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【秋葉原迷宮探検レポート】変わりゆく秋葉原ラジオ会館と変わらない東京ラジオデパート


2002年5月2日

 今回は前回訪れたラジオデパートのある一角を離れ、その他の店舗集団を探索してみたい。ラジオデパートの次に思いつく秋葉原の老舗店舗集団といえば「秋葉原ラジオ会館」だろう。名称もラジオつながりで同系統の店舗が連想される。だが、ここ数年でラジオ会館内の店舗には劇的な変化が起きている。秋葉原の新興勢力ともいえるアニメやコミック、ゲーム関連のショップが電子部品店に代り次々と開店しているのだ。

■チョコエッグファンの総本山「海洋堂」

モールやネオンサインを改装したラジオ会館
昨年10月、モールやネオンサインを改装したラジオ会館。「世界の〜」という看板にスケールの大きさを感じる

 秋葉原ラジオ会館(通称、ラジ館)はその昔、日本電気や富士通、日立製作所、東芝、三菱電機といったパソコンメーカーのショールームが集中する建物であった。筆者も高校生の頃、当時噂のi386マシンであったFM-TOWNSの発表イベントに友人とラジオ会館へ行ったりしたものだ。かつてのマイコンマニアにとってラジオ会館はパソコンショップの殿堂であった(実際、ラジオ会館7階には「パーソナルコンピュータ発祥の地」というプレートが設置されている)。だが、大手メーカーのショールームが次々と撤退し、「ラジオ会館も寂しくなってきたなあ」と感じて久しい頃、突如としてフィギュアやガレージキットを扱うショールームのような店舗がラジ館に出現した。このお店は「海洋堂ギャラリー」という、その道の人には非常に有名なお店である。今思うとラジオ会館変貌のきっかけになった店舗といえるかもしれない。秋葉原デパートなどは、最近新装開店してラジ館よりもさらに突き抜けた方向に変貌している様子であるが、今回は秋葉原の新しい息吹の源流をお伝えするべく、この海洋堂に潜入してみたい。



入口には巨大なエバンゲリオン初号機
入口には巨大なエヴァンゲリオン初号機とケンシロウがっ!! その道に詳しい人には(そうでなくとも?)強烈なインパクト
大量に展示されていたオマケ付き菓子
大量に展示されていたオマケ付き菓子。恐竜、妖怪、ペンギン、ハムスターなどの各種フギュアがお菓子についてくる。お菓子がオマケという気がしないでもない

 実は、海洋堂はチョコエッグのオマケ(というか本体? )の原型を製作していることでも有名だったりする。チョコエッグとは卵型のチョコレートに各種フィギュアが入ったお菓子だ。簡単に言えばガチャポンのカプセルがチョコレートになったようなものである。製造元はフルタ製菓で、コンビニやスーパーで購入できるオマケ付きのお菓子だ。だが、オマケ付きチョコと侮るなかれ、実は大人のファンも非常に多いらしい。オマケのおもちゃは動物のフィギュアで、かなり精巧にできており、コレクター魂がくすぐられる一品なのだ。中に何が入っているのかはチョコを食べてみるまで判らないので、全種類を集めるには膨大な数のチョコエッグを購入する必要がある。それゆえに集めだすと「あとはタヌキが出れば第1弾〜第3弾まで全24種が揃うのにぃ〜」などとハマってしまうのである。そんな楽し苦しい状況の人々が、海洋堂に集まってくる。ここに来れば天文学的数量のチョコエッグを食べなくても全種類のフィギュアを集めることができるという噂があるからなのだ。この噂の真相を確認するべく筆者は突撃取材を試みた(電子部品と関係無い話でごめんなさい)。



ブレイク中のチョコエッグとその中身のフィギュア
ブレイク中のチョコエッグとその中身のフィギュア。1999年9月より累計7500万個が出荷されたという
チョコエッグの内部
チョコエッグの内部。卵型のチョコレートの中にフィギュア入りのカプセルが入っている。写真は日本の動物コレクションの「ビワコオオナマズ」


