2001年1月13日
「もう少し広い物件に移りたいんだけど」「やっぱり店舗は1Fになくちゃねぇ。通行人が店内を外からのぞけないと…」。
世界有数の電気街である秋葉原のショップ店長の声である。通りを見上げればショップの看板ばかり。歩道はというと、ビルの上階に位置するショップがなんとか客を引き込もうとして出す新製品告知の建看板であふれかえる。こんな地域では、冒頭の店長の声もむなしく思えてしまう。秋葉原でショップを開くための物件を探そうと思った時、一体どのくらいの手間と金額が必要になってくるのだろうか?
秋葉原で人気の商圏エリアとは?
秋葉原の中心街から少し離れた末広町交差点近くにこじんまりとした事務所を構えるシステム不動産。同不動産は中央通り沿いのビルの1Fにあるが、入口がビルのちょっと引っ込んだところにあるため、あまり目立たない。それでも毎日物件を探して、何人ものショップ関係者が訪れる。
「物件がなかなかないのが現状なんですが、そこを何とかして欲しいとお願いされるお客さんとか、ひどい時になると何か隠してるんだろ、なんて言われる時もあります」
と、代表取締役の渡辺氏は話す。
秋葉原のショップで人気が集中するエリアは左の地図の紫色のついた範囲になるという。どうしても見つからなくて妥協するとすれば、このエリアを外れて借りるか、あるいはエリア内であっても5階以上で借りるかしない。ただし客を5F以上に引き上げるのは至難の業。よほど特色のあるショップであるか、あるいは社員にビラ撒きをさせるなど、何らかの仕掛けが必要になってくる。
エリア内の相場は、1・2階だと大雑把に坪単価3〜8万円、5階以上で1万5000円〜1万8000円くらい。保証金は、安くて6カ月、高くて12カ月といった具合だ。バブルが崩壊した時、都心の物件は値切ると安くなるという噂が広がった時期があったが、秋葉原ではそんな噂もどこ吹く風。ねぎっていると、他の客にとられてしまうのだ。
1坪4万円の物件(1階30坪)に20倍の競争率のケースも
具体的な例を挙げてみよう。中央通り沿いに位置する、とあるビルの1階は競争率が20倍だった。30坪の物件が1階から3階まで空く、という情報を聞きつけた関係者が申し込みに殺到した。価格は1階が1坪約4万円、2階・3階が約2万5千円。もし3階まで借りたとしたら、光熱費や諸経費を除いた費用だけで、300万くらいかかってしまう計算になる。それでも、不動産が間取りコピーなど資料を作成する前に、この倍率になってしまった。「この立地では、1坪5万円でも申し込みがあるだろう」とのことだ。
また他の例では、商圏からぎりぎり外れたビルのケース。1階から3階(各フロア30坪)に証券会社が入っていたが、リストラで閉鎖し、ビルを開けることになった。そこに8件の申し込みがあった。借りる条件として2期分の決算書提出を要請したオーナーの提案を4社がのみ、そのなかからの選抜となった。ここの価格は1階が1坪3万5千円だった。
物件を狙っているのはショップ関係者だけではない!
借り手が宝くじ販売の店舗などは、1坪10万円でもいいから物件がないだろうか、という話もある。そのかわり、本当にオイシイ所の店先だけ、それも3〜5坪だけ借りたいという申し込みがほとんど。また、パソコンショップ以外にも、大手のファーストフード、あるいはコーヒーショップチェーンの開発者が、どこかいい物件がないかと日々探しまわっている状態。そんな人たちが口を揃えて言うのは「いい物件があったら、他に話す前にウチだけに教えて欲しい」という言葉だ。ただ、蓋を開けてみると「いい物件には50人が待っている」という恐ろしい状態だという。逆に蔵前通りの向こうに行ってしまうと1年物件が埋まらないビルもあったりする。エリアの内外では、はっきりとした差が現れる。
(小板)
すぐに見つかる物件はどんなものか
では、すぐに紹介してもらえる物件はないだろうか?と諦め半分で聞いてみた。もちろんエリア内がいいが、それは無理そうなのでぎりぎりエリアから外れるところでも我慢することにする。さらに、5階以上でもいい、と条件をゆるくしてみた。
紹介されたのは中央通り沿い、住吉ビルの7階と8階。1階と2階にはじゃんぱら秋葉原5号店が、4階にはotto秋葉原1号店が入っている。間取りや条件は下の資料の通り。
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7階、8階とも28.72坪。賃料は事務所の場合1坪1万2000円、店舗の場合1万4500円。共益費は3500円。保証金は賃料の8カ月となっている。問い合わせはコピー内にあるシステム不動産まで |
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物件の平面図。 |
入り口は残念ながら中央通り沿いではなく、裏通りに入る道側にある。エレベータのある1階のすぐ外にはottoの看板がたてかけられており、通行人にアピールしている。
実際現場を訪れてみると、ちょっと人の流れが寂しく、エリアから外れてしまった、という感は否めない。実は、この物件は昨年の9月からあいているもの。それまで入っていたのは、やはりパーツショップ。ある事情で移転してしまったという。
やはり秋葉原で物件を探すのは難しい。立地的に厳しいところでは、かなり特徴のある品揃えをするか、あるは多くの仕入れルートを確保して、他店よりも早くパーツを取り揃えるか、いずれにしても個性的なショップにしていく必要がありそうだ。
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エレベータに乗るための1階入り口 |
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7階の物件を入り口から見てみた |
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逆に奥から入り口を見てみる。写真中央のドアのひとつが給湯室とトイレへ通じている |
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窓から駅方向を見てみる。ちょっと向こうには黒い建物のツクモeX.が見える |
(小板)
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