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【PCなんでも改造総研(最終回)】最強のCPUクーラー自作にチャレンジ!!

Printable Version 2002年1月23日

■ヒートパイプ

 ヒートパイプの構造は、管状の本体(コンテナ)に作動液と呼ばれる少量の液体(純水やフロン等)を封入し、真空にしたもので、性能向上のためコンテナ内部には毛細管構造を持ったウィックと呼ばれる網目状の素材が内張りされているものが多い(大型のものでは内部にスリット状の溝が彫られたものなどもある)。熱の輸送原理は、加熱端が暖められると作動液が蒸発、蒸気流となって放熱端に移動し、管壁に接触して冷却され凝縮し熱が輸送できるというものだ。凝縮した液体は毛細管現象や重力により加熱端に戻り、蒸発→移動→凝縮のサイクルを繰り返して連続的に熱輸送が行われる。そのため熱の輸送には動力や電力は必要とせず、時間による性能の劣化もほとんどなく半永久的に熱の超伝導体として機能する。内部が真空のため蒸気流は音速に近い超高速で移動するため、熱の輸送距離が延びてもほとんど熱抵抗は変わらない。実際の設置方法は凝集した液体が過熱端に戻る必要があるため冷却側を上に(重力と反対方向)に配置しないと輸送熱量が極端に減少するほか、液体の気相変化に数℃の温度差が必要だが、条件によっては銅の何百倍という熱伝導率を期待できる。


ペルチェ素子でも有名な千石電商で購入した日立電線製のヒートパイプ。直径5mm長さ200mmで1780円。この他、直径3mm、4mmのものも販売されていた

ヒートパイプの内部。網目状のものがウィック。このヒートパイプの動作液は純水だが、切断してもほとんど液体は出てこなかった。封入量は僅かのようだ

 このヒートパイプによって熱を輸送すれば、小さな面積の発熱体を巨大なヒートシンクで均等に放熱することも可能になってくる。一般にヒートシンクはフィンの断面積と表面積の比率がある程度決まっており、極端にフィンを長くしても熱抵抗の問題から性能はほとんど向上しない。だか、このフィンがヒートパイプなら原理的には長さに比例して放熱能力を向上することができるはずだ。そこで銅板に大量のヒートパイプを並べた構造のヒートシンクを制作すれば非常に強力なCPUクーラーを製作できるのではないかと考えた。実際には10×10列のフィンを並べるだけでも100本のヒートパイプが必要になるので、まずは単価が気になるところだが、秋葉原の千石電商で販売されているという情報を聞きつけ、さっそく購入に走った。

 うすうすは予想していたことだが、ヒートパイプの価格は直径5mmのもので1本1780円。これを100本使うと17万8000円のクーラーになってしまう。フィンがヒートパイプなら間違いなく最強のヒートシンクが完成しそうだが、これでは当研究所は破産だ。ヒートパイプ1本当たりの最大熱輸送量は20〜30W前後なので、CPUの発熱を輸送するのなら数本あれば十分。次善の策でヒートパイプに普通のヒートシンクを「鈴なり」に取り付け放熱能力をアップするという作戦も考えたが、試しに購入したヒートパイプを使った実験の結果、ヒートシンクとヒートパイプの熱的接合が難しく、この部分の損失が馬鹿にならないことが判明した。その上、実用上クーラーの固定も困難。いっそのことヒートシンク内部がヒートパイプ構造になっていれば…。

CPU上に配置して動作液を気化させるための気化室。クーラー重量が重いのでネジでマザーに直付け。SocketAマザーに合わせて取り付け用のタップ穴を付けてある

 というわけで、全身ヒートパイプ構造のヒートシンクを考えた。放熱能力では市販品最大級のアルファ製100mm角ヒートシンク2つを接合し、内部を空洞にして真空にする。これに足をつけてCPU直上に気化室を配置すれば、マザーボード上の電子部品にも干渉しない。これならケース内のCPU上のスペース全体を使う最大級のヒートシンクを最高の効率で使えるはずだ。さっそく必要な部品を作図して以前ガス冷装置の部品を加工して頂いた機械加工業者へ製作依頼しよう。で、作図した部品がこれ。




形状としてはギリギリ手作りできないこともない部品だが、内部を真空にする関係で表面精度が必要なため機械加工業者へ製作依頼

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