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【最新パーツ性能チェック(Vol.21)】ATI、GeForceと最上位を張り合う第三のGPU“Volari”完全解剖


2004年1月28日

POWERCOLOR/X40D-D3 DDR2 256M

 昨年9月の“Computex Taipei”で鮮烈なデビューを飾った「第三の8パイプラインGPUメーカー」、XGIのVolariグラフィックチップ。期待された2003年中の発売はなかったものの、2004年1月からいよいよ出荷が始まった。今回はPowerColorがまっさきに投入した「POWERCOLOR/X40D-D3 DDR2 256M」で、期待の性能を検証していこう。

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2種類のチップをシングル&ダブルラインナップの上から下まで制覇

 XGI社のVolariシリーズには、Direct X9.0対応で8パイプラインの高性能チップ“Volari V8”と、DX9対応、4パイプラインの“同V5”、DX8.1までの対応で4パイプラインの“同V3”がある。このうち“V8”と“V5”には、コアのクロック周波数が高いうえに、最大メモリ容量が256MBとなる“V8 Ultra”“V5 Ultra”があり(ノーマル版は128MBまで)、さらにUltraについては、ボード上に2つのチップを搭載して究極性能を実現する“Duo”が用意される。性能的には上から順に、

Volari Duo V8 Ultra
Volari Duo V5 Ultra
Volari V8 Ultra
Volari V8
Volari V5 Ultra
Volari V5
Volari V3

というラインナップになり、“Duo V8 Ultra”では、ビデオカード市場での最高レベルの性能を実現するという。つまり、Volariは登場後からいきなりローエンドからハイエンドまでを一気にサポートすることになる。

V8 Ultra
V8 Ultraの文字が刻印されたGPU本体。これが2つ載っている。GPUの動作クロックは350MHz、メモリはDDR2で、動作クロックは900MHz。

 XGI社は2003年5月のスタートという新しい会社だが、もともとSiS社内でハイエンドのグラフィックエンジンを開発していたグループが中心となって設立されたXaber Graphics社が、Trident社などから新たに開発メンバーを加えて成立した。だからこそ設立後半年で製品を出荷できるわけでもあるが、SiSの“Xabre”グラフィックエンジンは、ミドルレンジに入れるかどうかという性能だった。それが今回、突然このような高性能製品を突如投入できるのはなぜか? これに対して昨年9月のComputex Taipeiで、同社のAndy Chang氏は「SiS社ではもともと、ハイエンドチップとローエンドチップの2つのラインで開発を進めていた。ただ、製品化にあたって、当時のSiS社はまずローエンドのほうから手をつけることにした。それで出てきたのが“Xabre”シリーズだが、同時にハイエンドのほうの開発も進んでいた。それがVolariの母体になった」という。また、デュアルGPUという珍しいシステムについては、ボードメーカーにとってメリットがあるという。「たとえば1000個の“Volari V8 Ultra”チップを仕入れた場合、ハイエンドの需要が多ければ“Duo”を400枚(チップは800個)、“V8”ボードを200枚(チップ200個)を製造し、ローエンドの需要が多ければ“Duo”は200枚(チップは400個)、“V8”ボードを600枚、といった割り当てがフレキシブルに行なえる」からだ。



ずっしり重い本体、ダブルの電源コネクタで抜群の存在感

メモリ256MB搭載のVolari Duo V8 Ultraボード「POWERCOLOR/X40D-D3 DDR2 256」。
メモリ256MB搭載のVolari Duo V8 Ultraボード「POWERCOLOR/X40D-D3 DDR2 256」。昨年12月25日に秋葉原の店頭に並んで、ハイエンドビデオカードファンの注目を浴びた。

 ここではまっさきに市場に出てきたPowerColor社の「POWERCOLOR/X40D-D3 DDR2 256」(販売はアスク)で、ボードのインプレッションと性能評価を行なっていく。  “Duo V8 Ultra”の存在感はとてつもない。GeForce 5800以後、重さには慣れっこになっていても、この重さには驚かされるだろう。ボード両面に取り付けられた銅製と思われるヒートシンクのせいだろう。また、ボードに4ピンの電源コネクタを装着するのもハイエンドボードでは今や一般化しているが、このボードには2つのコネクタがあるのも驚きだ。2つのGPUが載っていることを思い知らされる。  GPUやメモリについての最終スペックの詳細は、Webページにも掲載されていないが、今回借用したPOWERCOLOR/X40D-D3では、コアクロックが350MHz、メモリは450MHz DDR(900MHz動作)だった。搭載されているメモリ自体はSamsungの500MHz動作をサポートするグラフィックDDR2メモリだった。  というわけで、いよいよ性能評価に移ろう。今回はXGI社にアップロードされているリファレンスドライバによる計測結果である。



画面のプロパティに、このような設定メニューが追加される
画面のプロパティに、このような設定メニューが追加される。画面の色味調整とビデオの色味調整が別々に行なえる。
3D設定を呼び出すと、なんと、標準でコアとメモリのオーバークロック設定画面が登場
3D設定を呼び出すと、なんと、標準でコアとメモリのオーバークロック設定画面が登場。これは便利だ!?
3Dの設定画面。アプリの設定を無視して強制的にFSAAなどをかけられる
3Dの設定画面。アプリの設定を無視して強制的にFSAAなどをかけられる。文字が化けているのは英語版Windows上で実行したため。
ColorAmpというのはVolari独自の機能で、3Dゲームでの暗い部分を明るくすることができる
ColorAmpというのはVolari独自の機能で、3Dゲームでの暗い部分を明るくすることができる。


