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【こちら秋葉原一丁目ホームページ】Act.0004「秋葉原クロスフィールド」(後編)


2005年5月1日

 秋葉原の中央通りより一歩JR山手・京浜東北線側に、巨大なビルが姿を現している。3月末に完成した“秋葉原ダイビル”と建設中の“秋葉原UDX”、そして末広町側に完成している“TOKYO TIMES TOWER”である。このうち“秋葉原ダイビル”と“秋葉原UDX”が、エヌ・ティ・ティ都市開発(株)、とダイビル(株)、そして鹿島建設(株)の3社による世界的IT拠点を目指す“秋葉原クロスフィールド”。【こちら秋葉原一丁目ホームページ】Act.0001「秋葉原クロスフィールド」(前編)に続き、(株)クロスフィールドマネジメントの山本俊行ゼネラルマネージャーに聞いた。 (聞き手は、アキバの未来を見つめる会代表 遠藤諭)

昨年11月下旬の“秋葉原ダイビル”と“秋葉原UDX”
昨年11月下旬の“秋葉原ダイビル”と“秋葉原UDX”

嗚呼、あこがれのタイムズタワー

――クロスフィールドよりも末広町よりにタイムズタワーという都市型高層マンションが出来ていて、これも鹿島建設が手がけていますよね? これは、立地的に、秋葉原に縁の深い方が多いのでしょうか?

【山本】タイムズタワーは“セカンドハウス”のような使い方をされている人が2割くらいおられます。他のマンションに比べて、住んでおられない方が多いですね。個人名で買われている方が95%で、法人名は5%弱くらいです。

―― どういう方が多いのですか?

【山本】比較的まんべんなく20代から70代までで、一番多いのが40代。20代で成功して30代で3億近い部屋を買われた方もいらっしゃいます。

――いかにも技術系の方という感じでしょうか?

【山本】ITで成功された方が何名かおられますね。お医者さんも多いですね。都心で病院もたくさんありますから。個人でご商売されて、SOHOほどオフィスに寄っていないけど、家でお仕事されて出かけるのも近いという方もいます。子供の数は圧倒的に少ないです。普通の分譲マンションだと1世帯に1か2人いて1世帯平均1.5人くらいで、300世帯あるので400人いてもいいはずですが、実際はふた桁前半という感じでしょうか。職業というよりも、私が受けた印象では、確固たる信念をお持ちの方が多いのではないでしょうか? それは住宅に信念を持っている場合もあれば、そのほかのことに信念を持っている場合もありますが、何かお持ちの方が多いような気がします。既存の切り方だと見えてこない部分なのですが、何かお話をしている中では、「こだわりがある方」といいますか。ある部分にお話が行くと、かなり深いお話になるような。

――マンションが建ったことで秋葉原は変わりますかね?

【山本】劇的に変わるということはないでしょう。秋葉原の駅で1日に14万人の乗降客がいると聞いていますが、その中で、マンションが満杯になったとしても600〜700人。お住まいになる人数が申告された分を見ますと1世帯2人を切っているんです。普通のマンションですと3〜4人ですが、2を切っているということはお一人で住まわれる方、家族でも2人で住む方が多い。ですから満杯でも600人。ですから、今のところ、大きな影響はないでしょう。

――タイムズタワーは私もこれは住むしかないだろうということでモデルルームを見にとか。紹介サイトも、さすが秋葉原という感じでめちゃくちゃ凝っていましたよね。

【山本】まだ少し空いていますよ(※インタビュー時点)。

――いろいろと事情がありましてやめにしたんですが。



電車からも見えて駅直結のイベントスペース

――クロスフィールドを作られた中で、イベント的なものをやっていく予定はありますか?