 ギャラリーというだけあって、店内に入ると膨大な量のフィギュアがディスプレイされている。オマケ付きのお菓子類も各種販売されており、お目当てのチョコエッグもすぐに見付かった。しかし、いくら原型の製造元とはいえ中身を明示してチョコエッグを販売しても良いものだろうか? いや、そんなハズはない。  実は、ここではフィギュアのトレードが可能だったのだ。フィギュア本体を組み立て、付属の説明書とともに異なる3種のモデルを透明のビニール袋に入れて持参すると、任意のモデル一つと交換してくれるというシステムになっているらしい。レジの裏に大量のフィギュアがストックしてあり、店員さんにお願いするとこの中から好きなものと交換をしてくれる。全種類のフィギュアを集めようと大量のチョコエッグを食べると、非常に高い確率で同じモノが幾つも集まってしまうわけで、このダブったフィギュアとお目当てのフィギュアを交換して貰えるというわけなのだ。交換比率は3:1なので、お店側には大量のフィギュアがストックされ、実に合理的なシステムである。しかし、さすがに初期のモデルは稀少で全種類が「必ず」揃うというワケではないようだ。

トレード用のフィギュア
レジの後ろにひっそりと置かれた引出や段ボール箱の中にはトレード用のフィギュアがぎっしり。チョコエッグ以外のフィギュアでもトレード可能なものがあった
管理されたトレード用のフィギュア
透明ビニールに入れられ整然と管理されたトレード用のフィギュア。この中にあるものなら交換してもらうことができる

 筆者が店内を観てまわるうちにも、熱心そうなコレクター(もちろん大人)が、ショーウインドーを覗きながら熱い会話を交わしていた。「これちょっと色が違うんじゃない? 」とか「またカタツムリが出たらイヤだなぁ」とか、かなり気合の入った人が多い。そんなチョコエッグだが、原型製作を担当する海洋堂と製造元のフルタ製菓の契約が今年9月で切れるというニュースが流れたことから、製造が終了してしまうのではとファンの間で心配されていた。結局、新たにタカラとの業務提携が決まり「チョコQ」として新シリーズの製造が継続されることとなったのはファンの皆様ならご存知だろう。もともとチョコエッグ用に用意されていた「日本の動物シリーズ第6弾」と「ペット動物シリーズ第3弾」もチョコQとして復活する。そのため店内には9月発売予定のチョコQの告知が掲示されていた。実際これほど大人が関心を示すお菓子のニュースというのも他に無いだろう。本来お菓子であるチョコエッグのオマケの存続に焦点を絞ったニュースばかりなのも面白い。そもそもチョコエッグファンの皆さんはチョコが目当てというわけではないだろうから、当然といえば当然なのだが…。

 その他の模型付きお菓子類や完成品の美少女フィギュアなども大量に展示・販売されており、店内はフィギュアの博物館といったような趣である。以前はこのお店もガレージキットなどが主力商品だったが、ここ最近のチョコエッグ人気で商品構成にも大幅な変化があったようだ。代りに周辺にはアニメ系のガレージキットやフィギュア、トレーディングカードなどを販売する店舗が多数開店しており、もはやラジ館にラジオ関係のお店などほとんど存在しない。ラジオ会館全体がこういった店舗の集団となるのもそう遠くない将来のことかも知れない。

「ワールド・タンク・ミュージアム」
タカラとの業務提携第1弾商品「ワールド・タンク・ミュージアム」。石の形をしたストーンチョコに戦車が付属する模型付き菓子
TVアニメ「エバンゲリオン」のフィギュア
社会現象とまでいわれたTVアニメ「エバンゲリオン」のフィギュア。根強い人気が…
コミック「北斗の拳」をモチーフにしたフィギュア
コミック「北斗の拳」をモチーフにしたフィギュア。10年以上も前の漫画だが、こちらも根強い人気
いわゆる美少女ものフィギュア
個別の解説は割愛させていただくが…。いわゆる美少女ものフィギュア。キットではなく完成品
「深海生物コレクション」
清涼飲料水「MIU」に添付され、現在ではプレミアものの「深海生物コレクション」。これも海洋堂が原型製作を担当

海洋堂ギャラリー
東京都千代田区外神田1丁目15番16号
ラジオ会館4F



■管球ラジオって現役なの?!