最新仕様のテストほど好成績

 結果は見てのとおり、非常にばらつきが大きい。テストセットの中で一番良かったのは、Direct X9ベースのAquamark。ほぼRADEON 9800ProやGeForce 5900Ultraに迫る性能を記録している。実際には9800XTや5950Ultraも存在するので、現行の最上位クラスと並ぶ、とはやや言いかねるところだが、ここまでの性能を最初から出せるというのはすばらしい。3DMark 03の結果もまあまあだ。現在の「トップ下」レベルの売れ線、GeForce 5700UltraやRADEON 9600XTを一歩引き離している。これもDirect X9を使ったテストであり、今後登場するVertex/Pixel Shader 2.0時代のゲームに対してパフォーマンスが期待できる。
 Unreal Tournamentでは、5700Ultra/9600XTとほぼ並び、3DMark 2001では5700Ultraにあと一歩、9600XTと並ぶ程度だ。UnrealはDirect X8.1ベースでヘビーな描画を行なうことで知られ、3DMark 2001は、4番目のテスト(Nature)がDirect X8.1を使っている。

 これ以外のテストについては、もうひとつ振るわない。Final Fantasy XI ver.2では、比較的強い「高解像度」モードでも5700Ultra/9600XTにかなりの差をつけられているし、Comanche 4、x2ではGeForce 5600やDelta Chromeとスコアを争っている。ただx2はPixel Shaderを使うような処理はほとんどないらしいし、Comancheは処理としてかなり軽めなので、こうしてみると、Volariは、Direct Xのバージョンが新しくなるほど、あるいは負荷が大きいほど、よい成績を残すように見える。

3DMark 03の結果
3DMark 03の結果
Aquamark 3の結果
Aquamark 3の結果
Final Fantasy XI Benchmark ver.2の結果
Final Fantasy XI Benchmark ver.2の結果
Quake3 Arenaの結果
Quake3 Arenaの結果
Commanche 4の結果
Commanche 4の結果
x2 Rolling Demoの結果
x2 Rolling Demoの結果
Unreal Tournament 2003の結果
Unreal Tournament 2003の結果
3DMark 2001の結果
3DMark 2001の結果

個別性能テストではむしろ基礎体力が充実

 ただ、テスト項目をもう少し詳細に見ると、必ずしもDX9が強いとも言い切れない面が見えてくる。たとえば3DMark 03では、ゲームテストの1がDirect X7ベース、2と3がDirect X8.1ベース、DX9ベースなのは4番目のテストだけだ。このそれぞれで、比較対象となるミドルハイ(GeForce FX5700Ultra、RADEON 9600XT)、ハイエンド(GeForce FX5900Ultra、RADEON 9800Pro)とそれぞれ比べると、テスト1(DX7)はミドルハイと同程度、テスト2、3(DX8)はミドルハイ+25〜40%とかなりのリードを奪うものの、テスト4ではミドルハイ比で80%強程度の性能となっている。つまり、3DMark 03のスコアを稼いだのは、むしろDX8レベルでのテストなわけだ。

 ここでVertex Shader、Pixel Shaderという、Direct X8以降のキーポイントとなる機能の性能を見ると、ここも意外な結果だ。Vertex Shaderで5700の半分以下、9600XT比でも3分の2ほどの性能しかない。Pixel Shaderのほうは、5700の80%、9600XT比では半分強と、これも振るわない。Vertex Shaderが強い5700、Pixel Shaderが強い9600XTに対し、Volariは見るべきところがないわけで、なぜこれでDX8のテストで大きなリードが得られるのか、悩んでしまうほどだ。

3DMark 03における4つのゲームの個別成績
3DMark 03における4つのゲームの個別成績
3DMark 03における描画機能の成績
3DMark 03における描画機能の成績

 一方、基礎体力とも言うべきテクスチャの貼り付け能力を見ると、シングルテクスチャ、マルチテクスチャともに結果は優秀。5700や9600XTをはるかにしのぎ、シングルではGeForce FX5900Ultraに並ぶ。8パイプラインのチップを2つ乗せているだけのことはある、と言えよう。しかし、基礎体力が高くてVertex/Pixel Shaderが弱いのなら、最近のテストほど不利になるはずなのに、実際はその逆になっているのが不思議だ。

ドライバのチューンがどこまで可能かが鍵

 今回のテストでミドルハイの2機種と比べると、x2とFinal Fantasyでの負けは痛いものの、3DMark 03、Aquamarkでは完勝、Unrealや3DMark 2001で横並び。まあ、勝ったり負けたりではあるが、DX9の最新テストで強いことを考えると、今後使うビデオカードとしての魅力は備えていると言えそうだ。ただ、問題は価格。ミドルハイとした5700Ultraや9600XTの2万円台前半に対し、Volariボードは5万円台半ばと、2倍以上である。2つのGPUなど、コストがかかることは理解できるが、この値段なら、すべてのテストでVolariを上回れるGeForce FX5900やRADEON 9800を買えてしまう。

 ただ、2つのGPUを使って効率的に描画をさせるには、ドライバ作成はかなり苦労しそうだ。テストによって性能が大きくばらつくのも、あるいはこの、2GPUのハンドリングがうまく行えていないという可能性もありそうだ。これについては、今後シングルのVolari V8 Ultraなどが出てきたときに、性能を比較することでわかってくるだろう。

 ドライバの話で言えば、そもそもこのアーキテクチャのチップが登場したのすらほんの数ヶ月前。GeForce、RADEONというアーキテクチャに比べ、まだはるかにチューニングの余地があるだろう。すべてのテストでAquamark並の性能が出るのなら、現在の価格でも十分競争力が出てくる。Duoに関しては、ドライバが進化できるかどうかが、今後の商品としての価値を決定することになりそうだ。一方、明らかに廉価に作れるはずのシングルVolariのボードについても、その性能と価格のバランスが期待されるところだ。




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