Akiba2GO!

超薄型の「SPARCstation 1」をAT互換機に改造! もちろんOSは「Solaris 8」だ!!


2001年05月12日

筆者:正田拓也

買う買う団員プロフィール
正田拓也
携帯電話は何がなんでも1万5000円以下で買うことに決めている「携帯24」のニュース担当。携帯電話についてのニュース全般を扱うのが仕事ながら、実はケータイよりもクルマのハンドルやハンダごてを持っている方が好きだったりする。基本的にはケチ(本人談)だが、ノリ始めると予算に際限がなくなっていく奇癖アリ。


 家でホコリをかぶっていたSolaris 8のメディアキット、そして、SPARCstation 1の筐体。この2つが結びつくなんて思ってもみなかったが、なんと、Akiba2GO!スタッフと関わったおかげで、Solarisマシンになってしまった。しかも、それに至るまでAkiba2GO!スタッフの思惑通り、物欲の街アキバで散財させられた。その額約4万円!!



ある朝、突然衝動買いしたSolaris 8

Solaris 8
衝動買いしたSolaris 8のパッケージ

 まだ、携帯24やAkiba2GO!のカゲもカタチもない2000年のゴールデンウィーク、ある休日の早朝、だらだらと過ごしていた私は、インターネットでSolaris 8無償配布のニュースを知った。ちょうど部屋には、以前手に入れて置き物となっていたSPARCstation 1のガワが転がっていたのも興味をひいた理由だ。UNIXといえばSun(Sun Microsystems)のSolaris。SolarisはもともとSunの商用OS。けっこう高価だったが、FreeBSDやLinuxの普及に対抗するためか、近年は制限付きながら利用に関してはフリーとなった。対応機種はSun製SPARCベースのコンピュータのほか、PC/AT互換機上で動くIntelプラットフォーム版がある。
 ただ、無償でダウンロードもできるようになったのはありがたいが、いろいろオマケがついたメディアキットを購入するほうが便利であり、CD-ROMを買うのにお金がかかるのはLinuxと状況は同じ。これが国内代理店の価格で1万2800円なり。Linuxの有名ディストリビューションパック以上の値段だ。だが調べてみると、直接頼めば75ドルで済むではないか。当時は1ドルが110円を少し下回る程度、計算するとこっちのほうがはるかに安い!! 送料が24.5ドルかかるが、アメリカから航空便だからそのくらいは仕方がない。物欲は止まらないので、そのまま申し込みをすることにする。
 届いてみると、国内通関料がさらに500円請求された。得したのか損したのかわからないが、とりあえずよしとする。
 SolarisはビデオカードやNICに制限がきつく、標準的な部品で作ったマシンでしか動作しない。とりあえず手元にあるテスト用マシンにインストールしてみた。テストマシンは以下のようなスペックだ。



テストマシンのスペック
パーツ名称
CPUCeleron-300AMHz
マザーボードAbit BH-6
メモリPC100 SDRAM 128MB(CL=2)
ビデオATI Technologies RagePro Turbo 8MB
HDDUltraATA/66対応 6.5GB
サウンドCreative Sound Blaster16
NIC旧DECチップ使用品

 結論から言うと、まったく問題なく動いている。
 しかし、ふつうの自作機にSolaris 8が動いていたのではおもしろくない。インストールしたところで別段使い道もないため、ハードディスクからSolarisは消され、メディアキットはそれからホコリに埋もれることになる。



置き物「SPARCstation 1」はいかに

SPARCstation 1
部屋の置き物になっていた SPARCstation 1の筐体。確か1000円しない金額でゲットした記憶

 Solaris 8入手の一件とは別に、置物のSPARCstation 1をなんとかして使ってみたいとも日頃から思っていた。
 私が所有するSPARCstation 1の裏側には、アメリカ人らしき筆跡で2-2-90と油性ペンの文字が書いてある。つまり1990年生まれなのか? いまでこそジャンク品となっているが、当時はハイエンドワークステーション。408mm×408mm×58mm(突起と足含まず)の筐体はまさに“ピザボックス”(宅配ピザの箱)。その後のSPARCstationはCD-ROMドライブなどが内蔵され若干厚みが増していた。なので、いちばんすっきりとしたデザインはこのSPARCstation 1ではないだろうか。
 ただ、その薄いケースが災いして、これにAT互換機をブチ込むには、ATX対応の超薄型電源が必要。あるいは、付属の電源を生かすならBabyATマザーボードが必要だ。そして、薄型筐体のためスロットにカードを差すことができないので、オンボードでビデオ機能やネットワークコントローラまで搭載したマザーボードを使うしかないと思っていた。