【山本】今まで秋葉原エリアにはコンベンション的な発表する場がなかったので、ダイビルの方に作ります。クローズドなホールですね。シアター形式で500席です。それとは別に、2千平米の常設のオープンなイベントスペースを作ります。常にイベントしているような。2千平米の広さは、丸の内仲通り沿いにある丸ビルの「マルキューブ」が約千平米なので、そこの倍。テニスコートでいうと2面分です。そういわれるとあまり広くないと思われるでしょうが、イベントスペースとしては結構広いのですよ。屋根があって、半分は吹き抜けで、半分は屋根があるけどオープン。電車からも見えて駅からも直結している。そして、民間がやっているので内容も自由です。こういうスペースは都内でもあまりないのですよ。イベントができるのは、この2つです。お話はいろいろありまして、“AKIBAX”のようにテントを張ってやっていたものはビルの周りを使ってやれます。7千平米ありますから。幅12メートルくらいが150メートルの長さで続きます。JR線側には屋外デッキといいまして幅8メートルが150メートルくらいあります。そういう部分も含めてイベントをやっていただくと7千〜8千平米になるわけです。いずれにしろ、そういう部分でひとつ核になる部分ができます。秋葉原はランドマークがあるようでなかったというのがありますよね。

――いまは中央通りの歩行者天国が、ある種自由に歩けるスヘースになっていますよね。あれの意味合いが変わってくるというのがあるのではないですか?

【山本】今、歩行者天国って何もやっちゃいけないんです。大道芸も東京都は規制が緩和されましたが、基本的にやってはいけない。椅子、机は良いけれど、そこでモノを売ってはダメ。縄を張ってもダメ。全国一斉のルールで、警察庁が取り締まっています。屋台の1つも出ていて欲しいと思う人も多いと思うのですが。このやり方だと、歩行者天国をやっているからといって人が集まることは少なくなりますね。車が来なくて便利だねぇと感じる程度でしょう。利権問題とか出てくるので調整が難しいでしょうけれど、考えないとダメではないでしょうか?そこで、建物の中の2千平米の部分はわれわれだけでもやれますが、7〜8千平米の大きなイベントは、電気街と一緒にやるようにと考えています。やはり街を上げてのイベントでないと面白くないでしょう。大きなモチベーションがないとできないようなものは年に1回とか2回とか。例えば、秋葉原電気祭りとかを、効果的にタイアップしてやってみるとかです。

――国際フォーラムのような規模のイベントができるわけではないですね。

【山本】国際フォーラムは専門館です。こちらは秋葉原に来たついでに、フラッと寄ってもらうような。有明ビックサイトの場合は、行ったら最後半日つぶれてしまいますよね。気合を入れて、手帳に大きく「有明」と書き込むようなレベルです。ここですと、帰りにフラリと寄れる。乗り換えの合間に20分だけ寄ってみようというような感じで来れる。ここならではのものがあるだろうと考えています。





コミケと秋葉原

山本氏

――秋葉原を訪れる人種も変わってきています。“アキバ系”という言葉がありますが、意外に複雑ですよね。オタクだけじゃなくて、ちょっとストリート系っぽいというのか、上野じゃ嫌だという若者が集まったり、そこが、いまの秋葉原のとても不思議なところだと思います。

【山本】実は、コミックマーケットのサテライトをやったらどうかという話はあります。地方からコミケに来る人は、まず初日にコミケに行って、次の日の朝に秋葉原に寄ってからコミケに行くというルートがあるらしいです。必ず、秋葉原に寄る。だからここでもサテライト的なものをやってもいいのではという話がある。ただ、いかがなものかという人もいるのですが。

――コミケの米澤代表は、私は長い付き合いなのですが。彼らは、みんなで同人誌販売会を開いていた、「みんなのコミケ」というようなことをよく言っていましたよね。いまは、株式会社なわけですが。おそらく秋葉原にあるマンガ同人誌の専門店との間に、見えない線があると思いますね。人種といえば、海外の会社でクロスフィールドに興味を持っているところはないのですか?

【山本】ダイビルは下半分は産学連携、上半分は日立製作所。こちらは、どちらかというとハードメーカーを主体的に検討していただいていて、外資も含めていろいろです。東アジア系の周辺機器を作られている会社も入られます。

――台湾のメーカーですか?

