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【アキバ・キーマンインタビュー No.8】アキバでもっとも危ないお店!? 話題の武具専門店「武器屋〜Blade Works」の代表・磯野氏を直撃!


2007年1月5日

 サーベルに日本刀、甲冑とずらりと武具が並ぶ店内は壮観。その名もずばり「武器屋」。同店の代表・磯野氏は武器や歴史衣料の調査・研究をする第一人者でもある。また、映像関係にも強く、ハリウッド映画にも武具を貸与しているほど。そんなプロの武器屋の声を聞いてみよう。

武器の購入は指名買いがほとんど

「武器屋」代表・磯野圭作氏

――お店ができてどれくらいになりますか?
【磯野】 2年が過ぎたところです。

――どうですか、順調ですか?
【磯野】 おかげさまで、順調ですね。

――メディアに取り上げられることも多く、すごく話題になっていますよね?
【磯野】 そうですね。マスコミ関係者からは武器専門店で、武器を全部管理してくれるところができて助かったとも言われます。

――全部管理している?
【磯野】 管理というか、日本もあれば、西洋もあるし、中国もあるし、ほぼ古い武器関係とか鎧関係だったらあそこに行けば何とかなると。特に外国ものはうち以外ではほとんどないんですよ。

――人気商品とか、よく売れるものとかってありますか?
【磯野】 そうですね、やはり2万円前後のものですかね。でも結局、好みになるんですよね。うちは独自でやっていますので、特別にお客さんにおすすめしなければいけないメーカーもありませんので。お客さんに対して、「これいいですよ」というすすめめ方は絶対しないんですよ。それは徹底しています。

――買い方としてはどうですか? お店で選ぶ方と、指名買いの方とどちらが多いですか?
【磯野】 圧倒的に指名買いです。そうそう、最近でもいましたね。トントンって店に入ってきて、「これ3本ください」って。もうその剣しか見てない(笑)。もうちょっと何か見なくていいんですか? みたいな感じでしたね。

――他の商品は全く見ないんですか?
【磯野】 全くみないです。「ありがとうございます」のひと言しか出なかったですね。



手がける武器は自衛隊からハリウッド映画まで

店内

――ちなみに、金額的に一番高いものはいくらくらいですか?
【磯野】 甲冑が40万〜50万円しますけど、基本的には高いものでも20万円くらいです。

――20万円くらいというと、どんな商品になりますか?
【磯野】 自衛隊に納入しているものですね。

――え! 自衛隊にも納入されているんですか?
【磯野】 はい。撮影で使うものから国家が使うものまで、すべてやらせていただいています。それがうちのスタイルなんですよ。

――それだけのものを揃えるのはすごく大変なんじゃないですか?
【磯野】 大変ですね。お客さんのニーズがあまりにも広いんで(苦笑)。商品もすごく増えています。

――そうですよね。1つの商品を何個も在庫する性質のものではないですよね。
【磯野】 だから海外の製品だと困りますね。

――海外からも輸入しているんですか?
【磯野】 海外のものは輸入禁止なんです。なので、全部うちで特注で作っています。

――というと、製造から関わってるということですか?
【磯野】 そうです。製造元と独占契約をし、日本の法律に準じたものを全部作らせています。

――例えば、どれがそうなんですか?
【磯野】 西洋ものの7割以上はそうですよ。全部特注で作らせています。

――すごいですね。それは設計というか最初の段階から?
【磯野】 いや、自衛隊に収めている物なんかは、世界のほとんどの国の軍隊のサーベルを作っているメーカーなんです。そのメーカーしかないですから。うちがそこの日本のエージェントになっています。あと、うちが特注で作らせているものは、基本的には実物が存在しているものです。それを海外の専門家がついたり、コレクターが付いたうえでそれを複製しています。そういうった商品は映画でもよく使われています。ハリウッドでも使われていますし、国内でも今、使ってますよ。

――本当ですか!
【磯野】 ええ。名前は出せませんけど、あの遊園地とか、あの劇団とか、あの映画とか、全部うちの商品使っていますよ。(どれも読者が、よくご存知のものばかり!)