T810B-CU
最初にゲットしたマザーボード、Tomatoの「T810B-CU」

 そんなある日、Akiba2GO!の記事でTomatoブランドの「T810B-CU」の記事を見た私の中で、むずむずと物欲の虫が動き出した。BabyATマザーボードならば、電源がそのままで使えそう。そして、i810チップセットならば、特に拡張カードがなくてもとりあえず起動できる。USBポートがあればカードがなくてもネットワークに接続可能。さらに、BabyATマザーボードでありながら、いまどきの性能を持ったマシンになる。
 そうと決まれば即アキバにゴー! マザーボードをソフトアイランド秋葉原店でゲットした。7680円なり。
 ここで、飾りものだったSPARCstation 1の筐体は、復活に大きく動いた。あとは手持ちのパーツをちょいちょいで組み上げてしまえばすぐ終わり。こう考えていた。



マザーを入れてみる
ひとまずマザーボードをSPARCstationに入れてみる
アルミ板とスペーサ
購入したアルミ板とスペーサ

 次に、T810B-CUを筐体内部にネジで固定するためのスペーサを千石電商で購入。20円が5個。ふつうのPC用ケースに付属しているスペーサは、雄ねじ部分がインチ規格。インチのタップなどという工具は持ち合わせてないので、ミリねじのスペーサを買い直したわけだ。
 ほかには、バックパネル用のアルミ板。50(W)×200(D)×1(H)mmで70円(ラジオデパート2FのSS無線)。



Celeron-566MHz
今回は電源容量も不安だったので、低クロックなものをチョイス

 電源はSunのものをそのまま使う。そのままでもCPUにCoppermine Celeronの低クロックを選べば消費電力的に問題ないだろうということで、566MHzをチョイス。手持ちにはPPGAの333MHzもあったが、つい気前良く新品の566MHzを購入してしまった、ツクモパソコン本店IIで5980円。

 Sunのケースは非常に薄いので、ファンも薄型が必要である。そうしているうち、なぜかこのマシンの製作が記事になることがAkiba2GO!で決まっていたのである。



CPUクーラー
これが4800円のCPUクーラー。ちょっと奮発してまった。

 ならば、玄人好みのCPUクーラーにしようと、Akiba2GO!のK副編に選定を相談。ちょうどその時は毎年ヨーロッパで開催されるCeBIT取材直前だったので、購入まで任せてしまった。だが、これが大誤算。K副編(オーバークロック好き)は「薄型でも万全の冷却性能を」と気を利かせ、アルファの薄型銅埋め込みCPUクーラー「FC-PAL15U」を高速電脳でゲットしてきてしまった。うわっ、4800円。「CPUクーラーごときにカネはかけられん」と思っていた私に、この金額は重くのしかかる。これがさらなる苦難の道のはじまりとは誰が予想しただろうか。



なにはともあれ、改造開始

タップ
ケースに穴をあけ、スペーサをとめるためにタップをたてる

 とりあえずBabyATマザーボードを固定するためにケースに穴を開け始めた。
 さすがはSun。鉄板が厚い。しかし決して剛性が高いわけではなく、ちょっと力を入れて押すとケースがグニャリとたわむ。プラケース時代のDell製PCのようだ。
 まず、スペーサを取り付けてマザーボードを固定。ここで、端子類をつけるバックパネルを加工する。絶対必要なVGA端子、そしてPS/2端子、なにかと便利なUSB端子、これを装着するために、アルミ板を加工する。



背面
後ろにはアルミ板でビデオ出力端子やPS/2端子、USB端子を配備。RJ-45端子やもうひとつのビデオ出力端子は、後になって付け加えたため、バラックである

 アルミの加工はきちんとした道具があれば、そんなに難しいことはないが、ドリルとヤスリだけでやったため、けっこう時間がかかった。
 Sunの電源のコネクタは、もちろんATとはまったく異なるもの。これは、他の編集部が廃棄した昔のPCから事前に切り取っておいたAT電源のコネクタを繋いで解決した。ついでにHDD用のコネクタもゲット。接続には圧着端子を使う。半田付けにチューブかけでもいいのだが、接合部強度の点では圧着がベスト。
 さて、ここで問題が。Sunの電源には-5Vがないのだ。あるのは、+5V、+12V、-12Vだけ。大した電流もないので、-12Vからの3端子レギュレーターを使って作ろうとも思っていたのが、すっかり忘れていたのだ。なくても動作することを祈って、電源オン!