東京ラジオデパート共同ビル
新徳ビル、森ビルとの合同で建築された東京ラジオデパート共同ビル

 ラジオデパート、ラジオ会館のほか、ラジオの名を冠する専門店の集合体に「東京ラジオデパート」(通称、東ラジ)がある。こちらはアニメや模型といった秋葉原の新興勢力に侵食されることなく、現在も特殊で怪しげなパーツを販売する店舗が密集している。  東京ラジオデパートも50年以上の歴史を持つが、現在の建物は1973年に完成したもので地下1階〜地上6階(売場地下1階〜地上3階)建ての比較的近代的なビルである。東京ラジオデパートホームページによると、エレベーターとエスカレーターを設置するかどうかで議論が戦わされたというので、当時としてはかなり豪華装備の店舗だったようだ。1960年代には小・中学生の電気・ラジオマニア(少年技師と呼ばれたらしい)が大挙して訪れ、ラジオパーツの供給源となった。そんな流れからラジオの名を冠するのは当然の成行きだったのろう。さすがに現在はラジオパーツを専門の販売する店舗はほとんどないが、中古電気部品からCPUまで各種の非常に個性的なパーツを扱う専門店が50店舗以上も軒を連ねている。しかし、ここまでラジオというキーワードが根深く浸透しているのならば、是非ともラジオ専門店を捜してみたい。そんなわけで東京ラジオデパートを探索すると、ラジオとオーディオ専門店「桜屋映音商會」に遭遇した。



東京ラジオデパート2階の通路
東京ラジオデパート2階の通路。パーツ素材専門店街だけに品揃えも玄人志向。この奥、左側に桜屋映音商會がある
年代物のラジオの山
一見したところ電気製品には見えない年代物のラジオの山。木製ということは筐体から手作りなのだろうか?

 山積みされたレトロラジオは復刻版などではなく、何十年も昔のホンモノの骨董品である。もちろんこれはトランジスターラジオではない。真空管を使用したスーパーヘテロダイン方式(通称、5球スーパーというらしい)の超旧式ラジオだ。お店の人に聞いてみると戦前のものであるらしいが、驚くべきことに全て完全動作品とのことだった。ここまで古いラジオは骨董品的価値のつく品で、どれも売値は2〜3万円以上の値段になるという。やはり稀少価値が値段のポイントで、珍しいものほど高価になるらしい。現在のラジオ放送も受信できるというので、筆者はうっかり「FMはモノラルですか?」などとお馬鹿な質問をしてしまったが、これらは当然、FM放送が開始される遥か以前の製品(もしかするとキット)である。周波数変調のFM放送など受信できるずはない。

 これらの真空管ラジオは、音源ソースがAM放送であるだけに「音が良い」というわけでもない。実用性は非常に低い製品だ。しかし、だからこそ骨董品的価値があるわけで、お客さんも「懐かしい」と買って行く人がほとんどだそうだ。この店では、ラジオ本体というよりも旧式ラジオや旧式オーディオの構成部品が主力商品。真空管はある程度使うと切れるし、補修部品も必要ということらしい。また、これらのパーツは現在国内ではほとんど生産されていないので、仕入れは海外で買い付けたり、国内での買取がほとんどとのこと(不景気が逆に仕入れには都合が良いらしい)。真空管が入っているモノなら店頭で買取も行っているという。現代では100円ショップでもラジオが買える時代だ。定期的なメンテナンスが必要で、高価で巨大で非効率的なレトロラジオを所有するのも現代の贅沢な趣味の一つなのだろう。

ラジオやオーディオ用の真空管ソケット
ラジオやオーディオ用の真空管ソケット、コンデンサ、コネクタ類。正直なところ書いている筆者もよく判らない部品がズラリ
補修用(?)の真空管やコンデンサ
補修用(?)の真空管やコンデンサ。以前見た真空管アンプ用のものとは微妙に毛色の違う電子部品のようだが…。
メインアンプ用だろうか?
オーディオ用のメーター。見たところ電流計のようだがメインアンプ用だろうか? こちらも年代物のようだ
モールス信号用のキー
モールス信号用のキー。これも戦前の品とのこと。これはさすがにコレクターズアイテムだろう

桜屋映音商會
東京都千代田区外神田1丁目10番11号 東京ラジオデパート2F




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