――映画とも関係があるんですね。
【磯野】 やってますね。今関わっているものは名前を出せませんが、もうテレビで流れたものですと、『隠し剣鬼の爪』ですね。あれはスタッフと2人で現場に入りまして、エキストラの俳優さんをかき集めて、「軍隊作るぞ」って言って。わずか3日で。俳優が泣こうが笑おうが知らないぞって言ってね。

――なるほど。
【磯野】 最近でいうと、正月にやる『白虎隊』は僕が全部関与してます。

会津藩の合印
――『白虎隊』で使われてるものはお店にありますか?
【磯野】 ありますよ。会津藩の合印とか。図面も僕のほうで起こしています。あとはベルトですね。わざわざ本物から型取りして、こんなどうでもいいようなベルトをですね(笑)。でも、それを知っている人は見ちゃうわけですよ。

――そうですよね、気になりますもんね。
【磯野】 銃も提供しています。

――『白虎隊』でも?
【磯野】 そうです。山下くん(山下智久)とか田中くん(田中聖)が持っている銃ですね。

――これですか?じゃあ、『白虎隊』で使っているのをわかって購入されるお客さんもいるかもしれませんね?
【磯野】 いるでしょうね。うちが関与してることを知っている人は知っていますから。見るとわかります。「ああ、あれは武器屋さんが関与したな」って。

――種類的にはどれくらいあるんですか?
【磯野】 軽く200は超えています。

――200は超えてる!
【磯野】 数を把握しきれてないんですよ(苦笑)。ガラスケースにもあるから、200は超えています。300くらいありますね。実感ないですけど。

――これだけ集めるのにどれくらいかかりましたか?
【磯野】 2年半くらいですね。

――2年半でこれだけの数に?
【磯野】 まあ、うちが製造元であるというのが強みではありますよね。

――製造元が販売をしてるということなんですよね?
【磯野】 そうです。

――それで、海外製品の代理店にもなっている?
【磯野】 うち自身は製造していないですけれど、うちが指示して作らせています。

――代理店もやってて、販売もやっているということですかね?
【磯野】 そうですね。(次ページへ続く)





「萌え」より遥か前に生まれた、元祖アキバ語がある!?

講武稲荷

――よく聞かれると思いますが、なぜ秋葉原にお店を構えようと思ったのですか?
【磯野】 秋葉原に構えた理由……、すぐそこに講武稲荷ってあるのをご存知ですか?

――講武稲荷?
【磯野】 すぐそこですよ。お稲荷さんの。あれ講武稲荷っていうんですよ。実は、ここは幕府の学校の練兵場があった場所なんですよ。西洋の武器が日本に始めて移住したのはこの地であるから、じゃあこの地で始めようかなと。

――なるほど。練兵場だったわけですね?
【磯野】 すぐ隣の小川町には小川講武所って学校があったんですよ。そこでオランダ語を翻訳して、軍隊を作るということをしていたんです。そのときに、日本人の誰もが知ってる言葉がここ秋葉原で誕生するんです。

――え、何ですか?
【磯野】 「気を付け!」です。

――ええ! そうなのですか?
【磯野】 はい。幕末にここでできた言葉なんですよ。アキバ語なんです。アキバ語の元祖は“萌え”じゃないんです。“萌え”の前に“気を付け!”があるんです。

ゲーフトアクト
――それは知らなかったな〜。
【磯野】 幕末当時、この辺りは滑稽だったと思いますよ。洋服を着た日本人がうようよしていましたからね。元々、秋葉原という地名は「あきばっぱら」からきているんですよ。だから、あきばっ原なんですよ。軍隊が使うのに建物はいらないけど、使える場所がないかなと探していたところ、「あ、あきばっ原があるよ」という話になったんですよ。

――ちょうどいいよと。
【磯野】 ちょうどいいよ、ここはと。

――「気を付け」はアキバの軍隊から生まれた言葉なんですね。
【磯野】 翻訳後ですね、完全な。ゲーフトアクトという。

――元々、ご存知だったんですか?
【磯野】 私自身が学術、そこをやってる人なんです。

――それはどういった研究なんですかね?
【磯野】 幕末の軍事、軍政史ですね。もう5年くらいやっていますかね。



僕よく言うんですよ、「好きなことを仕事にするな」って

剣

――この仕事に携わる前は何をなされていたんですか?
【磯野】 いつリストラされてもおかしくない会社員です。

――元サラリーマンなんですか?
【磯野】 サラリーマンというか、一応会社で働いてましたね。

――どういう業種ですか?
【磯野】 旅行に限りなく近い業種ですね。旅行会社の隣にいる業者。すいません、それくらいで勘弁してください(笑)。

――そうなんですか。
【磯野】 リストラ的なものがあったんです。5、6年前に。その余波で、ちょっと飛ばされたりしたんです。じゃあ、もういかん。無理するぐらいなら辞めようと思いまして。そう思ったら好きなことをやりたくなるんですよね、人って(笑)。