【山本】秋葉原というのは、彼らのマーケティングの場でもあるんです。彼らは、たとえば性能は十分なところに来ていると感じているけど、デザインは日本メーカーに追いついていないと感じている部分があるそうです。それで、毎週秋葉原に来て、どういうデザインが人気なのか。とくにノートパソコンなんか、そうでしょうね。性能は追いついているけど、見た目のスタイリッシュな感じとか。写真をバチバチ撮って帰っている。そんなわけで、インターナショナルなイベントも出てくると思います。韓国系企業が韓国の製品のイベントをやるとか面白いのではないでしょうか? メッセやビッグサイトでは、立派なイベントはできるけど動員するのにどうするか考えなきゃいけないケースがあるでしょう。秋葉原では、やっているから寄ってみようと人が集まるということになる。





いままでの秋葉原との関係はどうなる?

――地元商店との関係はどうなるのですか?

ヨドバシカメラ
“AKIBAX2001”で展示されていた秋葉原タワー

【山本】家電をやられていて、90年代からパソコンに移行してすごく儲かっていた家電店は、どうなっていくのか非常に注目されています。家電を秋葉原で買うというパターンが減ってきて、東口にヨドバシができ、今までの主力商品がそちらで買えてしまう。その結果、パソコンの完成品のような従来型の品揃えではうまく行かないだろうと、それでわれわれと一緒にやることで自分たちの商売を盛り上げていこうとお考えいただいてきていると思います。始終打ち合わせをしています。われわれのほうでは、いろいろな産業分野のことがやれれば、それに付随して新しいお客さんが来ますよと、それから街に来るといろんな商品が売っているけれど、それだけじゃなくていつも何かイベントをやっているというような新しい発見のある街にすることで、新たな集客を生んだりビジターの頻度を上げることができるのではないかと提案しています。商店街の方々の反応は2通りあって、1つは良いよねという方と、もう1つはもう少し装置的なモノを作ってほしいという方。装置的なものというのは、例えば「大観覧車」とか。一時あったのは「第二東京タワー」を作ってというのもありましたよね。もっと分かりやすいモノで言えば、デジタルを使ったテーマパークとか。そういう誰もが分かる観光名所を欲している方もおられます。あとは要望として駐車場ですね。UDXに800台、ダイビルに100台で、合わせて900台。大半を時間貸しできるように誘導したいと考えています。

――パチンコ店が出来たり、いままでなかったアダルト系も増えてきて、それを危惧する人もいます。

【山本】街の方がおっしゃることを聞くと、2通りのなり方があると思います。1つは、パチンコ店がでてきて、サブカルチャーというよりもアダルト系が増えて、飲食店のない歌舞伎町みたいになっちゃうのでは、という危惧。もう1つは、楽観的で、今まで秋葉原はこういう“危機”は何回かあったけど、アンダーグラウンド的なものは結果的に淘汰されて、時代の求める方向へ行ったよと。今、秋葉原はサブカルチャーの中で時代の最先端を行くものが出てきて、他のはなくなるのではと。アダルト系やパチンコ店は今はあるけれど、そのうちの大半はなくなるのではないのかという人はいます。

――線路の向こうのヨドバシの対抗勢力を作っていくというような構図はありますよね?

【山本】電気街さんはそうなりますよね。東側には人が行かないようにしたいとか(笑)。もっとも、JR駅の1階にコンコースができますので、通り抜けできるようになります。東側の新しい改札口も「新改札口」といいまして、地形的には中央ですが電気街さんは「中央」はこっち(電気街)側だと(笑)。もともと、東側は飲食中心なので物販のお店はそんなに多くないわけで、いままで対立はなかったのですよね。ただ、東側の方は、今回、東側も盛り上がってくるので溜飲が下がっているところもあると思います。われわれが多くお話をさせていただいているのは、秋葉原電気振興会といって、いわゆる大手家電店が多いのですが、実際はもっと小さいお店やパーツを扱っている1坪くらいの店とかという集まりもあります。そういう方とも、なるべくお話をするようにしているのですが、「こっちは一人でやっているからそんな暇ないよ」って言われちゃうんです。トイレに行くときは店を閉めて行くというお店があるでしょう。