完成か?
完成か?この状態でもWindowsマシンにはなる

 ………オッケー! 無事に動いた!!

 とりあえず、T810B-CUは動作している。ただし、きちんと動作させるにはちゃんと全部の電圧を用意したほうがいいのは言うまでもない。
 こうなったらこのまま動作確認だ。CD-ROMドライブを仮接続し、Windows Meをインストール。あっけなく動作。
 この企画はこれでおしまいだ。と思った。

 しかし、オニのAkiba2GO!は許してくれなかった。K副編と担当編集のK。これだけではぜんぜんおもしろくないと。ここまで来たならSolaris 8をインストールしろと。ていうかSPARCstationにSolarisが入ってなきゃウソだと。そのためならなんでも協力すると…(筆者注:費用の面では一切協力してくれない)。



結局Solaris 8を入れるハメに

なんとか収める
なんとかライザカードをみつけ、ビデオカードとNICがおさまった

 Solaris 8をインストールして、X Windowをふつうに使うには、対応したNICと対応したビデオカードが必須だ。そしてi810の内蔵ビデオ機能はものの見事に対応していない。なんのためにビデオ機能内蔵マザーボード買ったんだろう…。



NIC
インテルのNIC、きちんとネットワークを構築するには最適な一品だが、高い

 とりあえずNICに関しては、対応製品の中で基板サイズの小さい「Intel PRO/100+ マネージメント・アダプタ」にターゲットを絞る。TWOTOP 1号店でバルク版を5980円で購入。Intelの価値は認めても、いまどきは100Base-TXのメーカー箱入り品でも1000円台というのを考えると痛い出費だ。今回はもともとウケねらいのマシンのため、5980円はなおさら重くのしかかる。
 しかし、このNICもあてがはずれてしまった。確かに基板は小さいが、それでもケースからはみ出してしまうのだ。
 半ばあきらめかけて「Solaris 8といかずに、FreeBSD+XFree86で我慢しましょう!」と相談したが、Akiba2GO!は「そんなのじゃあ、おもしろくない!!」の一点張り。

 仕方ないので、こっちも究極のウケ狙いマシンを作ろうと、なかばヤケになって先に進めることにした。
 SPARCstationの箱にWindowsをインストールしたPCなら過去にもあっただろう。しかし、今回は古いSPARCstation 1に最新のSolaris 8を入れることに意義があるのだ。……と、自分にそう言い聞かせる。
 開き直って、次の作戦を考える。Solaris 8のX Windowはビデオカードを選ぶ。最新のものは何1つ動かないのだ。「Rage128」以前のATI Technologies製品や、全盛期のころのS3、Matroxのちょっと古めのもの、Nvidia系ではRiva TNT2。きちんとX Windowを動かすにはいずれかを用意しなくてはならないのだ。



PCIコネクタ
まず購入したPCIコネクタ、これは結局使わなかった

 となれば、これを解決するのはただ1つ、ライザカードの使用である。こういったライザカードはありそうでないものだ。一時は自作を考えた。千石電商でPCIコネクタが470円。これにサンハヤト製の汎用PCI基板が5300円。汎用基板もコネクタエッヂ部分だけを使うだけ。PCIコネクタはピン配置が特殊なので、汎用基板の2.54ミリピッチは全く役立たない。PCIコネクタの100個にもおよぶピン数だけ穴をあけて配線しなくてはならないのだ。
 こうなったらと、特注に対応するプリント基板店を探す。PCIバスに差すものだけに、基板の厚み、エッヂコネクタ部分に精度が要求される。両面基板でPCIコネクタをとめる部分はきちんとスルホール処理をしなくてはならない。こんなプリント基板を、小数ロットで個人の予算で作ってくれるところはなかなか見つからない。



PCIライザー
苦労してみつけたライザカード。あまり売れないものだけに割高な4500円

 そんなこんなでまた時間が2週間を過ぎて、さてどうしようかと思っていたところで、担当編集のKがライザをみつけてくれた。1個4500円!! PCIコネクタを90度寝かせるだけでこの金額は痛い。そして、ライザを間に噛ませたPCIカードにはもちろん動作保証がない。
 しかし、自作することを思えば、4500円で解決するなら仕方がない。ちなみに、ビデオカードとNIC用に2個必要で合計9000円だ。
 ライザを扱っていたのは、USER'S SIDE本店。どうやらこんなものはこの店でもあまり売れるものではないようで、店員もよくわからないながら売ってくれた。ちなみに、今回のパーツ集めで最も高くついたのがこのライザカードである。