――じゃあ、今はすごくいい状態じゃないですか?
【磯野】 でもね、僕よく、好きなことを仕事にするなって言うんですよ。なぜかというと、好きなものが好きじゃなくなるからなんです。仕事で忙しくて、好きなもので自分が地獄を見ますからね。

――でも、仕事としては好きなことをやっているほうがいいんじゃないですか?
【磯野】 考え方次第ですよ。好きでないことをやって100万円の金を得て、100万円好きなものに使う。そのほうが楽しくないですか?

――でも、好きでないことで稼ぐのは難しくないですか?
【磯野】 逆ですよ。好きでないからこそ、金を稼げるんですよ。

――それに徹して?
【磯野】 そうです。目的はただ1つなんですよ。今度は10万円の刀を買おう。その目的だけで働けるわけです。

防具
――なるほど。
【磯野】 例えば年末にコミックマーケットとかありますけど、意外と公務員とか、お堅い職業の人が多いんですよ。なぜかというと、好きなことに金をつぎ込めて、確実に休めるからです。彼らはそういうことに固執するんですよ。それが利口な人の生き方ですよ。好きなことをやって儲かるなんて氷山の一角じゃないですか。逆に言うと(取材している)皆さんを見ていると、好きなことのために貧乏してませんか?って思いますね。

――確かに、あまり金持ちの人は見かけないですね(苦笑)。
【磯野】 執筆業、映像業で金持ちは見たことないですね。作家さんなんて、50歳まで奥さんに食わせてもらってたなんていうのが、当たり前にいるじゃないですか。

――まあ、そうですよね。
【磯野】 仕事を辞めて好きなことをやりたいというお客さんが店に来ると、それは考え方が間違ってるよ。好きなものを買うために好きでなくても働くんですよって言いますね。(次ページへ続く)





武器屋の社長、実は現役大学生!

磯野氏

【磯野】 僕はお客さんに対して、物を売っているんじゃないんですよ。お客さんの心を満たすものを売っているんだと思っています。心を満たさせる目的で商売をしてるんです。

――心を満たすための値段だと。そもそもこういったものがお好きになられたのは?

【磯野】 大学以降ですね。刀とか西洋のサーベルの歴史にすごく興味があって、それをいろいろとやっているうちに、どんどん興味が出てきました。サーベルは日本ですと、銃刀法上、海外のを輸入できないんです。それで、研究するにも書物だけしかないんです。でも、書物だけでなく、現物が欲しくなるんですよ。じゃあ何とかしてみようということで日本の法律を分析して、自分は法学部でしたので、やっていくうちにいろいろとわかってきたんですよ。

――ちなみに、法学部はどちらの?
【磯野】 国学院です。実は今も在籍しているんですよ。

――え? それはどういう形で?
【磯野】 (学生証を見せる)

――えー! いつからですか?
【磯野】 今年からです。大学に戻ったんです。

――それは普通に大学院の学生として?
【磯野】 そうです。結局、軍事の研究をやるのに他の先生方は大学院を出ていて、僕だけ学士ってわけにはいかないんです。論文・研究の価値を引き上げるには僕も上に行かなければいけない、ということで。

――じゃあ、肩書きとしては社長でもあり、大学生でもあるんですか?
【磯野】 そうですね。ご飯食べるときは、「ご飯おかわり、学割で」って。だから、長距離移動するときも学割使ってますね。

――でも、学校行く時間ないですよね?
【磯野】 仕事の合間に行っていますけど大変です。何回も先生に怒られてますよ。「またお前すっぽかして!」って。「いや、すっぽかしたわけじゃないんです。仕事が入って行かれなくなるだけなんです」ってね。