――ただ、それこそ秋葉原ともいえるでしょう。

【山本】ええ、UDXに入る方々はお話を伺っていると、学生時代から秋葉原に通い詰めて、これを作るにはあの棚のアレとアレを組み合わせて……というような方々なんですね。例えば、「公立はこだて未来大学」の中島学長さんも、そういうことをおっしゃられます。本当ですか? というくらい(笑)。学長が自分が好きだからこちらに来られたという。もちろん、そこに秋葉原の意味を感じられているわけですが。いずれにしろ、話を伺っていると、大手家電店があるからという方はいらっしゃらなくて、「ラジオセンターの2階のあの店の……」という方が多いわけです。





古書街、スポーツ街、電気街の関係

――万世橋を渡って交通会館の方へ抜けると神保町へつながりますけど、あちら側との関係はどうなりますか?

【山本】千代田区は、いわゆる「〜街」というのが3つあるといいます。電気街、古書街、それからスポーツ街。その3つが渾然一体となって、回遊エリアになればいいと考えているようです。間に、まつ屋とか老舗の店があってちょうどいいのではないのといいますけど。ただ、買い物に行く層が違うんじゃないのかと思いもしますが……。千代田区は、このあたりを回遊をできるような街にしたいと考えているようです。そうしたら、一日、ここら辺であそべると。妹尾先生は、神保町は文系の心、アキハバラは理系の心だとおっしゃいますけど。

――ここ数年、秋葉原も変わってきていますよ。ビルの上のほうとかに新しい本屋さんができていて、アニメとか写真集に強いお店とか、むしろ、秋葉原のコンテンツ系に近い部分があると思うのですが。ただ、同じ日に行くかといったら、それは微妙かという気もしますが。距離が結構ありますからね。千代田区はセグウェイOKにしてレンタルすればいいんだよ。「セグウェイ特区」とか(笑)。

【山本】そういうニーズがあるのでしたら、丸の内〜大手町のような無料周回バスをやってもいいと思っています。千代田区がやるというのもなんでしたら、われわれ事業者が協力し合ってやってもいいかと。

――それ凄いですね! しかし、そうやって秋葉原や千代田区が面白くなってくると、東京のバランスが結構変わってくるのではないかと思いますが、どうですか?

【山本】われわれとしては、東京都の重心が西や南に寄っていたのを引き戻したいという思いはあります。西から東に戻りつつあるのは確かなんです。一時、新宿側に人も金もオフィスも動いたんですけど、今は新宿より大手町だよねと戻りつつある。大手町の再開発が進んでいます。かつては浅草が繁華街だったのが上野になり有楽町になり、六本木になりというように南に移っていたのを引き戻したい意識はあります。やはり北側にオフィスを含めた良い環境がなかったのはあるます。老舗はあるのですが、一見さんが行きにくい。きんつばとか、そうそう毎日食べられませんからね(笑)。

――インターネットで寿司屋さんの客が増えたという話がありますよね。東京の東側に多い伝統的な文化で、取っつきにくいと思っていたものもネットで勉強してから行けばいいというような兆候があると思います。そういう、時代の変化の中でその東京の重心のことを捉えると面白そうですね。

【山本】そうですね、その中でわれわれの商売のネタがあると。スクラップアンドビルドが出てきますからその中で新しい仕事を見つけるという。ホテルも今まで南側の品川や六本木や台場にずいぶん立派なホテルができてきたのですけど、東京駅から北側に良いのがなかった。いままで、北側は鬼門だと言われていたみたいです。それが、日本橋とかにホテルができて、良い循環が生まれるといいと思います。

――山本さんご自身は、どちらにお住みなんですか?

【山本】仕事はハンバに半分くらいいて、住まいは隣のマンションに(笑)。担当だったもので、ついつい勢いで……。

――えっ、ご自身でタイムズタワーに買われたのですか!

【山本】失敗したなと思います。ついつい(笑)。セカンドルームでなくて本宅ですよ。家族も一緒です。でも、部屋から北側に上野の森とか、東側に天気の良いときは木更津や君津の海が見えてきれいですよ(笑)。

――いいですねぇ。うらやましいなぁ。

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