindows Media Videoや、未掲載だがTMPGEncでもPentium 4-2.8CGHzが圧倒的に速い。ただ、ここでテストに使ったWindows Media EncoderはHTがよく効くし、TMPGEncもSSE2に最適化されているので、クロックの高さが生きるのだろう。ただ、DGCAでのエンコードではBanias/Dothanのほうがかなり高速だ。マルチメディア系でないエンコード処理では条件分岐が多用されると想像され、パイプラインの長いPentium 4に不利になるのではないかと思われる。
Dothanには2GHz版まであるから、性能は1.7GHz版に対して20%弱は伸びるだろう。今回はAGPのビデオカードでの比較が行えなかったので断定はできないが、PCIベースで見る限り、Dothanは3DについてはハイエンドPentium 4と張り合える水準と思われる。弱点は、SSE2に最適化されたメディア処理系アプリだ。一日中エンコードするような方には、DothanよりもPentium 4だろう(電気代的にはDothanも魅力だが……)。
Dothanは今年後半、Sonomaプラットフォームに移行することで、メモリーはデュアルチャネルになるとされている。こうなれば、メモリ面での弱さは克服される。これが、現在の弱点であるエンコード系にどれほど貢献するかが楽しみである。Dothanに今後も目が離せない。
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(アスキープラス編集部 野口岳郎)
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