短剣
――大学に行く日とか決めているんですか?
【磯野】 はい。木曜日です。

――でも、きついですよね。すごいですね。
【磯野】 それが大事なんです、人間ね。向上心がなくなったら終わりですよ。

――ちなみに、普段はお休みあるんですか?
【磯野】 お店は水曜日です。

――その日は何をされているんですか?
【磯野】 研究と事務ですね。

――事務は仕事のですか?
【磯野】 仕事の事務です。

――それだと休みの日ないですよね? 月に数えるほどしかないんじゃないですか?
【磯野】 月じゃないですね。年に数えるほどだけですね、休みは。



新撰組は本当は忍者ファッションだった!?

時代衣装

――今は何の研究をされているのですか?
【磯野】 幕末史ですね。幕末政治史。僕は政治史が専門なんです。

――研究の中でもっとも興味があるのは?
【磯野】 幕末の軍政、軍事です。まだまだ謎が多すぎるんですよ。資料がない。ここは間違ってるよっていうことを何ならかの形で残していかなければ、後世の研究に支障をきたしますね。特に、19世紀の研究は世界でも日本が一番遅れているんです。だから、それを何としても世界水準に持っていくのが目的のひとつです。

――何で遅れているんですか?
【磯野】 簡単にいうと、日本では軍事史の研究がタブー視されているからなんです。ミリタリー色を出すというのが。

――軍事ということで?
【磯野】 そうです。世界的にはその頃の戦術とかわかっていて、アメリカの南北戦争はほぼ終わっています。ヨーロッパもほとんど終わってます。日本だけが全然進んでいません。タブー視されてしまっているからです。軍事の人間から言わせると、明治維新以前は近代日本と関係ないですし、歴史関係のほうから言わせると、あれは近代に入らないというんです。ペリー以降のわずか20年くらいが相手にされない有名な時代なんですよ。だって、新撰組ってどういうイメージあります?

――「御用、御用」って言って、青い羽織を着て……。
【磯野】 実はそれ、全部間違いなんです。真実の新撰組はそうではないんです。なぜかというと、池田屋事件があった翌年の文久3年に、あの青い羽織を作ったらしいんです。だから、池田屋事件があった前後のときに戦争があったので、彼らが着ていた服は真っ白だったって記述が残っているんです。羽織は全部色落ちして白いって。それどころか、あんな目立つ服を着ていくわけないじゃないですか。相手が逃げちゃいますよね。顔も真っ黒だったということです。

銃
――顔は真っ黒だったんですか?
【磯野】 忍者ファッションですね。あと、彼らは全員拳銃を持っていましたから。

――(笑)。
【磯野】 あと、有名なのは人斬り以蔵っているじゃないですか、岡田以蔵。彼は何を使って戦っていたと思います?

――何を使っていたんですか?
【磯野】 拳銃です。多摩の博物館に行けば現物が置いてあります。人斬り以蔵が使っていた拳銃って。あれは人斬り以蔵じゃなくて、人撃ち以蔵だったんですよ。(次ページへ続く)





武器から世界がわかる

武器

――武器の一番の魅力はなんですか?
【磯野】 国と人の癖が出るところですかね。

――国と人の癖? それはどういうことですか?
【磯野】 なんでこういう形になるのか、なんでこうなるのかというのが国によって全部違うんです。

――例えば、日本でいうと?
【磯野】 日本刀はある意味すごく美しいですよね。完成された刀ではあります。でも、全然実戦向きじゃないんですよ。人を斬るのにこんなに難しい道具はないんです。これで人を斬ろうと思っても、斬れるようになるまで3、4年かかりますよ。

――本当ですか? なぜですか?
【磯野】 剃刀と同レベルだからです。すごく難しい刃物なんです。重量がないから、ナタのように落とせないんですよ。だから、技を磨かなければならないんです。西洋の刀は重量があるのがほとんどなので、ナタのように使えるんです。

――力任せで?
【磯野】 力で押し付けるんです。考え方が根本的に違うわけです。西洋の中でも国ごとに癖があります。

――日本刀はそういう意味では、作るほうも職人の技があって、使うほうも技が必要なんですね。他の国でも特徴がありますか?
【磯野】 そうですね、ロシアのサーベルなんかですと、首を切り落とすというのが基本にあるので、すごく刀が回りやすくなっているんですよ。