RageIIc
Solarisにはこんな枯れたビデオカードが必要なのだ。格安な出物に巡り会えた

 そして、最後はビデオカード。ケースの都合で、基板の高さが8センチ以内となっている。そして、PCIバス接続であることも必須だ。確実に動くことを考えると古いものがいいのだが、古いカードほど製造プロセスの問題で基板サイズが大きいのだ。個人的にはS3全盛時代の968チップ搭載のカードあたりがよいと思っていたのだが、調べるとNumber Nineの「Motion771」をはじめとして、基板サイズが大きいことがわかる。ヤケになってカノープスの「SPECTRA Light T32PCI」(定価22,800円)を買ってしまおうかとも思う始末。
 そうこうしているうちに、じゃんぱら秋葉原4号店にてATI Technologiesの「RageIIc」搭載ビデオカードを1680円で発見。即ゲットで一件落着した。



完成間近
とりあえずライザカードの先にNICとビデオが収まって完成だ

 いよいよこれで、部品集めは完了した。インストール用にCD-ROMドライブを接続し、Solaris 8をインストール。ビデオカードにNICの認識も完璧だ。
6枚ものCD-ROMを出し入れしていよいよなんちゃってスパークマシンも完成だ。





完成!しかし…

完成
完成! 写真では、以前から使っていたSunのモニタを使っている。でも、キーボードはSunのが見つからなかったのでDellのを使用。無念

 さて、こうしてマシンは完成した。しかーし、このマシンの使い道がないことに気がついた。あーあ、やってしまった。ジャンクやあまりもののパーツでできればいいと思っていたが、つい、調子にのって4万円近くもかけてしまった。
 せっかく完成したのをいきなりホコリをかぶらせてももったいないので、編集部に持ち込んで、ブラウザマシンとなっている。余談であるが、もともとアスキーデジタルバイヤー系のページレイアウトは、すべてSolaris 8+Netscape 4.7で表示のチェックしながら構成されたものだ。Solarisといっても、SPARC版の前のバージョンなので厳密には今回製作したものとは違うのであるが、x86版のSolaris 8でも、なんら問題なくコンテンツが閲覧できる。もし、Solaris 8を持ってる読者がいたら、ぜひ、Akiba2GO!はSolaris 8搭載のマシンから閲覧してほしい。



手書きロゴ
せっかくなのでキーボードもなんちゃってSun仕様にしてみた

 最後に、購入品のリストを見ていただく。もちろんこれ以外にも、たくさんの部品や工具を購入した。すでに上のリストだけで3万円超、使わなかったパーツはここに含まれていないので、実際には4万円近くを使ったことになる。ほかにも手持ちパーツもある。本当によく散財したものだ。

(編集部注:記事を掲載するにあたってSunのウェブサイトを確認していたところ、Solaris 8のページにi810のビデオに対応したドライバが掲載されていた。ただこれは、筆者には内緒…)



完成品に使用した購入部品一覧
パーツ 名称 購入店 単価 数量 価格
CPU Celeron-566MHz ツクモパソコン本店II \5,980 1 \5,980
マザーボード ZIDA(Tomato) T810B-CU ソフトアイランド秋葉原店 \7,680 1 \7,680
CPUクーラー アルファ FC-PAL15U 高速電脳 \4,800 1 \4,800
ライザカード (型番不明) USER'S SIDE本店 \4,500 2 \9,000
スペーサ (5mmタイプ) 千石電商 \20 5 \100
アルミ板 (1ミリ厚) SS無線 \70 1 \70
ビデオカード ATI Technologies RageIIc 4MB(中古) じゃんぱら秋葉原4号店 \1,680 1 \1,680
NIC Intel PRO/100+ マネージメント・アダプタ TWOTOP 1号店 \5,980 1 \5,980
メモリ PC100 SDRAM 128MB(CL=2) 手持ち - 1 -
HDD (6.5GB) 手持ち - 1 -
配線材 圧着スリーブ 手持ち - 1 -
合計 \35,290
※価格は購入時のもので、現在の価格とは異なっている場合があります。千石電商をのぞき、消費税は含まれていません。

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