――結構、重いんですか?
【磯野】 どうぞ、持ってください。

――うわ、結構重いですね。
【磯野】 ナタのように落とすんですよ。中国はもっとすごいですよ。これは本物から型を取ったんですけど、こんな感じですね(中国の剣を手に取る)。

刀
――中国っぽい形ですね。
【磯野】 これはよく、国共内戦ときの写真で見ますよね。

――これも力任せに使うんですか?
【磯野】 これも重量もんです。兵隊に刀を持たせる場合は重量ものを持たせる必要が出てくるわけです。ナタのようにすれば誰でも人を斬れる。なぜ日本はそういう刀が江戸時代になかったかというと、侍しか刀が必要でなかったからですよ。

――戦う相手がお互い刀だからということですかね?
【磯野】 そうです。戦争をするための道具じゃないからです。

――何の道具と考えたらいいんですかね?
【磯野】 喧嘩になったときの道具です。だから幕末の頃の侍はほとんど拳銃持っていますからね。

――ドイツのは細身ですね?
【磯野】 騎兵用のゴツイのもありますけど、式典用になってしまったんですよね。最後には。

――このフランベルジュという刀は?
【磯野】 簡単に説明をすると、手を切るときにカッターとノコギリでどっちが酷いことになるかってことですよ。カッターのほうが圧倒的に治りが早いですよね。ただ傷が開くだけなのですぐにくっつきますから。ところがノコギリだと傷口がグチャグチャになって、治らないんですよ。残酷な兵器なんです。

――それをわかってこういう形に……?
【磯野】 そうです。人間って残酷ですよ。

――そういうこともわかるわけですね?
【磯野】 そうです。武器から見える世界なんです。



甲冑の購入者には着て闘う人もいる!?

鎧

――防具もたくさん種類がありますね。
【磯野】 時代ごとに癖があります。見てると進化もわかりますよ。最初、こういう形だったのがこういう形になって、でも使い勝手が悪いからこれだけになりましたとか。

――これは素材も昔のままなんですか?
【磯野】 そうです、鉄です。

――見ているだけで面白いですね。あ、これが甲冑ですね?
【磯野】 そうですね。

――甲冑はやはり撮影用で購入されるわけですかか?
【磯野】 いや、個人で買っている人が多いですね(笑)。

――え、個人で甲冑買うんですか?
【磯野】 撮影の場合だと逆に、貸してくれないかというのが多いですね。

――そうなんですか?個人で買うんですか?何に使うんですかね?
【磯野】 飾っている人もいれば、着ている人もいますね。

――着る人もいるんですか? 着てどうするんですかね?着るだけなんですかね?
【磯野】 いや、着て闘っている人もいますよ(笑)。

――闘っている人もいるんですか?
【磯野】 いや、これ本当の話ですよ。殴り合いをしている人たちがいます。まあ、そういうスポーツなんですけどね。

――それはまた楽しそうですね。
【磯野】 そうですね。

足軽
――あ、足軽のセットもあるんですね。
【磯野】 足軽のセットは売れないからメーカーがやらないんですよ。でも、我々からすると必要なんですよ。だって、武将がいっぱいいても仕方ないんですよ。足軽がいっぱいいたほうが面白いですよ。

――あれは何ですか?
【磯野】 『ジャックスパロウフリントロック』というアメリカで売っている銃です。映画『パイレーツオブカリビアン』の主人公が使っていた銃のレプリカです。

――ジョニー・デップが使っていた?
【磯野】 そうです。刀もありますよ。

――携帯食料とかもあるんですね。これ“ほしにく”って書いてありますけど、ビーフジャーキーじゃないですか!
【磯野】 ビーフジャーキーってほしにくじゃないですか、違います?
――まあ、確かに。干した肉ですよね……。(次ページへ続く)



ジャックスパロウフリントロック
ほしにく


武器が必要なコスプレイヤーのご用達店

甲冑

――秋葉原でお店をやろうと思った本当の理由は?
【磯野】 元々は埼玉のほうで商社的な活動をしていまして、インターネット専門で販売をしていました。それで、東京進出はするべきだと。うちのお客さんの土台はゲームの世界にあるわけだから、やはりそれを無視できない。じゃあ、それに合わせたお店作りをしましょうというてことで、秋葉原になりました。

――やはりゲームのお客さんが多いんですか?
【磯野】 多いですね、でも、ゲームよりもコスプレイヤーのほうが圧倒的に多いです。

――コスプレイヤーさんはこういう武器とかも購入されるんですか?
【磯野】 今はね、多いんですよ。人気作品があって。『BLEACH』や『ONE PIECE』。映画関係ですと、『エラゴン』がやっていますし、『ナルニア国物語』もありましたし。もうすごく刀関係が多いんですよ。1月6日からは12チャンネルで、ファンタジーで刀モノのアニメが始まりますし。

――じゃあ、もうコスプレの人が?
【磯野】 次から次へと来ますね。写真撮影に使えるちょうどいいものを探しに来るという感じですね。

――そういう時はどういう物が選ばれるんですか?
【磯野】 コスプレの方は目的がはっきりしているんです。必要なものはコレって。いきなりポンと5万円とか出されていきます。あとはやっぱり時代劇ファンの方ですね。新撰組ファンはやはり自分のお気に入りキャラを演じるときはお金を惜しみませんね。



オタクの自分がオタクの街アキバに帰ってきた

盾

――今後、お店をもっと大きくしたいとか、アキバ以外でもやりたいとかという気持ちはありますか?
【磯野】 僕、そういう野心が全然ないんですよ。やりたいことは、映像関係が大好きなんで映画を撮りたいというくらいで。

――ここにある武器を使ってですか?
【磯野】 自分にとって楽しい映画ですね。これだけ世の中に武器がたくさんあるのに、それを使わない映画なんて。

――たしかに、もったいないですよね。アキバでお店をやってみてどうですか?
【磯野】 実は、学生の頃、アキバでバイトをしていたことがあるんですよ。

――そうなんですか? どういうところでバイトをしていたんですか?
【磯野】 ラオックスですね。今はアソビットシティになってますけど。だから、オタクの聖地にオタク自らが乗り込んで、自分もオタクなんで……、さらにオタク化させたという、ある意味張本人の1人ですね。

――面白いですね。今はこの武器関係のオタクの方たちのために働いているという……。
【磯野】 そうですね。アキバがオタク化してきてきた土台から自分がいた気がしますね。元々この町はオタクの街なんでね、昔から。よくアキバは変わったと言われていますけど、僕は変わってないと思います。対象が変わっているだけでね。昔はラジオオタクの街だったわけですしね。大学関係とか(クロスフィールドに)来て変わったとかいいますけど、大学の先生は自分で「学者って超オタクなんですけど」って言ってますから(笑)。何も変わってないんですって。結局、オタクの街が今後も続いていくんじゃないですかね。

武器屋
――ジャンルが変わるだけだと?
【磯野】 そうですね。最近は暇がないので全然秋葉原の街を歩いていませんが、僕もオタクですから、自分の目的以外に興味がないんですよね(笑)。

――秋葉原でこういう武器をやっているお店ってあまりないですよね?
【磯野】 1、2店あると言われてますけど、この規模は絶対にないですね。

――それはアキバに限らずですよね?
【磯野】 そうですね。

――そういった意味では、全国から来る武器のオタクの方としたら、ここが聖地の中の聖地という感じですかね?
【磯野】 うちのスタッフはお客さんのリクエストに対してすべて応えてしまいますから。あと、うちの主義としましては、極力実在しているものを供給します。自分の空想で作らないようにしています。

――空想で作られるお店は多いんですか?
【磯野】 同業他社さんはほとんどそうですよ。


武器屋〜Blade Works
http://www.wbr.co.jp/
住所:東京都千代田区外神田1-5-7宝ビル402
TEL:03-3254-6435
営業時間:11時〜19時30分
定休日:水曜日(祝祭日は営業)。年末年始は1月3日のみ休み



磯野圭作
プロフィール:磯野圭作(いその・けいさく) 1969年生まれ。(有)ヴァイスブラウレジデンツ代表取締役。国学院大学卒業後に就職。29歳で武器屋に転進。2004年12月に秋葉原に武器屋をオープンする。同店を経営するかたわら、現役の国学院大学の大学院生でもある

(大森徹哉)




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